タグ・ホイヤーがカレラ グラスボックスを発表したとき、ひとつだけはっきりしたことがあった。

今年のLVMHウォッチウィークでは、左側に日付窓を備えたダートが新しいグリーンの文字盤とともに登場した。そして今、このまったく新しいパンダダイヤルのタグ・ホイヤー カレラ グラスボックスによって、さらなる進化が何であるかが判明した。

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表面的には、我々が知っているカレラと同じく、この新しいフォーマットのモデルだ。ブルーダイヤルの兄弟機と同様に、6時位置に縁なしのスモールセコンド表示を含む3つのレジスターを備え、そのなかに日付がきちんと組み込まれている。コントラストと視認性という点で、この新しいモデルは、伝説的なホイヤーの7753 SNからインスピレーションを得つつ、昨年発表されたカレラのブラックダイヤル、逆パンダモデルを参考にしている。このリファレンス番号のSNは、シルバーとノワール、またはシルバーとブラックを意味し、このモデルの主なデザイン的特徴となっている。

ヴィンテージとモダンをバランスよく融合させたこのモデルには、最高の視認性が備わっている。ほかのグラスボックスと同じように傾斜したタキメータースケールを備えていて、シルバー文字盤に映える対照的なブラックが採用された。3時と9時位置に配されたブラックのアズール仕上げのサブレジスターは、全体に見事に調和している。さらに、サブレジスターの針とミニッツトラックに施された赤い装飾が、コントラストと視認性を高め、レーシングトラックのような雰囲気を醸し出している。

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しかし、このヴィンテージにインスパイアされた不思議なモデルはそれだけではない。文字盤から目を離すと、ステンレススティールのブレスレットが目に飛び込んでくる。全面サテン仕上げが施され、このシルバー文字盤クロノにほかのコレクションとはまったく異なる表情を与えている。価格は83万6000円(税込)で、今月発売予定だ。

我々の考え
パンダダイヤルが嫌いな人はいないだろう。どんなブランドでもこの仕様の文字盤を作ることはできるが、タグ・ホイヤーほど重要な形でパンダダイヤルを作ることができるヘリテージとアーカイブを持つブランドはほとんどない。しかし、グラスボックスのフォーマットでリリースされた最近のスキッパーやダートといったさまざまなモデルを見るにつれて、私はタグ・ホイヤーがもはや復刻ビジネスではなく、インスピレーションビジネスを行っているという事実に特別な注意を払っている。つまり、文字盤にホイヤーロゴはもうないのだ。これらはタグ・ホイヤーであるということであり、忠実な復刻はもうなく、ブランドの深い遺産を思慮深く現代風にアレンジしているということである。

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そう考えると、グレーとブラックの配色を施したこの新しいカレラ グラスボックスは、歴史的な影響を一切感じさせないデザインのよさで成功を収めていると言える。現代の買い手に語りかけるようにモダンでありながら、時代を超越したデザイン要素を取り入れているのだ。

個人的には傾斜したタキメーター表示が黒で統一されているのも気に入っている。中央のサブレジスターに視線が集まるし、ブラックのエレメントが非常に読みやすく、使いやすいクロノグラフになっているからだ。オリジナルの7753SNはシンプルな時計で、パンダのデザインがポップな印象を与えていた。このモデルはより複雑でありながら、どこかシンプルに感じられる。私が最も楽しみにしているのは、このモデルを装着し、新しいブレスレットがパッケージの一部としてどのように感じられるかを見ることだ。このモデルについては、またショーのあいだにご紹介したい。

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基本情報
ブランド: タグ・ホイヤー(TAG Heuer)
モデル名: カレラ グラスボックス(Carrera Glassbox)
型番: CBS2216.BA0041

直径: 39mm
厚さ: 13.86mm
ケース素材: スティール
文字盤色: シルバー
インデックス: アプライド
夜光: あり
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: SSブレスレット

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ムーブメント情報
キャリバー: TH20-00
機能: 時、分、秒、日付、クロノグラフ
パワーリザーブ: 80時間
巻き上げ方式: 自動巻き

価格 & 発売時期
価格: 83万6000円(税込)

オメガとスウォッチがムーンスウォッチの新しいバリエーションを発表!

