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【ブランド別】50万円で買えるおすすめ腕時計

50万円という価格帯は、憧れの高級ブランドにも手が届く現実的な予算といえるでしょう。ロレックスやオメガといった世界的に有名なブランドから、タグホイヤーやIWCなどの洗練されたモデルまで、品質とデザイン性を兼ね備えた一生モノの腕時計を手に入れられます。

この記事では、50万円の予算で手に入るおすすめの腕時計を、ブランド別に詳しく紹介します。新品と中古のメリット・デメリットも含めて、自分にぴったりの1本を見つけるために参考にしてください。

50万円の腕時計の魅力

50万円という価格帯は、高級時計のエントリーから中堅モデルが手に入る現実的な予算となっています。「高すぎず安すぎない」バランスの取れた金額といえます。

腕時計を「一生モノ」として考えた場合、50万円という投資額は決して無理のない範囲といえるでしょう。10年、20年と長く愛用することを考えれば、年間換算では2万5千円から5万円程度の計算になります。毎日身に着けるアイテムとして考えれば、品質の高い腕時計への投資は十分に価値のある選択です。

特に中古市場を見れば、新品では70万円や80万円するような人気ブランドの高級モデルも、50万円の予算内で手に入る可能性があります。状態のよい中古品なら、憧れのブランドや上位モデルにも手が届くため、選択肢は大幅に広がります。

この記事では、腕時計のレンタルサービス「カリトケ」で展開されている腕時計の中で、50万円で入手できるモデルを紹介していきます。実際に手に取って確認できるモデルばかりなので、購入前の参考としても活用していただけるでしょう。

【ブランド別】50万円で買えるおすすめ腕時計
50万円の予算で選べる腕時計は、コストパフォーマンス・信頼性・デザイン性すべてにおいて優れたブランドが揃っています。ビジネスシーンでの実用性を重視する方から、休日のカジュアルな装いに合わせたい方まで、目的や好みに応じて最適なモデルを見つけられるでしょう。

ロレックス
世界最高峰の時計ブランドとして名高いロレックスですが、50万円の予算でも手に入るモデルが存在します。特に中古市場では、ロレックスならではの堅牢性と精度を備えたモデルを選べるでしょう。

オイスターパーペチュアル デイト(1500)

オイスターパーペチュアル デイト(1500)は、34mmのコンパクトなケースサイズでシンプルな仕様を持つ定番シリーズです。落ち着いた配色と無駄のないデザインは、ビジネスシーンからカジュアルなシーンまで、どのような場面でも違和感なく溶け込みます。

ロレックス特有の重厚感がありながらも、控えめなサイズ感は日本人の手首にもよく似合うでしょう。

オイスターパーペチュアル デイト(1500)の商品詳細

オイスターパーペチュアル(176200)

オイスターパーペチュアル(176200)は、26mmのさらにコンパクトなケースサイズを持つモデルです。可愛らしい配色が印象的でありながらも、ロレックスならではの精密さと品質の高さは健在です。

小ぶりなサイズながらも、ブランドの威厳を損なうことなく、エレガントな印象を与えてくれます。女性にも人気の高いモデルですが、細身の男性にもおすすめできる1本です。

オイスターパーペチュアル(176200)の商品詳細

タグホイヤー
スイスの名門ブランドであるタグホイヤーは、スポーツウォッチの分野で長年にわたって革新を続けてきました。50万円の予算なら、ブランドの代表作ともいえるモデルを選べます。

モナコ キャリバー12 クロノグラフ スティーブマックィーン(CAW2111)

モナコ キャリバー12 クロノグラフ スティーブマックィーン(CAW2111)は、光沢のあるブルー文字盤にレッドのアクセントが映える鮮やかなカラーリングが特徴的なモデルです。映画「栄光のル・マン」でスティーブ・マックィーンが着用したことでも有名な、四角いケース形状の個性的なデザインが目を引きます。

レザーベルトとの組み合わせは、スポーツウォッチでありながら洗練された大人の印象を演出してくれるでしょう。スポーツウォッチ特有のカジュアルさと、レザーベルトの持つきちんと感が絶妙に調和し、オンにもオフにも活躍する汎用性の高いモデルといえます。

モナコ キャリバー12 クロノグラフ スティーブマックィーン(CAW2111)の商品詳細

カレラ キャリバー17 クロノグラフ ジャックホイヤー(CV2119)

カレラ キャリバー17 クロノグラフ ジャックホイヤー(CV2119)は、シルバーの文字盤に赤いアクセントでクラシカルな雰囲気を演出するモデルです。アーミーグリーンのNATOベルトと合わせることで、ビジネスシーンでも余裕のある高級感を表現できます。

42mmというケースサイズは一見大きく感じられるかもしれませんが、ベルトに厚みが少ないため、実際に手首に着けた際の印象は意外にも落ち着いた雰囲気になります。

カレラ キャリバー17 クロノグラフ ジャックホイヤー(CV2119)の商品詳細

オメガ
オメガは月面着陸で使用された「スピードマスター」でも知られる、歴史と実績を持つスイスの名門ブランドです。50万円の予算なら、オメガの技術力と美しいデザインが融合したモデルを手に入れられるでしょう。

シーマスター アクアテラ マスターコーアクシャル(231.10.39.21.01.002)

シーマスター アクアテラ マスターコーアクシャル(231.10.39.21.01.002)は、ビジネスシーンでも違和感なく着用できるシャープなビジュアルと、小ぶりなケースサイズが魅力のモデルです。「アクアテラ」の名前が示す通り、陸でも海でも活躍する高い防水性能を備えながらも、エレガントな外観を維持しています。

シーマスター アクアテラ マスターコーアクシャル(231.10.39.21.01.002)の商品詳細

シーマスター プロダイバー300 コーアクシャル(212.30.41.20.03.001)

シーマスター プロダイバー300 コーアクシャル(212.30.41.20.03.001)は、日付表示が搭載された実用性に優れたモデルです。300m防水という本格的なダイバーズウォッチでありながら、ケースやブレスレットはやや曲線を描いたフォルムになっており、全体的に柔らかい印象を与えてくれます。

シーマスター プロダイバー300 コーアクシャル(212.30.41.20.03.001)の商品詳細

カルティエ
フランスの老舗ジュエラーであるカルティエは、「宝石商の王」として長年愛され続けてきました。腕時計においても、その美的センスと職人技術が存分に発揮されたモデルを展開しています。

タンク ソロ XL(W5200028)

タンク ソロ XL(W5200028)は、カルティエらしいシンプルでありながら高級感あふれるデザインのモデルです。「戦車」を意味する「タンク」と名付けられたこのシリーズは、直線的で力強いフォルムが特徴的です。

シンプルかつ洗練されたデザインは、シチュエーションやファッションを問わず使用できる汎用性の高さを持っています。ビジネスシーンでの格式高い印象から、カジュアルな装いでのアクセントまで、幅広い場面で活躍してくれるでしょう。

タンク ソロ XL(W5200028)の商品詳細

ロンドクロワジエール(WSRN0002)

ロンドクロワジエール(WSRN0002)は、マリンスポーツからインスピレーションを得たモデルです。「クロワジエール」は、フランス語で「クルージング」を意味します。

ローマ数字インデックスなどカルティエらしい伝統的な要素を受け継ぎながらも、新しいデザイン言語として誕生したメンズのスポーツラインです。上品さとスポーティーさが絶妙にバランスされた、現代的な魅力を持つ1本といえるでしょう。

ロンドクロワジエール(WSRN0002)の商品詳細

IWC
ドイツ系スイスブランドのIWCは、航空時計や海洋時計の分野で高い技術力を誇ります。機能性とデザイン性を両立したモデルは、多くの時計好きから支持を集めています。

パイロットウォッチ マーク18(IW327009)

パイロットウォッチ マーク18(IW327009)は、IWCらしいクラシカルな雰囲気が特徴的なモデルです。三針とデイト表示のみというシンプルな構成ながらも、航空計器を思わせるデザインには機能美が宿っています。

ドレッシーなサイズ感とミリタリーな雰囲気が合わさったデザインは、ビジネスシーンでも浮くことなく、同時に個性も表現できる絶妙なバランスを持っています。視認性の高い文字盤とシンプルな操作性は、実用時計としても申し分ない完成度を誇ります。

