ヴァシュロンとルーブル美術館は、あらゆる芸術作品をモチーフにした時計を製作するチャンスを提供した。

時計コミュニティの一員であることの醍醐味のひとつは、“おそらく二度と見ることはないだろう”と即座に思うような時計を目にする機会があることだ。場合によってはさまざまな理由から写真を撮ることはもちろん、そのような経験を共有することすら許されないことがある。しかしヴァシュロン・コンスタンタン(そしてこの時計の所有者)のおかげで、最近ニューヨークの旗艦店に入荷したユニークピースの簡単な概要を共有してもらうことができた。それがヴァシュロン・コンスタンタン レ・キャビノティエ – ピーテル・パウル・ルーベンス『アンギアーリの戦い』へのオマージュだ。

このユニークな時計は、2020年12月にヴァシュロン・コンスタンタンがオークションに参加し、収益の100%をルーブル美術館による教育ワークショップの広大なプロジェクトを収容するスタジオスペース、ル・ストゥディオ・デュ・ルーヴルに寄付したことから始まった。ル・ストゥディオ・デュ・ルーヴルでは家族連れや学生、学校グループ、障害者や恵まれない人々など、あらゆる年齢層の来館者が美術や文化に親しむことができるよう、さまざまなプログラムが用意されている。さらにうれしいことに、これらのプログラムにはすべて美術館の入場料が含まれている。

落札者は28万ユーロ(日本円で約4375万円)を支払い、ヴァシュロン・コンスタンタンにルーヴル美術館のコレクションにあるあらゆる芸術作品をミニアチュール・エナメルまたはグリザイユ・エナメルで再現した文字盤を備えたオーダーメイドの1点ものモデルを制作してもらうチャンスを得た。しかしそれは、カタログをめくってインスピレーションを得るような単純な体験ではなかった。

代わりに入札者は時計の文字盤にするのに最適な作品を求めて、美術館の専門家による案内で個人的なプライベートツアーに参加した。予約制で一般公開されているキャビネ・デ・デッサン(版画・素描閲覧室)を訪問し、入札者はこの時計のベースとなったルーベンスの作品を見つけた。それが『アンギアーリの戦い』である。

この絵は英語で『The Struggle for the Standard of the Battle of Anghiari』と訳される。フランドル派の巨匠ルーベンスにより描かれたもので、彼が17世紀初頭にイタリア滞在中、アンギアーリの戦いを描いた素描を購入し、インクやチョーク、水彩で加筆したと言われている。

レオナルド・ダ・ヴィンチが、フィレンツェのシニョリーア広場(のちにヴェッキオ宮殿となる)の大会議室のために制作を依頼した巨大な構図が、この“戦い”の原型である。この作品はローマ教皇エウゲニウス4世とヴェネツィア共和国およびフィレンツェ共和国の軍隊がミラノ公国軍に勝利したことを祝して描かれたもので、ダ・ヴィンチの偉大な傑作のひとつと見なされていたが、1506年にレオナルドによって未完成のまま放置され、急速に劣化していった。ほかの最近の美術史家たちはこの作品は着手すらされていなかったと示唆しているが、ダ・ヴィンチのこの作品のための研究はしっかりと記録されている。

『アンギアーリの戦い』。courtesy Vacheron Constantin and the Louvre.

ルーベンスの作品の歴史について私が理解しているところでは、この作品はのちにロレンツォ・ザッキアによって彫られたものが元になっている可能性があり、それ自体はダ・ヴィンチによって描かれた原画か、未完成のオリジナルが元になっているかのどちらかである(原画が存在したとすればだが)。ダ・ヴィンチの原案を物理的に永続的に思い起こさせる作品はいくつかあるが、ルーベンスによるアイデアの“共同作品”という点では、この作品が最も有名だろう。ヴァシュロンのエナメル職人は、ルーベンスの作品の深みと力強さを見事に表現し、写真では残念ながら実物ほどには伝わらないが、素晴らしい仕事をした。

