投稿者「鎌仲 航平」のアーカイブ

耐衝撃ウオッチ“G-SHOCK”から、メタルを纏ったコンパクトモデル『GM-S2110』新作

八角形フォルムが人気の『GM-S2110』シリーズに、シンプルで汎用性の高いカラーリングを施した新作が加わる。耐衝撃ウオッチ“G-SHOCK”のコンパクトシリーズである『GM-S2110』シリーズは、メタルを纏った八角形ベゼルのフォルムが特徴で、コンパクトなサイズ感により幅広い層から支持を得ている。今回の新モデルでは、定番色の黒とシルバーの文字板にクロスチェック柄のヘアライン仕上げを採用。11月中旬より発売。

メタルの八角形フォルムが印象的なGM-S2110シリーズにシンプルで使いまわしやすいカラーリングのモデルが仲
間入り。定番色でもある「シルバー」と「黒」の文字板には、アクセサリー等でもよく見られるクロスチェック柄のヘアライン仕上げを施し、オメガスーパーコピーN級品シンプルながらも表情が加わりデザイン性を高めています。

コンパクトなサイズで腕の細い方も快適に着用でき、普段使いでも、ファッションシーンでも幅広く活用しやすいモデルです。特徴的な文字板の仕上げが印象的で、コーディネートに華やかなアクセントを加えます。

アクセサリーにも用いられるテクスチャーを取り入れることで、シンプルながら上質感のある表情を実現した。コンパクトなケースサイズにより、腕の細いユーザーでも快適に装着でき、日常からファッションシーンまで幅広く活用できる点が特徴となっている。

また、バンドの主な樹脂パーツにはバイオマスプラスチックを採用しており、再生可能な有機資源を原料とすることで、環境負荷低減への貢献が期待されている。

【概要】
GM-S2110-1A1(ブラック)
価格:29,150円(税込)
[主な仕様]

GM-S2110-1A7(シルバー)
価格:29,150円(税込)
[主な仕様]

[共通]
・耐衝撃構造
・20気圧防水機能
・針退避機能(針が液晶表示と重なって見づらいときは、針を液晶表示の上から一時的に退避させることができます)
・ワールドタイム:世界48都市(31タイムゾーン、サマータイム設定機能付き)+ UTC(協定世界時)の時刻表示
・ストップウオッチ(1/100秒(1時間未満)/1秒(1時間以上)、24時間計、スプリット付き)
・タイマー(セット単位:1秒、最大セット:24時間、1秒単位で計測)
・時刻アラーム5本・時報
・フルオートカレンダー
・12/24時間制表示切替
・操作音ON/OFF 切替機能
・ダブルLEDライト:文字板用LEDライト(スーパーイルミネーター、残照機能、残照時間切替(1.5秒/3秒)付き)、LCD 部用LEDバックライト(スーパーイルミネーター、残照機能、残照時間切替(1.5秒/3秒)付き)
・電池寿命約3年
販売詳細
・発売時期:11月中旬ごろ
・取扱店舗:全国のG-SHOCK販売店舗、公式オンラインストアなど

【お問い合わせ】
カシオ計算機 お客様相談室
TEL.0120-088925(時計専用)

ダマスカス鋼ベゼルが海の鼓動を映す「デルフィン オリジナル メカノ」のスーパーコピー世界300本限定モデル発売。

“THE WATER CHAMPION”の起源を受け継ぐ歴史的コレクションが新たな次元へ~ダマスカス鋼ベゼルが海の鼓動を映す「デルフィン オリジナル メカノ」の世界300本限定モデルを11月25日に発売

1884年の創業以来、挑戦と革新の歴史を紡いできたスイス高級時計ブランド EDOX( エドックス)が、デルフィン オリジナル メカノ オートマティック ダマスカス リミテッド エディションを11月25日 火)に発売いたしました。世界限定300本の希少なタイムピースです。

≪特徴≫
腕元に宿る伝説―ダマスカス鋼ベゼル
1973年のヘリテージモデルから受け継がれた、6つの砂時計ビスが印象的な12角形型ベゼル。そのフォルムに、かつて伝説として名を残した鍛造技術の精神を受け継ぎ、現代の高度な金属加工技術によって再構築したダマスカス鋼を融合しました。