“溶岩(Lava)”から“北極の光(Polar Lights)”、そしてその狭間に位置する“砂漠(Desert)”まで。これらは今まででもっともクリエイティブなムーンスウォッチのリリースかもしれない。

このふたつのブランドは本日、3本の新作を発表した。満月にインスピレーションを受けた絶妙なバリエーションや、スヌーピーにインスパイアされた2本のリリースとは異なり、これらは地球に着想を得た非常にクリエイティブなものとなっている。

上の写真は“ミッション・オン・アース – ポーラーライツ(Polar Lights)”と呼ばれるモデルで、ケースと針はターコイズブルー(いや…、かなりグリーンがかったターコイズブルー)、文字盤にはアベンチュリンガラスの文字盤からインスピレーションを得たシルバーの小さな薄片の“星”が散りばめられている。また、“ミッション・オン・アース – デザート(Desert)”はサンドカラーで、文字盤とストラップは世界の地表の5分の1を占める砂漠にインスパイアされたグレージュ(トープ)を選択している。

最後に、地球上にあるおよそ1670の活火山から流れ出る高温の溶岩(もちろん、高温の火山灰やガスも)にインスパイアされた“ミッション・オン・アース – ラヴァ(Lava)”。この時計のさらにクールな点は、オレンジ色の秒針を備えたスピードマスター“ウルトラマン”へのオマージュである。3つのサブダイヤルの数字、およびインデックスは、オメガのアラスカIIおよびプロジェクトIIIのスピードマスターと同じように放射状に配置されている。

これら3つとも、6月15日(土)にスウォッチの“厳選された”店舗(実際にどのように店舗が選ばれているかは不明)で4万700円(税込)で販売される。

信じられないことに、ムーンスウォッチの発売からもう2年が経とうとしている。そしてそれだけの時を経たのち、直近のリリースでスウォッチはゆっくりと地球に戻ってきている。

登場したばかりのムーンスウォッチは、太陽系の主要な天体(私たちの太陽系を含む)のほとんどをカバーしていた。それが熱狂の幕開けとなり、時計はかつて私たちが見たことのないような形で広く世の中に浸透していった。その後、スヌーピーの魅力をフルに引き出した“ミッション・トゥ・ムーンフェイズ”が登場して、私も初めてムーンウォッチを手にすることになった。しかし今回発表されたのは、私たちが故郷と呼ぶ宇宙に浮かぶ大きな星をより深く見つめることに特化した、ムーンウォッチ初のモデルである。ときどきムーンウォッチ疲れとでも呼ぶべきものに悩まされることがあるが、“アベレージ・ジョー(ここでは時計愛好家ではない普通の人々の意)”を時計の世界に引き込んだ彼らのパワーは認めるべきだし、私でさえこれらの新しい時計はかなりクールだと言わざるを得ない。

写真からの判断になるが、新作の“ポーラーライツ”は、アベンチュリン風のキラキラした文字盤で私のお気に入りになるだろう。“ラヴァ”のインスピレーション源がスピーディの“ウルトラマン”であることについては、オメガも素直に認めている。このふたつのブランドは、オリジナルのスピードマスターが有するコレクター心をくすぐる難解な情熱をよく理解しているのだ。サンドカラーモデルの“デザート”は、今回の3モデルのなかではもっとも落ち着いた印象で、“ミッション・トゥ・サターン”や“ミッション・トゥ・ジュピター”を彷彿とさせる(この2モデルは、いずれもオーソドックスなカラーで人気を博している)。

基本情報
ブランド: オメガ × スウォッチ(Omega x Swatch)
モデル名: ムーンスウォッチ ミッション・オン・アース ラヴァ、ポーラーライツ、デザート(MoonSwatch Mission On Earth Lava, Polar Lights, and Desert)

直径 42mm
厚さ: 13.25mm
ケース素材: オレンジ、ターコイズ、サンドカラーのバイオセラミック
文字盤色: ブラック、極小のシルバーがきらめくダークブルー、トープ
夜光: あり、インデックスと針
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: ベルクロストラップ