絵画の一部を切り取り、直径わずか3.3cmの文字盤にミニチュアとして表現することがどれほど難しいか、私には想像できない。レ・キャビノティエに所属する匿名のエナメル職人の言葉によれば、ディテールと奥行きの両方を達成するには微妙なバランスが必要だったという。エナメル職人はジュネーブに古くから伝わるミニアチュール・エナメルの技法が原作へのオマージュとして最もふさわしいと考え、一般的にグリザイユ・エナメルで使用されるリモージュ・ホワイトを取り入れた。彼らは細かいディテールを表現するために3、4本の硬い毛が付いた筆やサボテンの棘を使うこともあった。

私の心を本当に引きつけたのは作品の躍動感だけでなく、光がエナメルのさまざまな部分に反射し、特に馬のたてがみの暗い部分にアクセントを与えていることだった。それが立体感と動きに象徴されるリモージュ・ホワイトの力だ。またジュネーブフラックスのアンダーコート(何層にも重ねたガラス化エナメルを最終的に無色透明に保護するもの)によって、さらに輝きと深みが増したという。

最終的に職人はブラウン、グレーブラウン、セピアブラウン、クリームブラウンの約20の色調を用い、それぞれ着色するあいだに文字盤を900℃の温度で焼成した。最初の層は非常に軽く焼成する必要があり、エナメルのガラス化プロセスを開始するのに十分な時間、しかし色の濃淡を変えすぎない程度に焼かなければならなかった。

最終的に時計は40mm径、9.42mm厚の18Kピンクゴールド製ケースにオフィサータイプのケースバックを備えたものとなった。内部にはヴァシュロンが設計・製造したCal.2460SCを搭載し、時・分・秒を表示する。このキャリバーは主にメティエ・ダールの時計に搭載されている自動巻きムーブメントで、2万8800振動/時(4Hz)で作動し、パワーリザーブは約40時間である。私はこの時計を身につけることはできなかったが(もちろん完璧な状態で引き渡しを受けたいオーナーへの配慮から、時計をつけさせてもらうのは無理な話だった)、この時計のサイズと手に持った感触は間違いなく完璧に身につけられるものだ。しかし私の考えからすると、この時計は身につける時計というよりもディスプレイピースであり、芸術品である。

この時計のポイントが文字盤であることは確かだが、ヴァシュロンは期待どおり、ムーブメントの仕上げに時間と思慮を注いでいる。その最たるものがルーブル美術館の東側ファサードをエングレーヴィングした22Kピンクゴールド製のローターである。

おそらくこの時計で最もクールなことのひとつは、ユニークでありながら、ヴァシュロン・コンスタンタンと関係をもつ人(そして余裕がある人)に開かれた新しいパートナーシップと体験への扉を開いたことだろう。この時計が初めてオークションに出品されたとき、彼らはこの時計を“あなたの腕に傑作を(A masterpiece on your wrist)”と呼んだが、これは現在ルーヴル美術館とヴァシュロン・コンスタンタンが提供する新しいプログラムのタイトルとなっている。そして最近、夏のパリ観光の猛暑と気が狂いそうな混雑を乗り切った私にとって、製作される時計だけでなく、この新しいプログラムが提供する体験をこれほどうらやましいと思ったことはない。

このプログラムを通じて、顧客はルーブル美術館のガイド、ヴァシュロン・コンスタンタンの熟練時計職人や職人とともにプライベートツアーに参加し、自身が選んだシングルピースエディションの完璧なインスピレーションを探すサポートを受ける。ピーテル・パウル・ルーベンスへのオマージュと同様、購入者が選んだアートはエナメルで再現される。そして私が選ぶだろう絵画を想像すると心が躍るが(結局のところ、これはおそらくカラヴァッジョを所有することに最も近づくだろう)、値札(魔法の言葉”on request”が特徴だ)は私の手の届かないところにあることは確実であり、幸運な顧客のためにこのプログラムから生まれたほかの時計も見みられることを願っている。