パイロットウォッチ マーク18(IW327009)の商品詳細

ポートフィノ クロノグラフ デイデイト(IW391007)

ポートフィノ クロノグラフ デイデイト(IW391007)は、ホワイトベースで統一された無駄のないデザインが印象的なモデルです。イタリアの美しいリゾート地「ポートフィノ」の名を冠したこのシリーズは、クラシカルな雰囲気を漂わせる大人のスポーツウォッチとして位置づけられています。クロノグラフ機能を搭載しながらも、文字盤のレイアウトは整然としており、上品で落ち着いた印象を与えてくれます。

ポートフィノ クロノグラフ デイデイト(IW391007)の商品詳細

ブライトリング
航空業界との深いつながりを持つブライトリングは、プロフェッショナル向けの高精度時計を手がけるスイスブランドです。機能性とたくましいデザインが融合したモデルが豊富に揃っています。

スーパーオーシャン ヘリテージⅡ(AB2010)

スーパーオーシャン ヘリテージⅡ(AB2010)は、耐傷性・耐久性に優れたハイテクセラミックベゼルを採用したダイバーズウォッチです。時分針の視認性が高く設計されており、水中でも陸上でも正確な時刻確認が可能です。

シンプルながらもブライトリングらしい力強さを随所に感じさせるデザインは、アクティブなライフスタイルを送る方にぴったりのモデルといえるでしょう。堅牢な作りと実用的な機能は、長年にわたって愛用できる信頼性を提供してくれます。

スーパーオーシャン ヘリテージⅡ(AB2010)の商品詳細

ナビタイマー(A23322)

ナビタイマー(A23322)は、文字盤のツートンカラーがレトロな雰囲気を演出するモデルです。元々パイロット向けに製造されたモデルということもあり、特徴的な形状の回転計算尺が印象的なデザインとなっています。

複雑に見える文字盤レイアウトも、慣れてしまえばさまざまな計算が可能な実用的なツールとして活用できます。ブライトリングの技術力と航空業界での実績が詰まった、まさにブランドを代表する1本といえるでしょう。

ナビタイマー(A23322)の商品詳細

予算50万円は新品と中古だとどちらがお得?

50万円という予算で腕時計を購入する際、「新品で確実なモデルを選ぶ」か「中古でより上位のモデルを狙う」かは重要な選択となります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、購入目的や価値観に応じて判断することが大切です。

新品で買う場合
新品購入の最大のメリットは、メーカー保証による安心感です。通常2年から5年程度の保証期間が設けられており、万が一の不具合や故障の際にも安心して修理を依頼できます。また、最新モデルを誰よりも早く手に入れる喜びや、箱や付属品がすべて揃った状態で所有できる満足感も新品ならではの魅力といえるでしょう。

一方で、新品購入のデメリットは予算に対する選択肢の制限です。50万円という予算では、高級ブランドのエントリーモデルが中心となり、憧れの上位モデルには手が届かない場合があります。また、購入直後から中古市場での価値は下がり始めるため、将来的な資産価値の面では不利になる可能性もあります。

新品購入は、「確実に保証のある新しいモデルを手に入れたい」「初回購入で失敗のリスクを避けたい」という方に適した選択といえるでしょう。

中古で買う場合
中古購入の最大のメリットは、同じ予算でより上位のモデルや憧れのブランドに手が届く可能性があることです。新品では70万円や80万円するモデルでも、状態のよい中古品なら50万円以内で購入できる場合があります。また、すでに市場価格が安定しているため、購入後の価値下落リスクが少ないのも魅力です。

ただし、商品の状態や使用履歴の確認、正規品であることの保証、アフターサービスの対応など、新品購入時には必要のない検討事項があります。信頼できる販売店を選ぶことが重要で、保証内容や返品・交換の条件も事前に確認しておく必要があるでしょう。

中古購入は、「予算内で最高のモデルを手に入れたい」「ブランドやモデルに詳しく、状態の見極めができる」という方に適した選択といえます。

カリトケなら幅広い選択肢の中から最適な腕時計を選べる
カリトケは、好きな腕時計を月額制でレンタルできるサービスです。レンタルサービスに加えて、業界最安値水準の特別価格で中古腕時計の販売も行っており、特に人気・高級ブランドの50万円前後の中古腕時計が豊富に揃っています。

カリトケの中古腕時計一覧

中古は視野に入れておらず、新品の購入を検討している場合でも、本当に自分に合うかどうかの判断をするために、レンタルで実際に試してみるという使い方も可能です。カタログやWebサイトの写真だけでは伝わらない、実際の質感や手首への装着感、日常生活での使い勝手などを体験できるのは大きなメリットといえるでしょう。

実際に腕につけてみることで、思っていたよりもサイズが大きく感じたり、逆に想像以上にフィットしたりと、新たな発見があることも多いです。購入を検討している腕時計の着用感を事前に確かめたり、特別なイベントに合わせて高級時計を借りたりなど、さまざまな用途で腕時計を手軽に楽しめます。

カリトケでレンタルできる腕時計一覧

商品が届いたその日から使用でき、返却期限はなく、メンテナンスも不要です。まずは無料で会員登録してみてください。

オリエントスターから続々と新作情報が届いている。

オリエントスターのチタンダイバーズを待ち望んでいた人も多いんじゃないかと思う。

今回の記事では、M42コレクションに新しく投入された、M42 ダイバー1964 2nd エディション F6 デイト 200m チタンを紹介しよう。同じ日にリリースされたM34 F7セミスケルトンはこちらからどうぞ。

オリエントスターが展開するMコレクションは、M45、M34、M42の3つのラインで構築された旗艦コレクションだ。M45は伸びやかな形状のラグ、ローマインデックス、リーフ針を搭載したラインで、M34はシャープで力強いラグ、12時位置のローマインデックス、ストレート針を特長とするシリーズで展開している。そしてM42 ダイバー1964 2nd エディション F6 デイト 200m チタンが属するM42は、ダイバーズウォッチがラインナップされている(さらにすべてのMコレクションは、ブランドの象徴とも言えるパワーリザーブインジケーターを採用している)。

本機は1964年に発表された、“カレンダーオートオリエント”のデザイン要素を再解釈したものだ。当時、ダイバーズウォッチについて明確な基準はなかったものの、カレンダーオートオリエントは60年代としては珍しい回転ベゼルと、40mの防水性を確保していた。

新作はそんなカレンダーオートオリエントをほうふつとさせるディテールが満載だ。下の写真にある2モデルを比べてみるとわかりやすい。針の形状、インデックスの種類、ラグのフォルムは踏襲しつつ、ベゼルの目盛りを1分ずつ設けたり、デイトがある3時位置まで夜光を配したりなど、細かいながらもしっかりと改良を加えている。

1964 カレンダーオートオリエント
1964年に登場したカレンダーオートオリエント。

オリエントスター M42 ダイバー1964 2nd エディション F6 デイト 200m チタン
新しく登場したM42 ダイバー1964 2nd エディション F6 デイト 200m チタン。

使用素材もグレードアップしている。本機最大の特徴がケース&ブレスに使われたチタンだ。同素材は一般的な時計に使用されるステンレススティールより軽量なので、より快適につけられる。プレスリリースによると軽さのみならず、表面の硬化処理によってチタンの耐摩耗性も強化しており、過酷なシーンにも耐えうる強度を実現しているそうだ。また逆回転防止ベゼルには、耐食性が高いアルマイトリングをインサートしている。

SSモデルと異なり、チタン特有のグレーの色味をサテン仕上げで統一しているのもポイントだ。ダイヤルや回転ベゼルもマットなグレーを取り入れ、さらに針は艶消ししてサテン加工を施している。まだプレス写真でしか見れていないが、SSとはまた異なる雰囲気を放つのだろう。

国際標準化機構が定めたダイバーズウォッチの基準であるISO 6425に準拠した200m潜水用防水を確保、パワーリザーブは約50時間、日差+25秒~-15秒の精度で時を刻むなど、スペック面では申し分ない。価格は17万6000円(税込)で、10月26日に発売。現在予約受付中のため、気になる方はオリエントスターの公式ECショップをのぞいてみて欲しい。