ムーブメント情報
キャリバー: クォーツクロノグラフムーブメント
機能: 時・分・秒表示、クロノグラフ

価格 & 発売時期
価格: 4万700円(税込)
発売時期: 6月15日(土)、一部のスウォッチストアにて

優れた時計と同じように手触りの良いパワフルなフォルムに純粋な機能を備えています。

ほぼすべてのアイコンのステータスは、その遺産の上に築かれています。クロノグラフ1は911をデザインしたフェルディナント・アレクサンダー・ポルシェによって設計デザインされたものです。文字盤は911のダッシュボードのメーターから着想を得ており、時間を伝えるだけでなく、最速のラップから日々のラリーまでの時間を測定するのに役立ちます。

ブラックアウトというコンセプトはほかのブランドでも試みられたものですが、ポルシェデザイン クロノグラフ1はフォルム、機能、視認性の高さを融合させた先駆者でした。ほかの真のアイコンと同様、このモデルも時代の最先端を行くものであったため、発表と同時に賛否両論が巻き起こりましたが、今日クロノグラフ1は不朽の名作として語り継がれています。そこでHODINKEEとポルシェデザインがコラボレーションし、350本限定のトリビュートモデル、

コラボレーションのためにHODINKEEらしいタッチをほんの少し加えただけで、新しいクロノグラフ1はよく見慣れたものになっていると思います。実際あまり紹介する必要もないと思いますが、簡単に見ていきましょう。

1972年、クロノグラフ1がF.A.ポルシェによって設計されたとき、それは実用的なツールであり、物議を醸すような時計ではありませんでした。当初この時計は選ばれた従業員だけが着用する時計として作られたのです。しかし、すぐに噂が広まり、ポルシェ愛好家たちが自分のものとして欲しがるようになりました。やがてこの時計は一般に向けて発売され、インスピレーションの源となった911と同様にポルシェ正規販売店で販売されました。その後、クロノグラフ1は幾度かのモデルチェンジを経験し、ポルシェデザイン50周年を記念して2022年にオリジナルに忠実なオマージュとして復刻されています。

F.A.ポルシェの仕様にほぼ忠実でありながら、現代向けにアップデートされています。スイスのゾロトゥルンにあるポルシェの時計工場で設計、開発、製造されました。その際にF.A.ポルシェが現代のリリースに向けてどのような改良を加えただろうかと想像を巡らせました。その答えは? 改良の余地はほとんど無いという結論に達しました。アイコンを改良するのは難しいのです。

オリジナルのクロノグラフ1のデザインをリフレインしながら、ケースは直径40.8mm、厚さ14.15mmに。それとマッチするように装着されたブレスレットは、耐久性に優れた超軽量チタニウム製で、マットブラックのチタンカーバイドコーティングが施されています。ヴィンテージ911の雰囲気をより現代的な仕様で再現しようとするポルシェ愛好家の最近のバックデート志向のように、クロノグラフ1 HODINKEEモデルのスーパールミノバ®は、文字盤のインデックスの方が針よりもやや濃い、レトロ風の色合いを帯びています。この微妙な調整により、オリジナルの文字盤の経年変化に慣れ親しんだヴィンテージ・クロノグラフ1の愛好家にとって、この新しい時計はより親しみやすいものとなっています。

ダイヤルにはオールドスクールなポルシェデザインのロゴとフォントが使用され、アメリカ市場への敬意を表して「1 Mile」グラフィックが再現されています。6時位置の「H」は、文字盤上で唯一ホディンキーにちなんだもので、軍用モデル「3H」に使用された1972年のポルシェデザイン・レッドで表現されています。

日本のポルシェデザインとHODINKEEファンコミュニティへのオマージュでもあります。そのため、3時位置のデイ&デイト表示は英語と日本語に対応しています。クリックとリューズを数回回転させるだけで、どちらの言語で表示されるかを選ぶことができます。