セイコーから、伝統紋様である菊つなぎ紋をダイヤルで表現した数量限定モデル、そして新たなダイヤルカラーを含む新作3種が発表された。

セイコー腕時計110周年記念限定モデルして2月に発売されたSDKS013では、キングセイコー生誕の地である東京・亀戸が亀の甲羅の形に似た“亀島”と呼ばれていたことに着想を得て、亀甲文様を取り入れたダークブラウングラデーションダイヤルを採用した。

新作(以下、SDKA009)では、日本を代表する花である菊をモチーフにした江戸切子の伝統紋様、“菊つなぎ紋”デザインのダイヤルを採用。本作においては日本伝統のものづくりをヒントにした。カッティングラインが細かく交差する“菊つなぎ紋”は江戸切子のなかでも最も高度な技が要求されるが、本作ではこの紋様をホワイトの型打ちダイヤルで表現している。

また、この限定のSDKA009は1965年に誕生した2代目キングセイコー “KSK” のデザインを受け継ぎ、薄型自動巻きムーブメントのCal.6L35を搭載しているのも特徴。Cal.6L35はセイコーの現行機種において最も薄い自動巻きムーブメントで、ケース構造と風防を改良することによって“KSK” のオリジナルモデルよりもさらに0.2mmの薄型化を実現している。

数量限定モデルの証として、裏蓋には通常盤にも見られる“KING SEIKO”のロゴの下に“Limited Edition”の表記とシリアルナンバーが記されている。

限定のSDKA009ではSS製ブレスレットに加えて、ホワイトのダイヤルとも調和するライトグレーの交換用レザーストラップも付属する。

そしてもうひとつ新作として加わることになったのが、オリーブグリーンを含む新たなダイヤルカラーを採用した3種のKSK キャリバー6R55モデルだ。ダイヤルカラーは、チャコールブラック(SDKS021)、インディゴブルー(SDKS023)、そして新色のオリーブグリーン(SDKS025)の3種類。創成期のキングセイコーが発売されていた1960~70年代当時のファッションから着想を得てアースカラーを採用したという。

 ダイヤル表面には縦方向のヘアライン仕上げを施し、アースカラーと組み合わせることで、経年変化したような雰囲気を表現。また、力強いインデックスを持つダイヤルデザインに合わせて、時・分針とインデックス外周部にはエイジングカラーのルミブライトを採用し、昼夜を問わず視認性を高めている。なお、現行のキングセイコーでルミブライトが採用されるのは今回が初となる。

限定のSDKA009とは異なり、新作3種が搭載するのはCal.6R55だ。デイト表示を備え、コンパクトな自動巻き機構を持つ一方で、3日間(約72時間)のロングパワーリザーブを実現した。また、この新作3種のブレスレットではエンドピースの過度な回転を防止するダブルレバー式の簡易着脱レバーを採用。簡単に付け外しできることに加えて、高級感、着脱のしやすさ、優れたフィット感を合わせ持ったブレスレットとなっている。また既存の10種類のレザーストラップ(別売り)とも組み合わせることができるため、好みに応じて多様なシーンで着用することができる。

限定のSDKA009は10月7日(土)の発売で、世界限定600本(うち国内展開は200本)、価格は44万円。レギュラーの新作3種の発売は9月8日(金)、価格は25万3000円(ともに税込)を予定している。

ファースト・インプレッション

新作において注目すべきモデルは、きっと“菊つなぎ紋”デザインダイヤルを持つ限定のSDKA009だろう。“白樺ダイヤル”や“御神渡りダイヤル”、日本特有の季節の情景をダイヤル上で表現した“二十四節気コレクション”など、日本人らしい美意識と審美感をダイヤルで表現したモデルが人気を得るグランドセイコーを筆頭に、近年のセイコーが手がける時計のダイヤル表現にはユニークなものが多く、目を見張るものがある。“菊つなぎ紋”デザインダイヤルは、まさにそうした昨今のセイコーらしさを感じさせる1本だと思う。