古代、中東の戦士たちの刀として名を馳せ、十字軍時代にはヨーロッパにも伝わったダマスカス鋼。「ダマスカスの剣」と称され、幾重にも折り重ねられた鍛造による唯一無二の縞模様で、切れ味と美しさの両方を極めた伝説の技術です。しかし、長い年月の中でその製造法は失われ、材料や工程の複雑さゆえに「幻の鋼」として語り継がれてきました。

本モデルに採用されたダマスカス鋼は、その古代の美学と哲学を現代の視点で再解釈したものです。層を重ねて鍛えることで生まれる波状の模様はひとつとして同じものがなく、光を受けて海の鼓動を映すかのように輝きます。さらに、高い硬度と耐久性を備え、ステンレススティールを上回る個性と安定性を実現しました。

伝説の美と現代技術が融合したこのベゼルは、200m防水と精緻な自動巻きムーブメントの力強さと呼応し、腕元で特別な時を刻むタイムピースへと昇華しています。

鼓動を映すシンメトリカルスケルトン
大部分をくり抜き、内部構造である自動巻きムーブメント Cal.853)を表側から鑑賞できるスケルトン仕様。従来モデルより開放感を高めたカットワークは、ぜんまいが収められた香箱や、時計の鼓動を刻む心臓のようなてんぷなど、各パーツの精緻な動きを鮮明に映し出します。

ブランド名表記を3時位置から12時位置に移動させることで、線対称の均整美が生まれ、視覚的な完成度が一層際立っています。ムーブメント、針、カットワーク、インデックス、フランジはシルバートーンで統一され、光の角度で表情を変える上品な輝きが、時計全体に一体感と洗練をもたらします。

立体感と高級感のモダンケース
従来の43mmから40mmへとケースサイズを刷新し、現代の小径トレンドに呼応。手首にしっくりと馴染むエレガントなプロポーションを実現しました。

ケースは細かい筋目のヘアラインと鏡のような光沢を放つ鏡面仕上げを使い分け、ブレスレットもヘアラインをベースにリンクパーツのみ鏡面仕上げでメリハリを演出。各部の仕上げを丁寧に使い分けることで、シンプルながら奥行きと洗練を宿すモダンな佇まいです。

[デルフィンコレクション]
創業130周年を迎えた2014年より現行コレクションに加わったデルフィンは、エドックスダイバーズの原点であるヘリテージピースの名を継ぎ、エドックスの防水時計の歴史を証明する象徴的なシリーズです。
1961年、エドックスは画期的な防水システム「ダブル・Oリング」の特許を取得。ガスケットを二重に配置することで密閉効果を倍増させ、ねじ込みリューズを使用せずに200m防水を実現したデルフィンは、エドックスを“THE WATER CHAMPION”として広く認知させるきっかけとなりました。この革新的技術は特許終了後も多くのブランドに影響を与え、現行コレクションにもその精神が息づいています。

【仕様】
デルフィン オリジナル メカノ オートマティック
ダマスカス リミテッド エディション
品番 :85310-3DM-NGIN
税込み価格 :473,000円
限定本数 :世界限定300本

ムーブメント:キャリバー 853 SW200(自動巻き)
・機能 :時・分・秒表示
・石数 :26石
・振動数 :28,800振動/時
・パワーリザーブ :約42時間
ケース:ステンレススティール
・ケースサイズ :径40mm/厚 11.5mm
・ベゼル素材 :ステンレススティールの表面にダマスカス鋼をインサート
・風防 :サファイアクリスタル 無反射コーティング)
・ケースバック :シースルーバック
・防水性 :20気圧/200m
・その他 :ねじ込み式リューズ
ストラップ::ステンレススティール
・バックル種類 :両開きDバックル
◆付属品
ボックス :専用ボックス
その他 :オリジナルのワインディングマシーン

【お問い合わせ】
株式会社ジーエムインターナショナル
〒110-0008 東京都台東区池之端1-6-17 本館2F
TEL:03-5828-9080
FAX :03-5828-9060
エドックス オンラインストア:https://www.edox.jp/