ファースト・インプレッション
このモデルに見覚えがあるという人は多いだろう。それもそのはずで、オリエントスターの誕生70周年を記念した2021年に、ダイバー1964 1st エディションが初登場し、翌年には今回の新作と同じカレンダーオートオリエントをベースモデルに、本格ダイバーズウォッチへとスペックアップさせたダイバー1964 2nd エディションが出ているからだ。

本機が22年のダイバー1964 2nd エディションと違うところを挙げるとすれば、ケース&ブレスの素材と、厚みが0.2mm薄くなったこと、6時位置にTITANIUMという文字が1行追加されている点だろうか。既存も新作も生産量は限定していないため、SSかチタンか、より好みなほうのダイバーズが選べるといった感じだ。

オリエントスターに限った話ではないが、既存モデルをチタンバージョンで出してくれるブランドの取り組みは素晴らしいと思っている。一定の層に、ダイバーズなどのツールウォッチをチタンで求める人たちがいるからだ。実際、既存のSSモデルの175gに対して、新しいチタンモデルは113gと、約35%も軽量に作られている。

私もなるべくなら、1日中腕に乗せる時計は、つけているようでつけていないような感覚を与えてくれる軽量なものを選びたい。細腕の私は、腕時計が150gを超えると重いなと感じてしまうのだが、オリエントスターの新作は113gとだいぶ軽量になったため、SSとチタン両方手に取って、どれだけ軽くなったのか実際に確かめてみたい。

基本情報
ブランド: オリエントスター(Orient Star)
モデル名: M42 ダイバー1964 2nd エディション F6 デイト 200m チタン(Diver 1964 2nd Edition F6 Date 200m Titanium)
型番: RK-AU0701B

直径: 41mm
厚さ: 14.3mm
ラグからラグまで: 49.6mm
ケース素材: チタン(プロテクトコーティング)
文字盤: ブラック
インデックス: ドット
夜光: ルミナスライト
防水性能: 200m潜水用防水(ISO 6425規格準拠)
ストラップ/ブレスレット: チタン(プロテクトコーティング)ブレスレット、プッシュダブルロック三つ折式クラスプ(ダイバーエクステンション構造)

ムーブメント情報
キャリバー: F6N47
機能: 時・分・センターセコンド、日付表示、パワーリザーブインジケーター
パワーリザーブ: 約50時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 22

価格 & 発売時期
価格: 17万6000円(税込)

A.ランゲ&ゾーネがブラック文字盤とプラチナケースを組み合わせると話題になる。

最初にブラック文字盤を備えたプラチナ製ランゲは、1996年に発表されたユニークなトゥールビヨン “プール・ル・メリット”だ。そして1999年に発売された画期的なダトグラフ、ランゲ1 “ダース”がそれに続いた。このダイヤルとケースの組み合わせはランゲにとって特別なものであり、重要な時計にのみ採用される。それに加えて見た目もいい。

ランゲ1・パーペチュアルカレンダー、プラチナケース&ブラックダイヤル
こちらはプラチナ製の新作、ランゲ1・パーペチュアルカレンダーだ。

 かつてベン(・クライマー)が、オリジナルのブラック&プラチナのダトグラフについて書いたように、それはまさに“センセーショナル”だった。このことが、プラチナの新しいランゲ1・パーペチュアルカレンダーをランゲらしいものにしている。ランゲが2020年に、ピンクとホワイトゴールドのランゲ1・パーペチュアルカレンダーを発表して以来、このコレクションは独自の地位を確立した。

 ランゲ1・パーペチュアルカレンダーの起源は、ランゲがランゲ1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダーを導入した2012年まで遡る。それは30万ドル(当時の相場で約2395万円)を超える価格もさることながら、高級時計の世界におけるステートメントウォッチであった。個人的な余談になるが、2016年に発売された頃にWGのバージョンを見て、このスーパーカーのような時計に圧倒されたのを今でも覚えている。そしてこのジャンルで実際に身につけられる、数少ないもののひとつだとも感じた。それはダイヤルに“トゥールビヨン”の文字が入ったシンプルなもので、(ランゲ1の)エンジン内部がパワーアップしていることを示唆しただけの超控えめなスーパーカーだった。裏蓋側にも、トゥールビヨンの大部分が手彫りのブリッジの下に隠されていて、いかにもランゲらしかった。

2016年当時の、ランゲ1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー
2016年に撮影した、WG製のランゲ1・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー。

 そんな背景のなか、2020年に登場したランゲ1・パーペチュアルカレンダーは温かく迎えられた。Langepediaによると、設計者は2000年初頭にパーペチュアルカレンダーをランゲ1の設計に適応させようとしたが、確立された黄金比の適用と各独立表示を尊重しながら、ランゲ1のレイアウトに複雑機構を収めるのに苦労したと説明がある。また各月の終わりに、アウトサイズデイトを切り替えるという問題もあった。

 ランゲ1・パーペチュアルカレンダーは、オリジナルのランゲ1のミラーリングしたレイアウトから始まる(ホイヤーがCal.11のリューズを反転させ、それを初の自動巻きクロノグラフとしたようなものだ)。これはランゲ1コレクションの、最初の自動巻きモデルであるデイマティックから着想を得ている。ランゲ1・パーペチュアルカレンダーは、ダイヤルの周辺に月のリングを追加した。これにより、ダイヤルの中心は38.5mmに保たれ、元のランゲ1のケースと同じ直径とプロポーションになった。その後、この外周の月リングによって日付表示が切り替わり、月が48段階の歯車(すなわち、4年間のうるう年サイクルの各月に1回)で制御される、典型的なQP(パーペチュアルカレンダー)設計に取って代わる。

2016年当時のランゲ1・パーペチュアルカレンダー
2020年に発表された、オリジナルのランゲ1・パーペチュアルカレンダー。左がWG製(世界限定150本)で、右がPG製だ。

 そのほかの表示は、Cal.L021.3のおかげでランゲ1のデザインにシームレスにフィットした。このムーブメントにはほかにも、ジャーマンシルバーのプレートやブリッジ、ブルースティールネジで固定されたゴールドシャトン、手彫りのテンプ受けなど、ランゲに期待される特徴をいくつか備えている。また深夜まで起きているのに十分な理由となる、瞬転数字式表示カレンダー機構は、ランゲの製品開発ディレクターを長年務めたアンソニー・デ・ハス(Anthony de Haas)氏がこだわり抜いたものだ。

Cal.L021.3
ランゲ1・パーペチュアルカレンダーに搭載されたCal.L021.3。

 プラチナのランゲ1は“価格要問い合わせ”となっている。当初2020年に発売されたPG(税込で1196万8000円)およびWG(税込で1328万8000円)よりも割高になっていると思う(編集注記:金額はどちらも2020年当時のもの)。多くのブランドと同様、ランゲも2020年から数回価格改定行っている。新しいランゲ1・パーペチュアルカレンダー(Ref.345.036 E)は限定モデルではないが、入手は容易ではないだろう。さらに最近リリースしたほかの多くのランゲと同様、ブティック限定でもある。

 価格はともあれ、本作はすでに革新的なパーペチュアルカレンダーとして完成していたものを、見事に融合させた時計だ。しかしランゲが新作としてプラチナケースにブラックダイヤルを持ってくるのは、そう毎年あることではない。以下からはその重要性を伝えるために、ランゲにおけるこの組み合わせの歴史に少しだけフォーカスしていく。

暗闇から現れた“ダース” ランゲ
ランゲ1 ダース Ref.101.035
ダース ランゲ1、Ref.101.035。Image: Courtesy of Christie’s

漆黒のダース ランゲの歴史は、1996年発表のトゥールビヨン “プール・ル・メリット”(PLM)から始まった。PLMはランゲが1994年にリリースした4つあるオリジナルモデルのひとつで、すべてが38.5mmのケースに収められていた。PLMは特に技術的に傑出しており、トゥールビヨンとフュゼチェーン機構を組み合わせた最初の腕時計であった。ランゲはそれを200本しか生産せず、そのうちの50本がプラチナ製だった。そのなかでも異彩を放っていたのが、36.5mmへダウンサイズし、オールブラックダイヤルを取り付けた珍しいPLMである。こちらは2012年にDr.Crottで33万ユーロ(当時の相場で約3390万円)で落札されている。