だがより筆者が心引かれたのは、1960~70年代当時のファッションから着想を得たというアースカラーダイヤルを持つ3種の新作のほうだった。

いまでこそ少し湾曲した“ボンベダイヤル”や先端をダイヤル側にカーブさせた針などは高級時計のディテールとしてもてはやされるが、これは当時、ダイヤルをムーブメントの形状に合わせ、視認性を高めるためのオーソドックスな手法だった。対してかつてのキングセイコーは、ダイヤルや風防の形状を工夫することで、当時としては画期的なフラットなダイヤルとストレートな針の組み合わせを実現させた。そう、こうした合理的・工業的なスタイルのダイヤルやシャープなディテールによるモダンなデザイン表現こそ、今も昔も変わらぬキングセイコーらしい魅力だと筆者は思っている。

アースカラーを取り入れるなど今っぽいダイヤル表現がなされているものの、KSK キャリバー6R55モデルは縦方向のヘアライン仕上げを施したダイヤル、シャープで力強い針やインデックスなどを持ち、その質実剛健な雰囲気がオリジナルのキングセイコーをほうふつとさせる。また、ケースとブレスレットとの隙間を滑らかにつなぐコの字の形状のラグ(厳密にはケースとブレスレットが接する嵌合部)は、インダストリアルな印象を強調しているように思うし、付け外しが簡単にできるというブレスレットはいかにも合理的ではないか。そして、ルミブライトを採用して暗所での視認性を高めるというのは、これまでのキングセイコーでも見られなかった新しい実用的なディテールだ。

3種のダイヤルのうち、筆者の好みはオリーブグリーンのSDKS025だ。広報写真で見る限りは文字どおりのオリーブグリーン、オリーブドラブカラーのようだが、実際はどのように見えるのだろう。グリーンの色味は写真と実物でずいぶんイメージが異なる場合も多いので、早く実機で確認してみたいと思っている。

基本情報
ブランド: キングセイコー(King Seiko)
モデル名: KSK キャリバー6L35限定モデル&KSK キャリバー6R55モデル(KSK Caliber 6L35 Limited Edition & KSK Caliber 6R55 Model)
型番:SDKA009(KSK キャリバー6L35限定モデル)、SDKS021、SDKS023、SDKS025(KSK キャリバー6R55モデル)

直径: 38.6mm(KSK キャリバー6L35限定モデル)、38.3mm(KSK キャリバー6R55モデル)
厚さ: 10.7mm(KSK キャリバー6L35限定モデル)、11.7mm(KSK キャリバー6R55モデル)
ケース素材: ステンレススティール
文字盤色: ホワイトの菊つなぎ紋(SDKA009)、チャコールブラック(SDKS021)、インディゴブルー(SDKS023)、オリーブグリーン(SDKS025)
インデックス: アプライドバー
夜光: KSK キャリバー6L35限定モデルはなし、KSK キャリバー6R55モデルは針とインデックス外周部にルミブライト
防水性能: 日常生活用強化防水(KSK キャリバー6L35限定モデルは5気圧、KSK キャリバー6R55モデルは10気圧)
ストラップ/ブレスレット: SS製ブレスレット&ワンプッシュ両開き方式クラスプ(KSK キャリバー6L35限定モデルは換えカーフストラップつき)

ムーブメント情報
キャリバー: 6L35(KSK キャリバー6L35限定モデル)、6R55(KSK キャリバー6R55モデル)
機能:時・分表示、センターセコンド、3時位置に日付表示
パワーリザーブ: 約45時間(KSK キャリバー6L35限定モデル)、約72時間(KSK キャリバー6R55モデル)
巻き上げ方式: 自動巻き(手巻きつき)
振動数: 2万8800振動/時(KSK キャリバー6L35限定モデル)、2万1600振動/時(KSK キャリバー6R55モデル)
石数: 26(KSK キャリバー6L35限定モデル)、24(KSK キャリバー6R55モデル)
精度: 6L35は日差+15秒~ -10秒、6R55は日差+25秒~ -15秒(ともに気温5℃~35℃において腕につけた場合)