[エドックス]~THE WATER CHAMPION
優秀な時計職人クリスチャン・リュフリ=フルーリーが、妻の誕生日を祝うため自身でデザインして作った懐中時計。この贈り物の美しさに感動した妻から、時計ブランドを立ち上げることを勧められ、1884年にスイスのビール/ビエンヌでエドックスを創業しました。ブランド名は、(「時間」を意味する古代ギリシャ語に由来しており、ブランドエンブレムである砂時計のマークは「不朽」を象徴しています。2024年に、創業140周年を迎えました。
創業当時は懐中時計で名を成していましたが、1950年代から腕時計の製造にシフト。世界初の特許を取得した防水機構を開発するなど、過酷な環境下でも計時機能を維持できる高性能な時計づくりを追求してきました。1961年に発表したブランド初の防水時計デルフィンに始まり、現在のフラッグシップコレクションであるクロノオフショア1、海の神を象ったネプチュニアンに至るまで、50年以上にわたってダイバーズウォッチ開発の先駆者として最前線を走り続けています。
国際的なラグジュアリースポーツの大会オフィシャルタイムキーパーを務めるなど、スポーツシーンとのパートナーシップを数多く締結しています。耐衝撃性や防水性などのタフネスに優れたエドックスウォッチは、一流アスリートからも厚い信頼を得ています。

ダニエル・クレイグスーパーコピー、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞授賞式にムーンスウォッチをつけて登場!

ムーンスウォッチ・ネバー・ダイ。元007のダニエル・クレイグは、日曜日の夜、ナショナル・ボード・オブ・レビュー2023賞のガラにミッション トゥ ネプチューンを着用して出席した。

ニューヨークのステージで、深い青……、いや紫がかったカーテンの前に立ったクレイグは、『ナイブズ・アウト: グラスオニオン』(原題:A Knives Out Mystery)で演じたジャネル・モネーに助演女優賞を贈呈した。クレイグはこの映画で、今や知らぬ者はいない名探偵ブノワ・ブランを演じている。それゆえに、このプレゼンテーションにはうってつけであった。

画像提供:ゲッティ

クレイグが映画のなかで特別なオメガのシーマスターを着用していることは、2022年末に『グラスオニオン』に関する記事で紹介した。ジェームズ・ボンド役の彼とオメガとのつながりはよく知られており、深夜のトークショーなどでは実際にスピードマスターを装着している姿をよく見かける。しかし、賞の晩餐会にスーツ姿で颯爽と現れたクレイグがムーンスウォッチをつけているのを目撃したのは、「なんてこった!」と言いたくなるような発見のひとつだった。

先日の夜、HODINKEEのSlackに、ヴィンテージの大家であるトニー・トレイナがガラで撮ったクレイグの写真を投稿してくれた。ムーンスウォッチを最も多く扱っていたエディターとして、この写真を共有しなければならないと思ったのだ。トニー、知らせてくれてありがとう。

ご存じない方のために説明すると、ムーンスウォッチとは、スウォッチとオメガの驚くべきコラボレーションによって生まれたモデルだ。11色のカラーバリエーションと3万3550円(税込)という財布に優しい価格を伴い、バイオセラミックによりスウォッチ化を図った象徴的なスピードマスターとなった。本モデルはオンラインでは購入不可能な時計として、社会現象にもなっている。私たちはこのムーンスウォッチを2022年のウォッチ・オブ・ザ・イヤーに選んだ。もっと詳しく読みたい方は、こちらか、こちらか、こちらへどうぞ。

クレイグがミッション トゥ ネプチューンを携えてニューヨークを訪れた際、その真っ青なケースとベルクロストラップはムーンスウォッチが不滅であることを立証するものだった。『ナイブズ・アウト』には続編があるが、ムーンスウォッチもそうなるのだろうか?

オーデマ ピゲ オールチタンのロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー ウルトラシン 41mmが登場。

オーデマ ピゲのようにヒットを飛ばしたいなら、ときには特別なリミックスを考えなければならない。ル・ブラシュのチームは、コンセプトモデルだったRD#2の特別な表現を発表した。最近の兄弟の成功に基づくこの新しいモデルは、多くのチタンを用いる一方で、プラチナの使用はごくわずか、そして新しい文字盤表現とともに限定生産で打ち出した。僕はこの時計に恋してしまった。

詳しく説明させて欲しい。ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー ウルトラシンは、2018年にコンセプトモデルのRD#2としてプラチナで発表された(その時計は以下で見ることができる。最高にレアでそれと同じくらいクールだが、手首に乗せるととても重たい)。2019年、オーデマ ピゲは、新しいフラットなダイヤルデザインと、ベゼルとブレスレットの中間リンクを除いた多くにチタンを採用したロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー ウルトラシン RD#2 Ref.26586IP.OO.1240IP.01を発表した。これらはプラチナ製で、生産数は非常に限られていたが、通常生産のモデルではなかった。この最新作では、RD#2の2度目の“生産”が行われ、今回は200本の限定生産となっている。