 “この時計は後に-ダース-として知られるようになる、遺伝情報の一部が隠されている”と、アンダース・B・キルシュナー(Anders B. Kiertzner)氏がLangepediaに書いている。

ランゲ1 プール・ル・メリット・トゥールビヨン・プラチナ
36.5mmへとダンサイジングされた、ユニークなオールブラックの“ダース”ダイヤルのプール・ル・メリット。

 ランゲの聡明なドイツの美学は、プラチナの重さと完璧に調和する。ある意味、プラチナはランゲのなかで行われるあらゆる時計製造に耐えうる唯一の金属のように感じられるのだ。

 1999年、ランゲはRef.101.025(オールシルバー)の陰に隠れるよう、ランゲ1にブラックダイヤルを取り入れたRef.101.035をこっそりと発表した。ランゲがダースシリーズを製作していたのはわずか7年間だ。ブラックとプラチナのミックスは、ダースシリーズを発表した当時のランゲにとっては斬新なものだったが、その後すぐにコレクション全体に広まった。リトル・ランゲ1、アーケード、カバレットなど、すべてが黒く染まっていったのだ。

スティール製ブラックダイヤルのランゲ1
3本のうち1本が、スティール製のランゲ1、ブラック文字盤だ。

 しかし、“ダース” ランゲ1はプラチナにとどまらなかった。数十本ほどあるSS製のランゲ1(ランゲコレクターにとっては聖杯)のうち、3本が同じようなオールブラックの文字盤を備えていた。オークションに出品された最初のものはここで紹介している(最終的に23万3000ドル、当時の相場で約2535万円で落札されたようだ)。

 シルバーのインダイヤルを持つ一方で、ランゲはプラチナとブラックの方程式を用い、1999年にオリジナルのダトグラフ(Ref.403.035)を発表している。その自社製クロノグラフは、当時のスイス時計業界に一石を投じた。

ランゲ ダトグラフ Ref.403.035
ダトグラフ。

 その後、Langepediaのアンダース氏は、ダースのような腕時計ばかりが市場に登場し、少し飽和状態になったため、ランゲがダース ランゲ1をはじめとする多くのプラチナとブラックモデルを生産中止にし、2014年までオールブラックモデルをカタログに掲載しなかったと推測している。そしてそれは華々しく復活を遂げた。ランゲがブラックとプラチナの組み合わせの重要性をどう感じているかについて、疑いの余地はない。

 最初に発売されたリトル・ランゲ1は、黒一色のギヨシュ文字盤を特徴としていた。ギヨシュはランゲとしては珍しく、1998年に発売された最初のランゲ1の限定モデルへさりげなく敬意を表している。その後、艶やかなブラックエナメル文字盤を特徴とする、ランゲ1・トゥールビヨン“ハンドヴェルクスクンストが登場した。“ハンドヴェルクスクンスト”とは、職人技を意味し、ランゲが軽々しく投げかける言葉ではない(こちらとこちらを参照)。ランゲの20周年を記念して登場したもので、当時は“この追加のすべてが古典的なものだ”と書いていた。

ランゲ1・パーペチュアルカレンダー、プラチナケース&ブラックダイヤル
 ランゲ1・パーペチュアルカレンダーは現在、ランゲのスタンダードコレクションとしてダトグラフ・アップ/ダウンと並んだ、唯一のブラックダイヤル&プラチナケースである。

 Langepediaはオリジナルのダース ランゲ1について、 “私の意見では、ダース(ランゲ1)は手に入りにくい希少性やその美的な素晴らしさ、そして2度と通常生産では見ることができないという事実のために賞賛されるべきではない”と述べている。“むしろ、A.ランゲ&ゾーネのカノン(規範)におけるその位置づけとその後の影響のために、賞賛され、精査されるべきである。真の偉大さとは、それ自体の認識の欠如によって特徴づけられることが多い。ダース ランゲ1はまさにそこにあり、すぐに手に入り、ありふれた風景のなかに隠れていたのである”。

 さて、新作の“ダース”ランゲ1・パーペチュアルカレンダーは、ランゲのカタログのなかでも同様の地位を占めるだろう。美しくて荒々しさがあることは間違いないが、それ以上に重要なのは、ひとたび深く見れば、現代最高のマニュファクチュールメーカーの全貌を物語る、印象的な時計製造の作品であるということだ。

チェルボボランテ(Cervo Volante)とのコラボレーション第2弾を発表しました。

このリリースは、ニューヨークのビリオン オイスター プロジェクト(Billion Oyster Project)との提携に続くもので、今回の取り組みはサステナビリティに対するオリスの真摯な姿勢をあらためて示すものであり、環境への配慮を重んじるブランドとしての存在感をさらに高めています。

Oris x Cervo Volante 40mm
通常、このようなIntroducing記事ではストラップの話から始めることはありませんが、今回のコラボレーションの本質がそこにある以上、まず触れるのが自然でしょう。チェルボボランテは、スイスの環境当局が定める個体数管理の過程で得られる鹿革を活用し、それを耐久性と美しさを兼ね備えたレザー製品へと仕立てています。今回は深みのあるマホガニーブラウンのストラップに生まれ変わりました。さらに、同じ革を使用したチェルボボランテ製のトラベルポーチも付属しており、このコラボレーションを象徴的に結びつけています。

時計本体は、アウトドアから着想を得たディテールが際立つビッグクラウン ポインターデイトの40mmモデル。クラシックなポインターデイト針の先端はフォレストグリーンに彩られ、文字盤は深みのあるバーントメープル(秋の夕暮れ)トーンのグラデーション仕上げとなっています。

Oris x Cervo Volante 40mm
内部には、セリタをベースとした自動巻きムーブメント Cal.オリス754を搭載。パワーリザーブは約41時間、防水性能は50mで、オリスらしく日常使いに十分な堅牢性を備えています。

価格は40万4800円(税込)で、現在発売中です。詳細なスペックは以下のとおりです。

我々の考え
オリスが、サステナビリティに真摯に取り組む団体とのパートナーシップを継続し、その理念を製品づくりに直接反映させている姿勢には感銘を受けます。一見すると、鹿の個体数管理と時計製造は結びつかないように思えますが、オリスはこのふたつを自然なかたちで結びつける方法を見出しています。それはポインターデイトというモデルの世界観や、ブランドとして一貫して掲げるサステナビリティへの意識、そして両ブランドに共通するスイスの伝統とも美しく調和しています。

Oris x Cervo Volante 40mm
このコラボレーションの真髄はストラップにあります。その豊かなブラウンの色合いが、時計全体に温もりと個性を添えています。バーントメープルの文字盤と、先端がグリーンに彩られたポインターハンドの組み合わせによって、デザインは秋の季節にいっそうふさわしいものとなり、色づく木々や冬の焚き火のような温かさを感じさせます。これは単なるビッグクラウン ポインターデイトの季節限定モデルではなく、オリスが自らの理念をさらに深め、商業的な魅力と環境への配慮を両立させた1本なのです。

Oris x Cervo Volante 40mm
基本情報
ブランド: オリス(Oris)
モデル名: オリス X チェルボボランテ(Oris x Cervo Volante)
型番: 01 754 7785 4068-Set

直径: 40mm
厚さ: 12.2mm
ケース素材: マルチピースステンレススティール
文字盤: オレンジ
インデックス: プリント
夜光: あり、スーパールミノバ
防水性能: 5気圧
ストラップ/ブレスレット: マホガニーブラウンのチェルボボランテ製サステナブル鹿レザー(クイックストラップチェンジシステム付き)

ムーブメント情報
キャリバー: オリス754
機能: 時・分表示、センターセコンド、ポインターデイト表示、クイック日付設定、日付修正、ファインタイムチューニング、ストップセコンド
直径: 25.6mm
パワーリザーブ: 約41時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 26

価格&発売時期
価格: 40万4800円(税込)

