投稿者「鎌仲 航平」のアーカイブ

タグ・ホイヤーから2025年の新作情報です。タグ・ホイヤー CAW218G.EB0393。

カーオイルなどで有名なGulf ガルフとのコラボレーションモデルのモナコが登場。

もう何作目のコラボレーションですかね。

毎年何かしらリリースされているような気がします。

タグホイヤースーパーコピー 代引き専門店このコラボレーション、Gulfロゴのカラーリングをストライプ状に落とし込んだ文字盤が特徴ですね。

スティーブ・マックイーンさん。

映画「栄光のル・マン」で着用されたドライバースーツにも、Gulfのロゴとストライプがあります。

もちろんモナコもね。

1971年公開に因んで、今回は971本の限定モデル。

こちらは過去作ですが、なかなかインパクトのある文字盤で、個性的なモデルが好きな方にはモナコの形状も含めてオススメできますね。

キャリバー11、格好良い。

今回はホワイト文字盤。

爽やか。

左リューズが特徴的のキャリバー11を搭載。

パワーリザーブは40時間と少々短め。

39mmのスクエア型ケースはチタン製で、厚みは15mmもあります。

防水性能は10気圧防水。

国内定価は1,424,500円。

アイコニックなレーシングパレット
シルバーグレイン仕上げのダイヤルは、スティーブ・マックイーンが着用した、ガルフのエンブレムが輝く伝説的なレーシングスーツへのオマージュ。象徴的なブルーとオレンジのストライプと、鮮やかなオレンジラッカー仕上げのセンター針が配されています。

反骨精神あふれる勇者へ
軽量なチタン製39mmケースにはしなやかさと力強さが共存。アイコニックなキャリバー11を搭載し、サーキットだけでなく、あらゆるシーンに対応するよう計時機能を大胆にデザインしたタイムピースです。

特徴的なヘリテージ
マックイーンのレーシングスーツと同じホワイトのテキスタイル素材と、オレンジのステッチが目を引くストラップを組み合わせたこのエディションは、あらゆるディテールにヘリテージへの敬意を宿しています。交換用のネイビーブルーのカーフストラップが、レーシングスピリットをさらに盛り上げます。

CAW218G.EB0393

LIMITED EDITION | 新作

タグ・ホイヤー モナコ クロノグラフ ガルフ

自動巻, 39 mm, チタン
CAW218G.EB0393
タグ・ホイヤーとガルフの伝説的なパートナーシップを称え、1970年代の時代精神を腕元に纏うタグ・ホイヤー モナコ クロノグラフ × ガルフ。個性が光るカラーストライプとヴィンテージの魅力を湛えるこの限定エディションは、モーターレーシングのファンやデザイン通をも唸らせる、象徴的なタイムピースです。
¥ 1,424,500

キャリバー キャリバー11自動巻
ムーブメント 自動巻
パワーリザーブ(時間) 40
振動数 28’800 (4 Hz)
機能 時, 分, 秒, クロノグラフ:1/4秒計、30分計, 日付
ケースサイズ 39 mm
厚み 15 mm
ラグの間のサイズ 22 mm
防水性 100 m
素材 チタン サンドブラスト加工
リューズ チタングレード2
ケースバック サファイア – チタングレード2
ブレスレット/ストラップの素材 ファブリック
カラー ホワイト
仕上げ テキスタイル調
バックル フォールディングバックル ダブルセキュリティ – チタン
文字盤仕上げ ファイングレイン仕上げ
カラー シルバー
インデックス アプライド

まとめ

いかがでしょうか。

「【2025年新作】タグ・ホイヤー CAW218G.EB0393 モナコ クロノグラフ ガルフ 39mm」でした。

耐磁とかロングパワーリザーブとかキャリバー11もスペックアップするタイミングだと思います。

バランスは今のままで良いので、もう1つ2つ強みがね、あると良いと思います。

971本の限定モデル、 気になった方は是非。

ケースだけではなくブレスレットにまでゴールド素材を用いた、フルゴールドウォッチを5本紹介。

まさに高嶺の花! ケースもブレスレットも“金無垢”のフルゴールドモデルをまとめてみました!

フルゴールドウォッチの名作を紹介
いつの世も人々を魅了してきたゴールド。ゴールドは富や権力の象徴として装飾品に用いられ、耐食性や熱と電気の伝導性の高さから産業用途としても重宝されている。今でこそ時計の外装にはステンレススティールが用いられることが多いが、その歴史はおおよそ100年程度である。古くから外装に使用されていたのは、ゴールドやシルバーなどであり、それらは時計にとってなじみ深い素材なのだ。

パテックフィリップスーパーコピー時計代引き 優良サイトなじみ深いとはいえ、簡単に手に入るものではない。素材の希少性からそもそもの数が少ないうえ、高価となる。ゆえにゴールドウォッチには、各社のデザイン性や技術力が惜しみなく注ぎ込まれることが多く、そのことがゴールドウォッチをより魅力的に見せている。