オリス 限定コラボダイバーズウオッチ”Oris × RedBar Divers Limited Edition II”が登場した。

1904年創業のスイス時計ブランド“ORIS(オリス)”と、世界的なウオッチコレクターコミュニティ“RedBar(レッドバー)”との限定コラボダイバーズウオッチ”Oris × RedBar Divers Limited Edition II”が登場した。
■Ref.01 733 7795 4018-Set。SS(39mm径)。20気圧防水。自動巻き(Cal.733-1)。限定250本。44万円
ORIS(オリス)
Oris × RedBar Divers Limited Edition II
オリスとレッドバーは、ブランドと時計愛好家コミュニティーの枠を超えて約10年以上もの間、絆を深めてきた。本作は、愛好家コミュニティの本拠地移転記念として誕生した限定モデル。深紅のグラデーションが目を引く文字盤で、それを表現したという。
ケースは、39mm径サイズ、素材はステンレススチールを採用。風防はドーム型サファイアクリスタルを備えた丈夫な構造だ。
そして、裏ブタにはオリスとレッドバーのロゴ、そして限定モデルであることを示すシリアルナンバーを刻印する。
また、ムーヴメントには自動巻きキャリバー”Oris 733”を搭載。約41時間のパワーリザーブ機能をはじめ、ストップセコンド機構のほか、200m防水機能も備える。
ベルトは、ブラックのラバー素材と、メタルブレスレットが付属する。2つのベルトは、ワンタッチで交換できるため、シーンや装いに合わせて自在にアレンジできる点も魅力だ。なお、販売価格は44万円、限定250本となる。

グランセイコー 2本の新作限定GMTが登場。

新しいグランドセイコーは、ドレスアップもスポーティな着こなしもできる。

グランドセイコー初の9Sキャリバーが発売されてから25年。この度それを記念して、グランドセイコーファンの多様なニーズに応える、ふたつの新しいGMTモデルを発表した。新作のSBGJ275とSBGM253でグランドセイコーの多くの領域をカバーしている。まずはよりスポーティなオプション、SBGJ275から詳しく掘り下げよう。

新しいSBGJ275はスポーツコレクションに属し、グランドセイコーの最も詩的な方法でそのスポーティさを実現している。ブルーのダイヤルは、グランドセイコースタジオ 雫石から見える岩手山の山頂が雲海に覆われているときの空をイメージした。その周囲には24時間表示のGMTのインナーリングと、ブルーとホワイトに塗り分けられたサファイアクリスタル製の双方向回転GMTベゼルがあり、1度に3つのタイムゾーンを把握することができる。

ケースはブレスレットと同じくステンレス製で、防水性は200mを確保。ケースバックのサファイアクリスタルを通して、陽極酸化処理により淡いブルーをまとったチタン製ローターを見ることができ、それがハイビートGMTムーブメントの9S86を駆動している。あ、そうだ、これはフライヤー型GMTのため、時針を独立してセッティング出来ることも忘れてはならない。

グランドセイコー エレガンス コレクション キャリバー9S 25周年記念限定モデル(SBGM253)
SBGM253。

グランドセイコー エレガンス コレクション キャリバー9S 25周年記念限定モデル(SBGM253)のダイヤル
グランドセイコー エレガンス コレクション キャリバー9S 25周年記念限定モデル(SBGM253)のケース
もっと控え目な時計が欲しい方には、グランドセイコーがSS&ブレス付きのSBGM253を用意しているため、これをおすすめしておこう。ただこれは夜光や回転ベゼルを備えていないエレガンス コレクションに属しており、防水性は30mしかない。デイト表示とリューズを3時位置に備えているほか、サンレイ仕上げのライトブルー文字盤に24時間表記をプリント。9S86同様、酸化処理されたチタン製ローターを備えたGMTムーブメント、9S66を搭載し、また同ムーブメントも単独で時針を操作できるが、(3万6000振動/時の9S86とは異なり)2万8800振動/時の低振動となっている。