この3つの時計が、ある種、アニモーフ(アメリカの科学ファンタジーシリーズ)のような発展的な変身を遂げたと想像してもらえればと思う。コンセプトモデルのRD#2はプラチナ、次のRD#2 26586IPはプラチナとチタン、そして今回の変身は次のステージ、フルチタンに突入したのだ。幅41mm、厚さ6.2mm、重さ75gの26586TIは、ベゼルのビス(ホワイトゴールド製)だけが唯一チタンではないのが特徴だ。

初代RD#2は、フルプラチナのコンセプトモデルで、現在はオーデマ ピゲのミュージアムコレクションになっている。そう、すごいのだ。大きなプラチナの塊の使い道は、なかなか思いつかない。

26586TIは、貴金属を数g減らした以外が、ほぼ従来のフォーマットを踏襲しつつ、黒のインダイヤル、赤い日付のアクセント、同じブルーアベンチュリンのムーンフェイズを持つ新しい青から黒へ変化するサンバーストダイヤルを追加している。広報画像のスモークブルー文字盤はあまり好きではなかったが、実際に見ると、光の当たり具合でブルーの彩度が大きく変わるものの、インダイヤルのコントラストは失われず、美しいバランスに仕上がっている。

内部には、前出の例と同じ記録的な超薄型ムーブメント Cal.5133を搭載しており、ムーンフェイズとデイ/ナイト表示を備えたフルパーペチュアルカレンダー自動巻きムーブメントでありながら、厚さはわずか2.9mmしかない。価格は? そう、13万7000スイスフラン(日本での価格は要問い合わせ)という軽量でも薄型でもないなかなかの価格だ。

我々の考え
冒頭で言ったように僕は恋をしている。前のふたつのバージョンと同じように。僕の大好きな複雑機構を搭載しながら、軽くてつけやすいハイエンドなRD#2と26586TIをわずかに試着したとき、僕の顔から笑顔がこぼれ落ちた。しかしその笑顔も、時計を返したときには消えてしまった。まぁ、余談だが。

RD#2のさらなる表現として、26586TIはRDプログラムのメリットと、伝統と現代の最先端技術を融合させたロイヤル オークの開発力を直に物語っていると思う。この時計は、見た目も美しく、つけ心地も軽快で、特別な存在感を放っている。そして僕の目には、現行ロイヤル オークの全領域を覆い、後光が射しているように見える。

7インチ(18mm弱)の手首に装着した新しいロイヤル オーク QP 26586TI。

もし価格設定が問題だとすると(僕はこの時計のターゲットにとって重要だとは思っていないが)、このチタン製の新作は、先行して14万スイスフラン(約2040万円)で発売されたチタンとプラチナのRD#2 26586IPよりも少し安価になっている。僕の目には、これはオリジナルの素晴らしいリミックスであり、2019年のRef.26586IPの直接かつ明確な、魅力的な進化のように映っている。

基本情報
ブランド: オーデマ ピゲ(Audemars Piguet)
モデル名: ロイヤルオーク パーペチュアルカレンダー ウルトラシン(Royal Oak Selfwinding Perpetual Calendar Ultra-Thin 41mm)
型番: 26586TI.OO.1240TI. 01

直径: 41mm
厚さ: 6.2mm
重さ: 75g
ケース素材: チタン
文字盤: スモークブルー
インデックス: アプライド
夜光: 針とアワーマーカー
防水性能: 20m
ストラップ/ブレスレット: フルチタン製ブレスレット

AP Royal Oak QP titanium ultra thin
ムーブメント情報
キャリバー: 自動巻き 5133
機能: 時・分表示、パーペチュアルカレンダー、ムーンフェイズ、デイ/ナイト表示
直径: 32mm
厚さ: 2.9mm
パワーリザーブ: 約40時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 1万9800振動/時
石数: 37

AP Royal Oak QP titanium ultra thin
価格 & 発売時期
価格: 13万7000スイスフラン(予価。日本での価格は要問い合わせ)