ダイヤルデザインは、上部に30分積算計、下部に12時間積算計、9時位置にランニングセコンドを配した、アイコニックな6-9-12サブダイヤルレイアウトを継承しました。しかし今、そのボンネットの下には、超高精度のポルシェデザイン・キャリバーWERK 01.140が搭載されています。このムーブメントは、歴史的なポルシェデザインのロゴ、レタリング、限定ナンバーを示すチタン製のクローズドケースバックの裏で安全に収納されています。また、HODINKEEの名前とアイコン、「2024」という年、そして「TRILOGY – CHAPTER 1」という刻印が施されています。

初代911や1972年のポルシェデザインの黎明期のように、HODINKEEの新しいクロノグラフ1限定モデルは、物語の始まりに過ぎません。しかし、この新しいクロノグラフ1がアイコンになるかどうかを決めるのは、時計自体ではなく、それを身につける人々と彼らがそれを使って行うことなのです。

シーファラーは、海、砂浜、そして太陽の情景を思い起こさせる時計です。

モダンなカレラでありながら、私たちが特に愛するヴィンテージホイヤーのデザイン哲学をしっかりと受け継いだ1本です。このコラボレーションでは、1968年のカラーリングとベゼルデザインをそのままに、タグ・ホイヤーの現代的な魅力が見事に融合されています。

1940年代後半から、ホイヤーはレーサー、パイロット、冒険家、そしてアウトドア愛好者のためにツールウォッチ、つまり特定の目的に特化したクロノグラフを製造することを使命としていました。これらの時計の一部は、アバクロンビー&フィッチを含む小売パートナー向けにホワイトラベルで提供されていました。約1世紀前、アバクロンビー&フィッチは自らを「世界一のスポーツ用品店」と謳い、テディ・ルーズベルト、アメリア・イアハート、アーネスト・ヘミングウェイといった著名なアウトドア愛好家たちを装備で支えていました。ニューヨークにある巨大な旗艦店には、かつて若き日のジャック・ホイヤーが担当していた時計部門があり、1940年代初頭、ホイヤーはこのニューヨークの小売店向けに、防水ケースに収められた高級なスリーレジスタークロノグラフの製造を開始しました。それはまさに冒険にふさわしい時計だったのです。

1947年か1948年頃、アバクロンビー&フィッチからホイヤーに対して、ジョン・オールデン・ナイトのソルナー理論を活用した時計デザイン依頼がありました。この理論は、太陽と月の位置に基づいて、魚や獲物が最も活動的になる時期を予測することができます。また、月が潮汐を支配しているように、この概念は海での潮の満ち引きの時期を予測するのにも役立ちます。ナイトは毎年、狩猟や釣りに最も適した日や時間を示す一連のチャートを発表していました。

当時のアバクロンビー&フィッチの社長であったウォルター・ヘインズは、この理論を活用したタイドインジケーターを備えた時計のデザインに関する特許を取得し、シャルル・エドゥアール・ホイヤーに手紙を書き、この新しいデザインの製造を依頼しました。

ジャックの高校時代の物理教師の助けを借りて、ホイヤーは情報を正確に記録する複雑機構を開発することができました。それは、29.5日の月の周期のちょうど2倍の期間である59日ごとにゆっくりと回転する文字盤を備えたものでした。

タイドインジケーターは、4時位置に追加されたプッシャーを簡単に操作することで、地元の潮汐表に合わせて更新することができました。最初のモデルは、控えめなクリーム色の文字盤と、6時位置に配置されたテクニカラーの太陽の文字盤を備え、これが日中に回転して満潮と干潮の時期を示すものでした。こうして、ソルナーが誕生します。

この新機能は予想通り、非常にニッチなものでした。しかし、発売後すぐに、ホイヤーが開発したデザインと技術は、アバクロンビーの依頼により、3つのレジスターを持つクロノグラフ機能と組み合わされました。通常9時位置にあるはずのランニングセコンドレジスターの代わりに、ホイヤーはソルナーのタイドダイヤルを搭載。クロノグラフと組み合わせることで、3時位置には青と白のレガッタタイマーが追加され、より多くの水上冒険に対応することができました。このタイドクロノグラフはアバクロンビー&フィッチによってシーファラーという名前で販売され、ホイヤーのマルチパーパスクロノグラフの新時代が幕を開けたのです。