先行して9月8日に、SBGJ275がグランドセイコーブティックオンラインで発売され、104万5000円(税込)の限定2000本(うち国内875本)で販売される。10月7日からはグランドセイコーブティック、グランドセイコーサロンおよびマスターショップで提供が開始され、同日にSBGM253も1700本限定(うち国内700本)で、75万9000円(税込)にて発売される。

グランドセイコーのダイヤルは素晴らしい。その証明は必要だろうか? まずSBGJ275を見てみよう。思い出せる限り、グランドセイコーの文字盤のなかで私のトップ5に入るかもしれない(ただダイヤルバリエーションがたくさんあるから、そう認めるのは難しい)。

グランドセイコー スポーツ コレクション キャリバー9S 25周年記念限定モデル(SBGJ275)のダイヤル
この柔らかくも雲がかげった文字盤の質感が本当に魅力的で、私の家族が住んでいるウィスコンシン州の近くの湖にある、クラックした真冬の氷を思い出させてくれるし、今年初めに発売されたSBGH311の“雲海”ダイヤルよりも青いトーンが気に入っている。しかし4時30分位置にある大きな日付表示と、大きくて派手なGMTベゼルが搭載されているのは残念だと思う。普段デイト表示は気にならないのだが、もう少しエレガントでクラシックなものにダイヤルを合わせて欲しかった。もしかしたら、それが実現するかもしれないという予感がしている。

エレガントといえば、SBGM253はグランドセイコーのGMTデザインの典型的なファン好みのデザイン(少なくともほかのブランドのGMTのデザインコードをあまり参考にしていない)だと私は想像しているが、それでもここ数年のあいだ、人々が抱いてきた考えと同じ問題に悩まされている。スポーツウォッチ以外であっても、ほとんどのGMTをつける人にとって30mの防水性は十分とは言えないのだ。

グランドセイコー エレガンス コレクション キャリバー9S 25周年記念限定モデル(SBGM253)のダイヤルと日付窓
グランドセイコー エレガンス コレクション キャリバー9S 25周年記念限定モデル(SBGM253)
しかしグランドセイコーと聞いて、多くの人が最初に思い浮かべるのがダイヤルだとすれば、仕上げとムーブメントはその2番目、3番目でなければならない。スポーツコレクションモデルではハイビート、エレガンスコレクションモデルでは安定した正確なムーブメントが搭載されるなど、どちらの時計も素晴らしい動作をしており、それぞれ日差+5~-3秒、約55時間と約72時間のパワーリザーブを実現している。なおフォーマルな感じへと整えた仕上げについて、私は悪く言うことはできない。

ただ1秒間だけ、街頭演説台に乗らなければならない。これらは限定にすべきだったのだろうか? そこがよくわからない。SBGJ275は素晴らしいダイヤルのレベルまで達しているのかもしれないが、2000本の生産だとそれほど“限定”という感じはしない。1500万ドル以上の(売上)価値がある時計だ。大きく“制約された”数字はいいことなのかもしれないが、その時点でその呼び名を捨ててしまえばいい。すべてが制限されているのなら、何も制限されていないことになる。ほかの業界だと商品はいつも売り切れているということになるが、それでいいのだ。この制約はブランドからなのか、はたまた顧客からの需要なのかはわからない。ブランドサイドは予告なしに売り切れた場合の顧客の反応を恐れている可能性があるとも考えられる。何事にも言えることだが、これらのリリースが真に好きな人であれば、9月と10月にリリースされるとき、もたもたしていてはならない。