H.モーザーの最新作、エンデバー・パーペチュアルカレンダー タンタル ブルーエナメルだ。

H.モーザーは、人々の注目を引くことを問題としたことは決してない(ときに度が過ぎることはある)。このブランドは過去に悪ふざけのきっかけを作ったことはあるが、優れた時計づくりのために、口先だけでなく行動を起こすことができる存在であることに疑う余地はない。

タンタルを使った時計が発売されるというのは、マニアのテンションをあげるのに十分だ。この素材はゴージャスでありながら極めて硬く、重く、濃く、さらに光沢を放ち、延性を持つ。私は市場で最も優れたホワイトメタル素材であるとも思っている。しかしその一方で、機械に負担をかけてケースメーカーの怒りを買うという、悪夢のような存在であることも多くの愛好家が知っていることだろう。タンタルの時計は、かつてのような大きな功績を残すことはないかもしれないが、“我々はこんなことができるのだということを見て欲しい”と、ブランドが胸を張っていえるようなモデルであることは確かだ。

フュメのグラン・フー エナメル文字盤も注目を集めるだろう。グラン・フー エナメルは、ガラスと金属を融合させたエナメル粉末を一層ずつふるい落とし、何度も焼成することで、まるで生きているかのような泡に似た質感を生み出す非常に繊細な技法のひとつで、一部のメーカー(anOrdainのような意外とリーズナブルなものも含めて)を除いてはほとんど見ることができない。

このふたつの要素を、H.モーザーの新作エンデバー(Ref.1800-2000)のような、美しくて極めてシンプルな42mmサイズの永久カレンダーに搭載すれば、それは大正解なのだ。

ベン・クライマーは2015年当時、A Week On The Wrist記事のなかで、モーザーのエンデバーは“私が考えるなかで最もエレガントな永久カレンダーだ”と言っている。あえていうならそれは今も変わらない。シンプルなデザインであるため、複雑な時計ではなく、普通の日付つき時計と見間違うほど。ときには“私は複雑だ!”と、声高に主張するカレンダーウォッチも欲しいのだが、それほど力説する必要のない時計は、なんだか贅沢な感じがしてくる。シンプルなディスプレイが、フュメのグラン・フー エナメル文字盤の“アビスブルー”のような素晴らしいデザインを表現するパレットとして機能するのであればなおさらだ。だが、この話はまた今度にしよう。

H.モーザー エンデバー・パーペチュアルカレンダー チュートリアルの写真に戻らなければならない。これは永久カレンダーを簡略化し、その簡略化された表示の読み方を文字盤上でおもしろおかしく教えてくれる時計である。メイラン夫妻のユーモアのセンスを知っている私は、この“チュートリアル”が発表された際、適度な皮肉を込めて鑑賞したが、手ほどきなしではデザインを理解できない人がいたら、どんなに侮辱されるだろうかと考えたものである。まあ、実は私も忘れていて助けを必要としたのだが…。1カ月はどこからがスタートなのか? 月表示の針は、文字盤の周りをジャンプしたり、少しずつ動いたりするのだろうか? 私は侮辱されたというより、恥ずかしい思いをした。

The H. Moser Endeavor Perpetual Calendar Tutorial
H.モーザー エンデバー・パーペチュアルカレンダー チュートリアル。courtesy H. Moser & Cie.

おさらいになるが考えすぎは禁物だ。日付は午前0時にジャンプし、必要に応じて月表示の針もジャンプする。つまり、小さな月表示のインジケーターは常に、1年から12年、または1月から12月までの月に関連付けられたダイヤルの時間を指していることになる。また文字盤に対して針がとても短いため、“今が1月か2月か”わからくなってしまうかもしれないが、いずれは慣れることだろう。

The dial of the new Moser Endeavor Perpetual Calendar with fumé grand feu enamel dial
日付窓、月表示の針、パワーリザーブインジケーター、6時位置にはスモールセコンドを搭載。

The movement of the new Moser Endeavor Perpetual Calendar
このエレガントなデザインに用いられたのは、34mm径のCal.HMC800で、8年前にベンがレビューした時計に搭載していた、オリジナルのHMC341から派生したムーブメントである。32石の新ムーブメントは、H.モーザーがそのあいだに繰り返し行ってきた改良を施して信頼性とパワーリザーブを向上させ、さらに組み立て時間を3分の1に短縮したものだ。このように、組み立てとサービスのダウンタイムの短縮に力を入れることは、以前から行ってきたモーザーの基本的な姿勢である。これはブランドの名刺代わりにもなっている、交換可能な脱進機モジュールの実現にも表れていることだ。また、2015年にベンが指摘した仕上げの“ショートカット”(内角というワードは、当時は今よりも流行していなかった)のなかには、ブリッジの特定部分の面取りのようなものも残っているが、何となくこの時計は少し丁寧さを感じることができ、仕上げに輝きが増しているような気がする。