約10年間、シーファラーの基本的な美学は大きく変わらずに保たれていました。しかし、ホイヤーのヴィンテージカタログのなかで、このブランドの変遷を最もよく示している時計はシーファラーかもしれません。他のアイコニックなモデルとは異なり、シーファラーは専用のケースが与えられることはありませんでした。次の20年間で、文字盤の色、ベゼル、ケースの形状やサイズが変化し、1960年代の終わりにはよりモダンでスポーティなスタイルにシフトしていきました。

1968年、ホイヤーはオリジナルシーファラーの最終バージョンを製作。頑丈なオータヴィアのコンプレッサーケースを採用したシーファラーRef. 2446Cは、100mの防水性能を持ち、これまで以上に海にふさわしい時計となりました。文字盤はダークアンスラサイトグレーで覆われ、回転式の分ベゼルが追加され、タイミング機能がさらに強化されました。タイドインジケーターは、日中の満潮と干潮の時間を視覚的に示す二色の青色を採用。シーファラー Ref. 2446C は、シーファラーの最後のバージョンとなり、それが今日まで続いています。

過去と現在のタグ・ホイヤーの魅力すべて
タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ シーファラー × Hodinkeeは、私たちのお気に入りであるシーファラーのリファレンスを現代的で頑丈かつ魅力的に再解釈したモデルです。シーファラーには専用のケースが存在しなかったため、この限定版をオータヴィアスタイルのケースではなく、42mmのカレラ グラスボックスケースに収めました。このドーム型サファイアクリスタル風防は、ヴィンテージのプレキシガラスのプロファイルを再現しつつ、耐久性と透明度が大幅に向上しており、水上での使用において重要な要素となっています。

オリジナルのカラースキームに忠実に、ブラックオパーリンの文字盤には、レガッタとタイドサブダイヤルにスカイブルーとロイヤルブルーの色合いがアクセントとして加えられています。カレラはベゼルがないケースであるため、オリジナルの美学を保つために、ブラックオパーリンの見返し内にベゼルを移動させました。

よく見ると、シーフェアラーのロゴは6時位置のサブレジスターに移され、後期のリファレンスの特徴的なブロック体からインスピレーションを得たカレラのフォントが使用されています。後期のシーファラーRef.2446Cのフィーリングはそのままに、未来に目を向けるタグ・ホイヤーの精神を尊重し12時位置に現在のタグ・ホイヤーとカレラのロゴを配しました。そして、現行のカレラモデルから日付窓が取り除かれたことにお気づきでしょう。

最後に、この時計にはブラックのテクスチャード・ラバーストラップが装着されており、海上での使用にも適しています。この時計は、まさにタグ・ホイヤーの過去と現在のすべてを体現しているのです。

ダイヤル
オリジナルのホイヤー シーファラー Ref.2446Cにインスパイアされたこのコラボレーションは、1968年のオリジナルのカラースキームとベゼルスケールを現代風にアップデートして維持しています。時計にはブラックオパーリンの文字盤が採用されており、内側の見返しには60秒スケールがあります。3つのサブレジスターはスカイブルー、シルバー、ホワイトの見事な組み合わせが特徴で、これはヴィンテージ後期のシーファラーを彷彿とさせます。9時位置にはタイドダイヤル、30分のヨットタイマーダイヤル(ヨットレースの5分間隔で分割)とランニングセコンドのサブダイヤルが配置されています。

グラスボックスコンセプトの未来志向を反映し、12時位置には現代のタグ・ホイヤーとカレラのロゴが施されています。オリジナルへのオマージュとして、6時位置には新たにデザインされたシーファラーのロゴが。文字盤は、昼間は白く、夜間は緑に光るスーパールミノバを施した磨き上げられたスティール製インデックスと針で強調されています。

ケース
タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ シーファラー × Hodinkeeは、繊細なサテン仕上げが施されたステンレススティール製の42mmのカレラ グラスボックスケースに収められています。ラグ幅は22mm、ラグからラグまでの長さは48.6mm、厚さは14.4mmです。クロノグラフのプッシャーはケースの右側に配置され、新たに「TIDE」プッシャーが左側に設けられています。