ロンジン スピリット フライバック クロノグラフにチタンモデルが登場。

ロンジンは今年初めに発表したスピリットコレクションに、チタンモデルを投入した。

今年の初めに、ロンジン スピリット フライバック コレクションのリリースを取り上げた。そして今回、ロンジンはグレード5チタンケースを備えた、チタンブレスレットもしくはNATOスタイルストラップのどちらかを選択できるスピリット フライバックを発表した。ロンジンはすでにチタン製の時刻表示のみのスピリットを発表していたので(これは私たちのお気に入りだ!)、このコレクションの発展は予想できた。

longines spirit flyback chronograph
既存のスティールモデルと同様、チタン製スピリット フライバックのサイズは42mm径×17mm厚(ラグからラグまでは49mm)だ。その厚みの一部はドーム型サファイアによるものだが、その分厚さは避けてはとおれない。文字盤はサンレイ仕上げのアンスラサイトで、ブラックセラミックのベゼルインサートがそれを引き立てる。アプライドのアラビア数字と針にはスーパールミノバを塗布し、アクセントに金メッキを採用する。SSモデルのHands-On記事を見てわかるように、スピリット フライバックは文字盤とベゼルに強力な蛍光塗料が施されている。

グレード5チタンケースは100mの防水性を確保する。時計製造に関して言うと、チタンにはグレード2とグレード5の2種類がある。ロンジンではアルミニウムとバナジウムを含む合金である(アルミニウムが6%、バナジウムが4%含まれているためTi 6Al-4Vとも呼ばれる)、やや高品質なグレード5チタンが選ばれている。グレード5はより硬く、通常はハイエンドモデルの製造で目にする。一方手ごろな価格のオプションではグレード2が使われることがある。一例として挙げると、ロレックスのヨットマスターではグレード5が、チューダーのペラゴス39ではグレード2が使われている。

チタン製のロンジン スピリット フライバックは現在発売中で、価格はブレスレットが80万9600円、ストラップが76万100円(ともに税込)である。

我々の考え
longines spirit flyback chronograph titanium
ジェームズ(・ステイシー)は、39mmのスピリット Zulu Timeを実際に使ってみた感想として、“このファイブスターが過去のロンジンにおける品質の高さを示しているものであることはわかっているが、この時計がUberの評価を受けているのと同じように見えることも理解できる”と述べている。これがスピリット フライバックに対する私の気持ちを表している。ロンジンの伝統にしっかりと足を踏み入れ、もう片方は現代にしっかりと残す。そのおかげできちんとしたものがリリースされたが、いくつかの妥協点がある。

ロンジンは1925年にはフライバック機能搭載の最初のモデルを製造していた。これはひとつのプッシャーを押すだけでクロノグラフの停止、スタート、リセットができたため、この時代のパイロットにとっては実用的なコンプリケーションだった。これは13ZNの生産にもつながる(同キャリバーに関する深掘り記事はこちらから)。それは史上最も伝説的なキャリバーのひとつであり、これまでに作られた最も美しいクロノグラフのいくつかに使用されている。

longines titanium spirit flyback chronograph
しかし、今年発表されたロンジン スピリット フライバックにおいて、ロンジン(自身として)はこうしたストーリーを十分に語ることも、歴史的なつながりを作ることも(まだ)していないように私は思う。この時計は商業的な提案であり、大振りで、おそらくこのサイズの時計を好む人々をターゲットにしているのだ。

しかしフライバック クロノグラフはちょっとマニア向けなものであり、必ずしも商業的な提案ではない。これは一般的な機能ではなく、歴史的にも時計学的にも魅力的な機構であることを理解している愛好家にとってはたまらないものだ。私は愛好家として、ロンジンが製品とメッセージの両方で、この伝統と歴史的な結びつきに傾倒する様を見たかったのだ。ロンジンはすでに市場に出回っている時計のなかで最も優れたヘリテージモデルを製造した、歴史的に最も重要なクロノグラフメーカーであろう。

longines spirit flyback chronograph
このリリースはモダンとヘリテージの境界線を歩んでいる。ブランドがフライバック クロノグラフをパイロットラインに持ち込んだのは素晴らしいことだ。スピリット Zulu Time(42mmで投入したが現在は39mmでも提供されている)同様、ロンジンがフライバック機能をさまざまなケースサイズで展開させるのもそう遠くないことだろう。

基本情報
ブランド: ロンジン(Longines)
モデル名: スピリット フライバック チタニウム(Spirit Flyback Titanium)
型番: L3.821.1.53.6(ブレスレット)、L3.821.1.53.2(NATOストラップ)

直径: 42mm
厚さ: 17mm
ケース素材: グレード5チタン
文字盤: サンレイ仕上げのアンスラサイト
インデックス: アプライドアラビア数字
夜光: あり、インデックスと針にスーパールミノバ
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: インターチェンジャブル付きグレード5チタンブレスレットにダブルセーフティ フォールディングクラスプ(ブレスレット)、NATOスタイルのブラック&グレーストラップ(NATOストラップ)

longines spirit flyback titanium caseback
ムーブメント情報
キャリバー: L791.4(ETAベース)
機能: 時・分・スモールセコンド、フライバッククロノグラフ(30分積算計)
直径: 30mm
パワーリザーブ: 約68時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 28
クロノメーター: あり
追加情報: コラムホイール式クロノグラフ

価格 & 発売時期
価格: ブレスレットが80万9600円、ストラップが76万100円(ともに税込)

時計のサイズに大きく関わる問題について触れよう。

時計のサイズについてのこだわりがあふれている。この問題は、常に物議を醸す日付窓と同じくらい論争が起こりやすいテーマであり、またあえて言うならば、おそらくピンバックルとフォールディングバックルの優劣よりもさらに議論を巻き起こしやすい。

時計のサイズに大きく関わる問題について触れよう。私の知る限り、この問題は“スクエアウォッチはラウンドと比べてどれほど違うの?”ということでは明白にならなかった。我々が扱う腕時計のうち圧倒的多数を占めるラウンドウォッチにおいて、40mmが装着性に対する一種の大衆的な境界線であるならば、スクエアウォッチに適用されるその境界線は、一体どこで引かれるべきなのだろうか? そしてもうひとつ、熱い議論が交わされる時計の厚さについては、別の日のために残すことにしよう。

タグ・ホイヤーのモナコは、39mm径のスクエアウォッチだ。

サイズの数値だけでは騙されやすい。スクエアウォッチの代表格である、39mmのタグ・ホイヤー モナコを着用したことがある人は、その39mmというサイズから想像されるよりもずっと大きなサイズであるのを知っているはずだ(手首の面積を15.21平方cmも占めているから)。39mmのラウンドウォッチと比較すると、こちらの表面積は11.94平方cmなので、正方形の時計がいかにデカいかがわかる。例えばチェリーニ ムーンフェイズのような39mmのラウンドウォッチと同じように、控えめな装着感を提供してくれるスクエアウォッチを見つけるには、34mmから35mmのあいだのサイズが望ましい。

ロレックス チェリーニ ムーンフェイズは直径39mmである。

チェリーニ ムーンフェイズのような39mmのラウンドウォッチは、モナコのような39mmのスクエアウォッチの79%の大きさだ。両者の最も狭い部分(39mm)を横から測ると同じサイズだが、チェリーニはモナコの対角線(55mm強)に対してわずか71%の幅しかない。

この記事を書くにあたり、私はすぐにノモスのテトラシリーズを思いだし、ブランドが提供するいくつかのサイズを調べ始めた。思ったとおりノモスのテトラは、装着しやすい優れたスクエアウォッチをいくつかリリースしていた。ノモスのサイトを見ていたら、最近追加されたテトラ ネオマティック 39が目に飛び込んできたので、そのスペックを細かく調べてみた。正直、このブランドが39mmのスクエアウォッチを作るとは思ってもみなかった。彼らにとってはとても大きなサイズのように思えたのだ。調べてみると、この時計は実際には39mmもなかった。長辺はそれぞれ33mmで、対角線は46mmであることがわかった。テトラ ネオマティック 39という名前は、実際の長さのサイズではなく、この腕時計がどのように着用されるかに基づいているようだ。ノモスUSAの副社長であるメルリン・シュヴェルトナー(Merlin Schwertner)氏にこれが本当かどうか尋ねたところ、彼はそれが本当であると認めた。