The escapement of the The new Moser Endeavor Perpetual Calendar with fumé grand feu enamel dial
簡単に交換可能な、HMC800の脱進機。

多くの手巻き式永久カレンダーとは異なり、エンデバー・パーペチュアルカレンダー タンタル ブルーエナメルには、多くのおまけが付属している。簡略化された表示とは裏腹に、中身には完全に統合された(モジュール式ではない)ムーブメントを搭載しているのだ。

ヴィンテージの手巻き式永久カレンダーを手に入れる場合、それがうるう年表示がないモデルであれば、巻き上げを忘れるととんでもないことになる。しかしエンデバーを裏返すと、すぐに今年が何年目なのかを確認できるホイールが付いている。私の大好きなインフォマーシャルアイコン(CM)の言葉を借りれば、“set it and forget it!(一度設定したら後は放っておけばいい!)”。また、ツインバレルを備えており、約7日間というロングパワーリザーブを実現しているため、少なくとも、忘れていても巻き忘れることはないだろう。

しかしこのムーブメントは、誤作動しないようにつくっているという、最大のおまけを搭載していることを“チュートリアル”ウォッチでハッキリと示している。時計メーカーは、時計の設定や使用方法に関して、ユーザーエクスペリエンス(おそらくクレーム要求を避けるため)に注意を払っているようである。さらに一般的に、午後9時から午前3時まで日付や月の設定ができない、日付変更禁止時間帯に操作をするとムーブメントが壊れてしまい、多額のサービス料が発生するということもなく、チュートリアルは時計をセットしていい時間とそうではない時間を、1時間も必要としない。もう一度言おう。一度設定したら後は放っておけばいい!

真意を理解すると、タンタルはH.モーザーにとって今年の顔ともいえる金属なのかもしれない。H.モーザーは、タンタルに翡翠の文字盤を組み合わせた10本限定のエンデバー・パーペチュアルカレンダーも発売している。フュメのグラン・フー エナメル文字盤は、このケース素材との相性が抜群といえるのではないだろうか。ダークでムーディーな雰囲気のケースは、光の加減で深いブルーと薄いブルーの両方の色調からセンターのシーフォームグリーンまで変化する、この文字盤の背景としてピッタリだと思うのだ。

リーフ針も、センターポストから先端にかけて2分割され、文字盤のグラデーションに対して常に鮮やかな印象で、光と影をうまく受け止めている。そして最後のディテールは、翡翠文字盤に足りないと思っていた要素をフォローするように配された、大きな日付窓を囲ったメタルの囲いだ。

エンデバー・パーペチュアルカレンダーの装着感が悪いと、リリースのすべてが無意味になってしまう。ただ嫌いな人には申し訳ないが、この時計の装着感は最高だった。6時と12時が緩やかなカーブを描くシースルーバックを備え、またラグは手首にフィットするよう、スカラップ型のミドルケースに対してやや高めにセットしていた。マットなクードゥーレザーストラップはダークなタンタルケースと相性がよく、この金属製の時計に求められる迫力を補完している。さらに“H. Moser & Cie.”と刻印されたSS製のクラスプは、時計を身につけているあいだ、唯一メーカー名を見ることができるディテールとなっている。直径42mm、厚さ13.1mmというサイズ感は従来のドレスウォッチとは異なるが、モーザーは特に伝統的なことを意識しているものではない。

もしかしたら文字盤よりも目を引くのは、その価格かもしれない。価格は1182万5000円(税込)で、グラン・フー エナメルダイヤルのないホワイトゴールドと、ファンキーブルーフュメのバリエーションより、335万5000円もの差額がついている。anOrdainのようなブランドが、グラン・フー エナメルを3000スイスフラン(日本円で約43万9000円)以下で提供しているのだから、かなり厳しいものがある。しかし、タンタル製ケースと搭載している永久カレンダーキャリバーとのあいだでは統一性がなく、比較できないものである。さらにこのリリースをきっかけに、H.モーザーに興味を持った時計ファンがひとりでも、このブランドの深みにハマっていくことは間違いないだろう。