すべての時計は100mの防水性を確保するために、水中での耐圧テストが実施されています。ケースバックには、このコラボレーションを記念して「TAG Heuer x Hodinkee」の刻印と、限定版の個別番号XXX/968が施されています。

クォーツウォッチ開発をリードした諏訪精工舎の技術をさらに進化させ、

1978年(昭和53年)に発売されたセイコー クオーツ シャリオ Cal.5931が、国立科学博物館が認定する2024年度の重要科学技術史資料(通称、未来技術遺産)に登録された。

未来技術遺産とは、日本の科学技術の発展に寄与した重要な物品や技術の保存と継承を目的として2008年から始まった制度で、具体的には過去から現代にかけて開発された技術や製品、またその技術に関連する資料が将来の科学技術の研究や社会の発展にとって重要とされるものを指す。

未来技術遺産として認定されるためには、科学技術の進歩に顕著な貢献をした技術や製品であること、歴史的な意味や文化的な価値を持つものであること、そして現代および未来の技術発展にとって有用な知識や経験を提供するものであること、といった要件を満たしている必要がある。

選定に際しては、まず有識者による審査が行われ、科学技術史的な意義や保存の必要性を評価。認定されると、国立科学博物館がこれを保管し、公開展示や資料としての利用が行われることがある。未来技術遺産は、単なる“モノ”としてではなく、日本の技術的進化を象徴する遺産であり、未来の社会に役立つ資産としての意義を持つ。こうした資料を通じて、過去の技術革新がどのように現代の生活に影響を与えているかを学び、未来の技術開発に生かすことが期待されている。

これまでにもセイコーの製品はいくつか登録されており、セイコー クオーツ シャリオ Cal.5931は、以下の製品に続いて同社では7点目の登録となる。これまでの登録製品は以下のとおりだ。

・2018年度:世界初のクォーツ式腕時計「セイコー クオーツ アストロン 35SQ」
・2019年度:世界初の6桁表示デジタルウオッチ「セイコー クオーツLC V.F.A. 06LC」
・2020年度:「スパイラル水晶時計 SPX-961」、「音声報時時計ピラミッドトーク DA571」、「 超超薄型掛時計 HS301」
・2021年度:ぜんまいで駆動し、クォーツで制御する世界初の腕時計「セイコー スプリングドライブ 7R68」

未来技術遺産に選ばれた理由

セイコー クオーツ シャリオ Cal.5931が選定された理由は、ずばりアナログクォーツウォッチの小型・薄型化および電池の長寿命化を支える“適応駆動制御”と呼ばれるシステムを初めて搭載した腕時計であったからだ。

この適応駆動制御システムとは、針を動かすステップモーターの駆動パルス(信号)を複数種類持ち、モーターの回転ごとに時計の状態を判断して、最小の消費電力となるように切り替えるというもの。分かりやすく言えば、それまでアナログクォーツムーブメントにおける電力消費量の7~8割を占めていた、針を動かすためのステップモーターの電力消費量を従来の約半分に抑えることを可能にした画期的技術だった。その後、この制御システムはアナログクォーツウォッチに欠かすことのできない重要なコア技術のひとつと位置づけられ、現代においても改良を重ねながら用いられている。たとえば現行のGPSソーラーウォッチをはじめとするセイコーのアナログクォーツムーブメントにも、この適応駆動制御システムが組み込まれているほどである。

セイコー クオーツ シャリオとは?
セイコー クオーツ シャリオは、かつて存在したシャリオコレクションに属するバリエーションだ。男性向けの薄型ドレスウォッチとして誕生したコレクションで、当初は手巻きや自動巻きモデルもあり、クォーツモデルはそのひとつだった。セイコー クオーツ シャリオの名が確認できる公式な資料は、1974年の『セイコーウオッチカタログ vol.2(販売店向けの製品カタログ)』から。そして1978年に製作されたとされるトップ写真モデルのカラーバリエーション(Ref.CGX021)は、1980年のカタログでその存在を確認できる。