ノモス テトラ ネオマティック 39 シルバーカット。

モナコの話に戻ろう。39mmのケースの感触が気に入って、同じような体験ができるラウンドウォッチ、つまり手首の面積を同じように占めるラウンドウォッチが欲しいと思ったとしよう。表面積が15.21平方cm台のラウンドウォッチを見つけるには、少し計算する必要がある。もちろん、円を2乗することはできないので、あくまでも近似値でしかないことを忘れてはならない。

表面積15.21平方cmのモナコ 39mmのように、スクエアウォッチに相当する円形面積を求めるには、表面積をπで割ってその平方根をとればいい。これにより半径2.2cm、直径4.4cm、対角線44mmというラウンドウォッチの数値が得られる。

スティーブン(・プルビレント)が今年初めのSIHHで書いた、カリ・ヴティライネンが最近リリースした44mm径のステンレススティール製ヴァントゥイット(Vingt-8)をご覧あれ。

44mm径のヴァントゥイット(左)と、39mm径のヴァントゥイット(右)。

好都合なことに、39mmのヴァントゥイットの真横で撮影されているので、44mmのラウンドウォッチが、まったく同一条件(apples-to-apples)の39mm径ラウンドウォッチと比べてどれだけ大きいかが実感できるだろう。

リンゴといえば、Apple Watchはどうだろう。これはラウンドでもスクエアでもなく、レクタンギュラーだ。セラミック製のApple Watch Series 3 (写真はベンの手首)のサイズは42.6mm×36.5mmで、表面積は15.55平方cmだ。42mmと銘打ったラウンドウォッチよりはかなり大きいが、42mmのスクエアウォッチよりかは小ぶりだ。

Apple Watch Series 3は42.6mm×36.5mmのサイズで、手首を占めるスペースは15.55平方cmだ。

したがって、腕時計のサイズの普遍的な測定値は、それが手首にどのように装着されるかを最もよく知ることができるものであり、直径や長辺の長さではなく、面積であるべきだと思われる。

ショパールはドバイウォッチウィークにてアルパイン イーグルの珠玉のラインナップを発表した。

ドバイに行ったことはないが、史上初の7つ星ホテルを生み出した国にふさわしい宝石のようだ。少なくとも私のなかのドバイは、金無垢に宝石を施した時計、ロビーに噴水がある巨大で豪華なホテル、ロールス・ロイス ファントムなどがイメージされる。

新しいアルパイン イーグル サミットの時計は直径41mm、エシカルな18Kイエロー、ホワイト、ローズゴールドで用意(豊富なオプションに感謝)。

本新作の焦点はふたつ。ひとつ目はベゼルにサファイア、ツァボライト、スペサルタイトを含む、カラフルなバゲットカットの宝石がセッティングされたこと。もうひとつは、スイス・ヴァレー州にあるジナル氷河にちなんで名付けられた、“ジナルブルー”ダイヤルがデビューしたことだ。

ショパール アルパイン イーグル サミット
ジナルブルーは写真だと虹色に見え、バイオレットとブルー両方の色合いを反映している。光沢があり、まさにクジャクのようだ。そのツートーンの色合いは、ベゼルにセットされたジェムストーンのグラデーションでも表現される。文字盤はアルパイン イーグルのすべてのモデルと同様、深いテクスチャーを維持。このコレクションはほかに、PVD加工を施した“ゴールデンピーク”、“ヴァルスグレー”、“ドーンピンク”といったダイヤルカラーもラインナップした。

各モデルにはCal.01.15-Cを搭載。透明なサファイアクリスタル製シースルーバックをとおして見える、自動巻きのショパール自社製ムーブメントは、COSC認定も取得している。また完全に巻き上げると、最大約60時間のパワーリザーブを発揮。さらにすべてのモデルにストップセコンド機能も搭載している。

(宝石の)価格は想定の範囲内であり、WGとYGモデルは1250万7000円、RGは1136万3000円(すべて税込)の価格がつけられた。

我々の考え
ショパール アルパイン イーグル サミット
別の日も、そして今日もまたレインボーが出た。まあ、これは厳密にはレインボーではないが。ポイントは、ショパールはカラーや宝石を少し刺激的な方法で取り入れているところだ。たとえ宝石に興味がなくとも、ジュエリーのノウハウが時計製造のカテゴリーに取り入れられていることは間違いない。社内でのクロスオーバーを見るのはいつも楽しい。私は、これらの特定のモデルに日付機能がないことに気づいた。これは同モデルがもう少し華やかであるべきだという考えを補強するものである。ただ私はダイヤモンドをセットしたコンプリケーションを楽しんでいるので、それはもったいないと思う!

確かに華やかな色合いはいい。ジナルブルーは通常、私が嘲笑するタイプのマーケティング戦略的なネーミングであるが、私はショパールブランドとアルプスとの結びつきに心から共感している。ショイフレ一家と話したことはあるだろうか? 彼らはアルプスを愛しているのだ。

しかしここで、なぜ41mmなのかという疑問が残る。これは昨年登場したYG製のアルパイン イーグル(ニューヨークで先行販売)の既視感を感じた。宝石がセットされた大ぶりな時計は汎用性があるのでありがたいが、ただもう少しサイズの幅が欲しい。36mmとかどうだろう。答えを追求し続けるしかない!

基本情報
ブランド: ショパール(Chopard)
モデル名: アルパイン イーグル サミット(Alpine Eagle Summit)
型番: Ref.295363-0002(ゴールデンピーク)、Ref.295363-1007(ジナルブルー)、Ref.295363-1008(ヴァルスグレー)、Ref.295363-5013(ドーンピンク)

直径: 41mm
厚さ: 9.7mm
ケース素材: 18Kエシカルイエローゴールド、ホワイトゴールド、ローズゴールド
文字盤: イーグルの虹彩に着想を得た型打ちサンバーストモチーフのゴールデンピーク、ジナルブルー、ヴァルスグレー、ドーンピンクのブラス製(すべてPVD加工)
インデックス: アプライドとバゲットカットダイヤモンド
夜光: あり、スーパールミノバ® グレードX1
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: テーパー形状の18Kエシカルゴールドブレスレット、トリプルフォールディングバックル

ショパール アルパイン イーグル サミットに搭載されたCal.01.15-C
ムーブメント情報
キャリバー: Chopard 01.15-C
機能: 時・分・センターセコンド(ストップセコンド機能)
直径: 28.8mm
厚さ: 4.95mm
パワーリザーブ: 約60時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 31
クロノメーター: あり

価格 & 発売時期
価格: WGとYGモデルは1250万7000円、RGは1136万3000円(すべて税込)
限定: ショパールブティック限定

時計を手にするとき私が一番に考えるのは、今が何時かということではなく、

アラン・“ハマー”・ブロア(Alan “Hammer” Bloore)氏が時計を集め始めたのはまだ子供の時分からであり、最初の時計は貯金して買ったセイコーのダイバーズだったという。彼は生来のスポーツマンであったが、2000年代初頭にボート事故で腰から下が麻痺した。当時、彼はすでにヴィンテージのミリタリーウォッチやダイバーズウォッチのコレクターであり、“パネリスティ”のような初期のコレクターコミュニティの一員でもあった。そしてこの事故は、彼の時計への興味をさらに強固なものにした。

「これらの時計を手にするとき私が一番に考えるのは、今が何時かということではなく、その時計が語る物語についてです」と、ハマー氏は言う。「時計への愛がなかったら、私はどこに情熱を見出すことができたでしょうか。時計は私という人間を作り、世界中を巡り、私の人生を変えるような友情をもたらしてくれたのです」

アラン・“ハマー”・ブロア氏

そして今、ハマー氏が時計を売却する時が来た。現地時間の12月7日(木)にニューヨークのサザビーズで行われるセールを皮切りに、“ハマー コレクション”の時計約60点がオークションのハンマーにかけられる。

ハマーのコレクションの大部分はパネライとヴィンテージロレックスだが、サザビーズのライブ中継やオンラインカタログでは、パテックやインディーズブランド、その他のブランドも目にすることができる。