基本情報
ブランド: グランドセイコー(Grand Seiko)
モデル名: スポーツ コレクション キャリバー9S 25周年記念限定モデル(Sport CollectionCaliber 9S 25th Anniversary Limited Edition)、エレガンス コレクション キャリバー9S 25周年記念限定モデル(Elegance CollectionCaliber 9S 25th Anniversary Limited Edition)
型番: SBGJ275(スポーツ)、SBGM253(エレガンス)

直径: 44.2mm(スポーツ)、39.5mm(エレガンス)
厚さ: 14.8mm(スポーツ)、13.7mm(エレガンス)
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: ライトブルーの雲のモチーフ(スポーツ)、ペールブルーのサンレイ(エレガンス)
インデックス: 夜光塗料付きファセットスティールアプライド(スポーツ)、ファセットスティールアプライド(エレガンス)
夜光: スポーツのみあり
防水性能: 200m(スポーツ)、30m(エレガンス)
ストラップ/ブレスレット: SSブレスレット

グランドセイコー スポーツ コレクション キャリバー9S 25周年記念限定モデル(SBGJ275)のムーブメント
SBGJ275に搭載された、9S86ムーブメント。

ムーブメント情報
キャリバー: 9S86(スポーツ)、9S66(エレガンス)
機能: 時・分・センターセコンド、日付表示、フライヤーGMT
パワーリザーブ: 約55時間(スポーツ)、約72時間(エレガンス)
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 3万6000振動/時(スポーツ)、2万8800振動/時(エレガンス)
石数: 37(スポーツ)、35(エレガンス)

価格 & 発売時期
価格: SBGJ275は104万5000円、SBGM253は75万9000円(ともに税込)
発売時期: SBGJ275は9月8日にグランドセイコーブティックオンラインにて先行発売開始、10月7日よりSBGJ275、SBGM253ともにグランドセイコーブティック、グランドセイコーサロンおよびマスターショップにて一般発売(SBGM253はグランドセイコーショップでも発売)
限定: SBGJ275は世界限定2000本(うち国内875本)、SBGM253は世界限定1700本(うち国内700本)

国産ウオッチブランド“ケンテックス(KENTEX)”から、新作モデル”SKYMAN GMT”が登場した。

ケンテックス(KENTEX)
SKYMAN GMT
最新作の”SKYMAN GMT”は、最大3つのタイムゾーンを同時に表示できるGMT機構を搭載した本格パイロットウオッチ。1994年の創業以来、企画から製造、販売までを一貫して国内で行うジャパンメイドGMTとして、実用性と価格のバランスを追求した1本である。

ケースは、41mm径サイズ、素材には耐食性に優れたSUS316Lステンレススチールを採用。風防には、片面無反射コーティングを施したサファイアクリスタルガラスを採用し、強い光の下でも視認性が高い点が特徴だ。

文字盤はサンレイ仕上げを施し、光の角度によって繊細な表情を見せる。

また、ベゼルの6時から18時位置に刻まれたスラッシュパターンで昼夜を、さらに裏ブタにはプロペラ機エンジンをモチーフにした型打ち加工を施し、パイロットウオッチらしいデザインも魅力的だ。

ケンテックス SKYMAN GMT

搭載するムーヴメントは、日本製自動巻きキャリバー”NH34”。約40時間のパワーリザーブ機能や、10気圧防水も備える。

文字盤のカラーは、澄み渡る空を思わせるホライゾンブルー、深みのあるグリーン、上品な輝きを放つブラックMOP、オールブラックの全4色。

ベルトは、重厚感のあるステンレススチール製3連ブレスレットと、オイリーカーフレザーベルトの2タイプを展開。使用シーンに合わせて選べる点も魅力だろう。

なお、販売価格はレザーベルトタイプが7万9900円、ステンレスブレスレットタイプが8万6900円。ブラックMOP”S809M-05”とオールブラック”S809M-06”の2モデルは、各188本限定で、販売価格は9万2400円だ。