だが、実は1971年こそがシャリオコレクションの原点であろう。というのも、1971年の『セイコーセールス 10月号/No.160(セイコーの製品ラインナップや技術情報を消費者や販売代理店に伝えるために発行していた小冊子)』の10月の新製品情報として“セイコー ドレスウオッチ 2220”発売のニュースが報じられている。これは手巻き式の薄型ドレスウォッチだったが、これこそがのちにセイコー シャリオとして分類されるコレクションの一部になったと考えられる。1971年時点ではまだシャリオの名は見られないが、1974年の『セイコーウオッチカタログ vol.2』では、まったく同じモデルが“セイコー ドレスウオッチ シャリオ”として紹介されているのだ。

その一方、1960年代から1970年代前半にかけて、セイコーでは諏訪精工舎と第二精工舎が競うようにクォーツムーブメントを開発した。最初に販売にこぎつけたのは諏訪精工舎が開発したCal.35系(1969年)。これは世界最初のクォーツ式腕時計として販売されたセイコー クオーツ アストロン(Cal.35SQ)に搭載されたものだった。そして翌1970年には第二精工舎がCal.36系を発売する。しかしどちらも短命に終わり、製造の中心となったのは1971年登場のCal.38系(諏訪精工舎)と1972年登場のCal.39系(第二精工舎)だったが、Cal.39系は発光LEDを搭載するなど特殊であったため、コレクションの中心となったのはCal.38系であった。とはいえ、これらは基本的に精度を追求したもので厚みがあり、当時のトレンドであった薄型ドレスウォッチに向くムーブメントとは決して言えなかった。

アナログクォーツウォッチの小型・薄型化は時代が求めたものだった。セイコーのデザイン史をまとめた「Seiko Design 140」によれば、1960年代当時の日本ではスーツ姿の会社員が増えたことでスーツに合う薄型時計が売れ筋となり、ゴールドフェザーなどの薄型機械式ドレスウォッチが人気を集めたそうだ(世界的に見ると、1950年代にはすでに薄型時計開発をメーカー各社で進めており、そうしたトレンドが日本でも顕在化し始めていた)。こうした当時の様子を背景に、クォーツウォッチにおいても早くから小型・薄型化が求められた。

そんななか小型・薄型のクォーツウォッチとして市場に投入されたコレクションこそ、セイコー クオーツ シャリオだった。1974年にセイコー(当時の諏訪精工舎)は最大直径19.4mm、秒針なしの厚さで3.8mmというサイズを実現した小振りな量産クォーツムーブメントとしてCal.41を開発した。そしてセイコーはこのCal.41の派生系であるCal.4130を持ってクォーツのドレスウォッチを商品化し、分厚いクォーツではドレスウォッチは不可能という当時の常識を覆した。Cal.4130は世界最薄のクォーツムーブメント(当時)とされ、女性向けと思われる小振りなモデルに採用されたほか、男性向けのシャリオコレクションにもいち早く投入された。しかし当時の販売店向け製品カタログを見ても、クォーツの薄型ドレスウォッチのラインナップは決して多くはなかった。

第二精工舎が手がけた小型・薄型クォーツムーブメントCal.5931

前述のとおり、小型・薄型のクォーツウォッチ開発で1歩リードしていたのは諏訪精工舎だ。そんな最中に登場したセイコー クオーツ シャリオ Cal.5931(59系)は、待望のムーブメントだったに違いない。開発・製造を担ったのはクォーツウォッチ開発で先を行っていた諏訪精工舎ではなく、当時の第二精工舎だったのだ。

Cal.59系ムーブメントの登場以降、セイコーのクォーツウォッチコレクションはトレンドも受けて一気に花開くこととなる。その理由は、未来技術遺産の選定理由にあるとおり。小型・薄型化が図られただけでなく電池の長寿命化も叶えることとなり、さまざまなデザイン、サイズ、シーンにふさわしいクォーツウォッチが数多く製造されるようになり、選択肢は大幅に拡充した。

世界初のクォーツ式腕時計として登録されたセイコー クオーツ アストロン 35SQなどと比べると、その意義はやや分かりにくいかもしれない。だが、クォーツウォッチの普及に大きく貢献することとなったという意味では、Cal.59系ムーブメントは紛れもなく語り継ぐべき重要な技術遺産にふさわしいものと言えるだろう。