ハマー コレクションより、オーストラリア海軍に納入されたRef.5510。

特に注目すべきは、オーストラリア海軍のために作られたハマー氏所有のビッグクラウン Ref.5510だ。彼はオーストラリア人であり、このビッグクラウンは、軍用時計としての実績を持つ素晴らしく真っ当なモデルである。さらに時計だけではなく、オーストラリア海軍の制服やフィールドノート、シガレットケースやノーズクリップまでついてくる。箱や書類のことは忘れよう。このセットは、“フルセット”という言葉にこれまでとは違った意味を与えてくれるものだ。

パネライ Ref.PAM21

ハマーの膨大なパネライ コレクションのなかで、とりわけ注目すべきはRef.PAM21だろう。これは1997年に発表されたプラチナ製の限定モデルで、パネライによれば、第2次世界大戦でイタリアのフロッグマン(潜水士)が着用した伝説的なロレックス Ref.3646にインスパイアされたヴィンテージムーブメントを使用しているという。パネライがヴァンドーム(現リシュモン)に買収された直後に発表した最初のモデルで、60本すべてが数週間で完売した。

また、パネリスティの10周年を記念して限定発売されたパネライ Ref.PAM360もあり、これはハマーがデザインに携わった時計でもある。彼が持っている個体のシリアルは1/300で、裏蓋には“Hammer”と刻印されている。

時計自体のストーリーにとどまらず、ハマーに関するストーリーもまた、彼のコレクションの醍醐味なのである。ブロアは過去20年間、収集家のコミュニティに欠かせない存在だった。最近、彼は同じオーストラリア仲間であるフェリックス・ショルツ(Felix Scholz)氏とアンディ・グリーン(Andy Green)氏らとともにOT: The Podcastに出演し、彼のコレクターとしての軌跡を語った。 彼が2000年代初頭に事故に遭ったとき、世界中から100人以上のコレクターが彼を訪ねてきた。彼が言うには、これが最初の本格的な時計愛好家の集まりだったそうだ。彼の手首に“Paneristi.com”のタトゥーが彫られているほど、このコミュニティは彼にとって大きな意味を持つ。ハマーの話やヴィンテージウォッチに興味があるならば、全エピソードを聞く価値があるだろう。

ハマーは事故に遭ったのちも、常に前向きに生き続けてきた。それは、彼が20年以上にわたって関わってきたコレクターたちのコミュニティによるところが大きい。ハマーのストーリーは、時計収集の素晴らしさを思い出させてくれるものである。

ニューヨークで行われるオークションの模様は、今週末にお伝えする。

独立時計師という存在に日が当たるようになった立役者のひとりでもあるアントワーヌ・プレジウソ氏。

現在は息子であるフロリアン氏とともにアントワーヌ プレジウソブランドの運営をしている。そんなプレジウソ親子が5年ぶりに来日を果たした。しかも、ブランドのルーツともいえるコレクションの復刻版を引っ提げて。

1986年に発売されたオリジナルのシエナ。デザインはほぼ現行モデルと変わらない。

アントワーヌ プレジウソといえば、トゥールビヨンをはじめとするコンプリケーションウォッチがよく知られているが、実はアントワーヌ プレジウソ銘で発表された最初の時計はシンプルな自動巻きウォッチだった。それが1986年に初めて自身の名を冠して発表したシエナコレクションだ。
そんなデビューコレクションであるシエナが30年以上の時を経て復刻。今回は、その復刻版の発売に合わせて久々の来日となった。そもそもシエナとはどんなコレクションだったのか? アントワーヌ本人の口からコレクション誕生の経緯、そしてどんな思いを込めた時計だったのかを聞くことができた。

アントワーヌ・プレジウソ氏

シエナはもともと、彼がイタリア・トスカーナ地方にある古都シエナへ旅行で訪れた際に、世界一美しい広場と称されるカンポ広場で見た“マンジャの塔”の時計にインスピレーションを得て作られた腕時計だ。複雑な造形を持つ時・分針は、塔の時計に見られる1本針を参考にしたもので、ラグのない真円のケースは時計盤面のイメージを崩さないために取り入れたアイデアだ。アントワーヌ氏は次のように当時の思い出を語る。

「シエナを訪れたのは“マンジャの塔”の時計があったからというわけではなく、たまたまでした。そこで偶然目にした時計塔に感銘を受けて腕時計にしたいと思ったのです。腕時計として形になり販売できたときは、自分の芸術性が理解されたのだと、とてもうれしかったことをよく覚えています。シエナの復刻版を今回発表したのは、これまでのスタイルを保持しながらも、このコレクションがこの先もずっと続いて欲しいという思いがあったからです」

シエナ Ref.SISSM.0402510S。94万6000円(税込)

シエナは、中世の時計を想わせる装飾的な針と艶やかなマザー・オブ・パールのダイヤルが印象的。なお、トップイメージのブレスレット仕様は104万5000円(税込)だ。ステンレススティールケース、フレンチカーフ(裏側防水加工)ストラップ。34.5mm径。厚さ9mm。3気圧防水。自動巻き(パワーリザーブは約56時間)。

復刻されたシエナは、一見すると30年以上前のオリジナルとほぼ同じように見える。だが、決して何も変わっていないわけではない。イエローゴールドだったケースは、オリジナルにはなかったSSケースへと変わり、大理石だったダイヤルはマザー・オブ・パールへと変更された。そしてできる限りケース形状に合わせてデザインされたリューズは、爪を痛めないようにと、エルゴノミクス的観点から使いやすさを意識して少し大きくなった。

ムーブメントはETAベースからセリタベースとなり、デザインは変わったものの、ブランドロゴをデザインした自動巻きローターを持つ。ムーブメントこそ汎用品だが、針やダイヤルは自身が認めたビエンヌにあるサプライヤーによるものを使用。針の造形が複雑なため、パーツの段階に加えて、アッセンブリの段階でもクオリティコントロールしているとのこと。これは量よりも質を重視したい、クオリティに目の届く範囲で時計を作りたいという彼らの思いからだ。

ディテールはアップデートされているが、アントワーヌ氏が心動かされた時計塔をほうふつとさせる優美なダイヤルデザインや装飾性に富んだ針はそのまま。ラグのないシリンダー型ケースや、34.5mmというサイズもオリジナルとほぼ変わっておらず、男性・女性問わずジェンダーレスにつけることができる。

アントワーヌ・プレジウソといえば“神の手を持つ男”と呼ばれ、フランク・ミュラー(ちなみにふたりはジュネーブ時計学校で時計づくりを学んだ)とともに早くからトゥールビヨンウォッチなどの複雑時計製作に取り組んできた独立時計師である。コンプリケーションウォッチを手がけることと、シエナのようなシンプルな腕時計(複雑時計に比べたら、であるが)をつくることに対してどんな思いを持っているのだろう? 彼は言う。「私の“プレジウソ”という名字はイタリア語でプレシャス、つまり“貴重な”という意味を持っています。だから自分が作るものは常にプレシャスなものでありたい。そういうものしか作りたくない。シエナコレクションにおいてもそれは変わりません」

今回の来日の目的は、主に新しいシエナコレクションお披露目のためであったが、やはりアントワーヌ・プレジウソはコンプリケーションウォッチの存在抜きには語れない。

1978年にジュネーブ時計学校を首席で卒業後、パテック フィリップに採用され早くから複雑時計の技術を磨いていくことになるが、彼の名が時計業界で広く知られるようになるのは90年代に入ってからだ。ブレゲからの依頼で世界で最も複雑な腕時計(当時)、ミニッツリピーターパーペチュアルカレンダーウォッチを開発・製作させ、92年には自身の名でトゥールビヨンウォッチを発表するとともに、ユニバーサル・ジュネーブ(92年)やハリー・ウィンストン(93年)のためにトゥールビヨンウォッチを製作。以降もさまざまなブランドのために独創的な腕時計を製作したが、2002年にはハリー・ウィンストンによる「オーパス2」プロジェクトに参加。時・分表示付きのトゥールビヨンを13本、パーペチュアルカレンダー付きトゥールビヨンを13本(ダイヤモンドをあしらったものを含めて)製作したことで、一躍その名を業界に知らしめた。ブランドの輝かしい歴史は以下のリンクにまとまっているので、詳しく知りたい方はぜひ一度確認してみて欲しい。

さて、アントワーヌ プレジウソにとってコンプリケーションは欠かせない存在であるのは間違いないが、実はそれと同じくらい非常に重要なものがある。それがメテオライト(隕石)を用いた腕時計だ。1989年に世界で初めてダイヤルにメテオライトを用いた腕時計を発表し、オーパス2プロジェクトで名を上げた2002年には、世界初のメテオライトケースを採用した腕時計も発表。以来、その存在は、同ブランドにおける象徴のひとつになっており、筆者が今回のインタビューでどうしても聞きたかったのが、このメテオライトについてだった。今でこそメテオライトダイヤルを持つ時計は、さまざまなブランドで見られるようになったが、なぜアントワーヌ・プレジウソ氏は時計にこの素材を使用しようと思ったのだろうか? 彼は気さくにその理由を語ってくれた。

「毎年、家族で山にある別荘に行っていたのですが、そこで寝転がって流れ星をよく見かけました。それがきっかけとなってメテオライトに関心を持つようになったのです。当時はまだ今ほどインターネットなどが発達している時代ではありませんでしたから、さまざま書物を頼りに調べ、メテオハンターと呼ばれる人にコンタクトを取りました」

ノモス グラスヒュッテより、初代クラブのデザインをアップデートしたクラブ リデザインが登場。

ノモスからクラブが発表されたのは2007年のことだ。それまでのタンジェント、オリオンといったバウハウスデザインの粋を表現したミニマルかつドレッシーなコレクションと比べ、クラシックながらもどこかカジュアルで遊び心を感じさせるエントリーモデルとして当時話題を呼んだ。やわらかに丸みを帯びたベゼルや(ノモスのなかでは)太めのラグといった特徴的なディテールは、その後のクラブ キャンパス、クラブ スポーツ、クラブ アクアといった派生モデルへと引き継がれ、現在ではクラブはノモスのスポーツウォッチを代表するコレクションに成長している。

そんなクラブの記念すべきオリジナルモデルが、2023年の末にアップデートを加えたうえで復刻されたという。その名も、クラブ リデザイン。今回ノモスが行ったのは、ベースとなるモデルを最大限リスペクトした繊細な変更だ。まるで間違い探しのようだが、順を追って確認していこう。

まずはケースから。オリジナルクラブにならい、クラブ リデザインも36mmのケース径を踏襲した。厚みは8.2mと、目立った差はない。アールを描く太めのベゼルやラグの形状にも変わりはなく、ほかのコレクションと比べて操作しやすい大ぶりのリューズも健在だ(そして10気圧防水も)。総じて、外装に特筆すべき変化はない。ムーブメントにもノモスの伝統的な手巻きムーブメントであるアルファが搭載されており、ストラップも赤いステッチが入ったシェルコードバンのブラウンストラップとなっている。

一方、ダイヤル上にはいくつかの細かな調整が見られた。もっともわかりやすいのは6時位置のスモールセコンドだろう。より彫りが深いレコード引きにより視認性が高まっただけでなく、“20”、“40”、“60”の秒数表示がプリントされたことでグッとスポーティな雰囲気が生まれた。また、時刻表示のインデックスは太く大きく、黒くふちをとることでアウトラインが明確になり、ミニッツトラックがベゼルのきわまで移動したことでダイヤル全体が引き締まった印象になっている。それに合わせて時分針もほんの少しだけ太く、長くなった。分針はオリジナルと変わらず、ミニッツトラックにしっかり届いている。ここまででも視認性という面で十分な改善が行われたことがわかると思うが、ダメ押しとばかりにクラブ キャンパスやクラブ アクアで採用されていたスーパールミノバが時分針とインデックスに塗布されている。

なお、ケースバックについてはクローズドバック(Ref.NM701.1)とシースルーバック(Ref.NM703.1)の2種類が用意された。クラブコレクションはケースバックへの無料刻印も目玉としているために、クローズドバックでの展開が中心となっている(クラブは、人生の節目における贈答品や自分への記念品としての打ち出しを強く行っている)。だが、ムーブメントに施されたグラスヒュッテ・ストライプ仕上げおよびノモス・ペルラージュ仕上げを視認できないというもどかしさもあった。今回のリデザインでは、その需要にも応えてくれたようだ(なお、サイトで確認したが文字数は減るもののサファイアガラスの外周に刻印はできる。安心して欲しい)。ノモス クラブ リデザインの価格は、Ref.NM701.1が税込22万円で、Ref.NM703.1が税込25万3000円。すでにノモスの店頭や公式Webサイトで販売が開始されているが、Ref.NM701.1は日本での店頭販売は行なっておらず、サイト購入の場合も本国からの直接発送となる。

ファースト・インプレッション
そうそう、オリジナルのクラブとクラブ リデザインの違いはもうひとつあった。それは2007年の発表時、ドイツのノモス社屋の斜向かいにあったクラブに生涯フリーで入場できるエントランスチケットがついていたことだ。当時の20〜30代をターゲットとして開発されたクラブには、太く頑丈なラグとベゼルに、暗闇でも視認性を確保してくれるオレンジの針と大ぶりなインデックス、多少の汗はものともしない10気圧防水(そして手が届く価格帯)と、アクティブに遊ぶ若者が求めるであろう要素がノモスらしいデザインのもとに盛り込まれていた。当時のノモスが考える、若々しさの象徴のような時計だったのだ。

時が経ち現在は2024年。17年のあいだには39mmと42mmと比較的大径のケースにメタルブレスを備えるクラブ スポーツ、20気圧防水を確保しダイビングにも対応するクラブ アクアなどリアルなスポーツシーンを想定したハイスペックなモデルが生み出され、クラブはスポーツウォッチコレクションとしての洗練を続けてきた。しかしほかのクラブコレクションが進化し、増加を続けるなかで、これまでオリジナルクラブだけはWebサイト上から姿を消してしまっていた。今回の復刻においては、オリジナルクラブの復活を求めるファンの熱烈な要望がきっかけにもなったという。ノモスを代表するスポーツコレクションのオリジンとして、オリジナルクラブは数年間の開発期間を経て現代に堂々の復活を遂げたのだ。

とはいえ、冒頭でも書いたとおりまるで間違い探しのようなリデザインである。トレンドの推移に敏感なブランドのなかには、よりスタイリッシュに、モダンにとダイヤル上に大胆な変更を行うところも少なくない。しかしノモスは、あくまで17年前のオリジナルクラブの面影を明確に残すことを目的としたように見える(公式サイトでも、「古典的な腕時計が戻ってきました!」とうたっている)。個人的にアーカイブに敬意を払ったアップデートは大歓迎だし、既存ファンも納得しつつ新たな若い層へのアプローチも狙える、いい塩梅のアレンジだと思う。

だが、今作のリリースにも「オリジナルのデザインに変更を加えたブランド初の試み」という一文があるように、これまでノモスは(タンジェントにせよオリオンにせよ)そのベースとなるモデルには一切手を加えてこなかった。今回オリジナルモデルのリデザインに踏み切った理由や開発の経緯、今後ほかのモデルに波及する可能性については、ぜひ直接ノモスに話を聞いてみたい。

基本情報
ブランド: ノモス グラスヒュッテ(NOMOS GLASHÜTTE)
モデル名: クラブ リデザイン
型番: NM701.1(日本ではオンライン販売のみ)、NM703.1

直径: 36mm
厚さ: 8.2mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤色: ホワイトシルバー
インデックス: アラビア数字とバーのプリント
夜光: 時分針、インデックス
防水性能: 10気圧
ストラップ/ブレスレット: 赤ステッチ入りのブラウンコードバン

ムーブメント情報
キャリバー: アルファ
機能: 時・分表示、6時位置にスモールセコンド
直径: 23.3mm
厚さ: 2.6mm
パワーリザーブ: 約43時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 17石
クロノメーター認定: なし

価格 & 発売時期
価格: NM701.1が税込22万円、NM703.1が税込25万3000円