そんなラグジュアリーを体現するゴールドウォッチから、今回はブレスレットまでフルゴールドとしたモデルを紹介する。

ブルガリ「オクト フィニッシモ トゥールビヨン スケルトン クロノグラフ」Ref.103796
薄型時計として数々のレコードを打ち立ててきた「オクト フィニッシモ」。そのような技術的な魅力をも備えたフルゴールドウォッチが、「オクト フィニッシモ トゥールビヨン スケルトン クロノグラフ」だ。本作は、6時位置にトゥールビヨンを配した自動巻きクロノグラフウォッチでありながら、厚さ3.5mmという超薄型のケースを実現している。

ダイアルはスケルトン仕様となっており、内部の構造が詳らかになっている。3時位置の30分積算計、9時位置のスモールセコンドのインダイアルは、どちらも18Kイエローゴールド製だ。針の色をブラックとすることで視認性を確保している。

ケースは、オクト フィニッシモならではファセットカットが際立つデザイン。薄型ケースでありながらも不思議と立体感を味わえる造形だ。ケースバックはシースルーとなっており、ムーブメントを鑑賞することが可能。Cal.BVL388は自動巻きムーブメントであるが、ペリフェラルローターを採用しているため、ムーブメントの鑑賞をローターに邪魔されることがない。

ブルガリ オクト フィニッシモ スケルトン

ブルガリ「オクト フィニッシモ トゥールビヨン スケルトン クロノグラフ」Ref.103796
厚さわずか3.5mmのケースに、複数の複雑機構を収めた驚異の極薄ウォッチ。18Kイエローゴールド製のケースは、サテン仕上げを基調とすることで過度な派手さを削いでいる。自動巻き(Cal.BVL388)。52石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約52時間。18KYGケース(直径38.4mm、厚さ3.5mm)。30m防水。要価格問い合わせ。(問)ブルガリ ジャパン Tel.03-6362-0100

ヴァシュロン・コンスタンタン「ヒストリーク・222」Ref.4200H/222J-B935
1977年に発売されたヴァシュロン・コンスタンタンの「222」の復刻モデルとして誕生したのが、「ヒストリーク・222」である。ブレスレットが一体化したスポーティーなデザインのケースに18Kイエローゴールドを採用することで、ラグジュアリーなテイストを強調している。

ゴールドトーンのダイアルには、蓄光塗料を塗布したバーインデックスとバトン型の時分針が配され、視認性を確保しつつ虚飾のないデザインに仕上げられている。3時位置には日付表示が配され、実用性も十分だ。

ベゼルは、オリジナルの特徴である切れ込みが入ったデザイン。サテン仕上げが施されシャープに仕上がっている。ミドルケースもサテン仕上げを基調としているが、面取りを加えることで、薄型のケースに立体感を与えている。ケースの5時位置に輝いているのは、ブランドを象徴するマルタ十字。

本作が搭載しているのは、ジュネーブ・シールを取得した機械式自動巻きのCal.2455/2だ。職人による手仕上げをシースルーバックから堪能することができる。

ヴァシュロン・コンスタンタン「ヒストリーク・222」Ref.4200H/222J-B935
ヴァシュロン・コンスタンタンのアイコニックピース、「222」を復刻したモデル。控えめなサイズ感ながら、ケースからブレスレットまでフルゴールドとすることで確かな存在感を放つ。自動巻き(Cal.2455/2)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。18KYG(直径37mm、厚さ7.95mm)。5気圧防水。1100万円(税込み)。(問)ヴァシュロン・コンスタンタン Tel.0120-63-1755

ロレックス「オイスター パーペチュアル ディープシー」Ref.136668LB
オイスターケースによって防水性能を追求してきたロレックス。そんな同社が展開するダイバーズウォッチの中でもトップレベルの防水性を誇るのが、「オイスター パーペチュアル ディープシー」だ。そのオイスター パーペチュアル ディープシーに2024年、なんと18Kイエローゴールドケースを採用したモデルが追加された。

ダイアルは、今までの同コレクションのラインナップにはなかった鮮やかなブルーラッカー仕上げ。ベゼルインサートには、同じ色調のセラクロムが用いられている。厚さ17.7mmの大迫力なケースには、RLXチタン製のケースバックとヘリウムエスケープバルブが組み合わされている。

ブレスレットは、ケースと同じ18Kイエローゴールド製だ。ステンレススティールモデルではすべてのコマがヘアライン仕上げだったが、本作ではブレスレットの中央のコマをポリッシュとすることで、よりラグジュアリーに仕上げている。

2022年には1万1000mもの防水性を達成した「オイスター パーペチュアル ディープシー チャレンジ」を発表するなど、愚直に防水性を向上させてきたディープシー。本作はその個性をより多様化した1本である。

ロレックス「オイスター パーペチュアル ディープシー」Ref.136668LB
プロフェッショナル向けの本格ダイバーズウォッチに、フルゴールドモデルが登場。ブルーのダイアルとベゼルによって、印象を一新している。自動巻き(Cal.3235)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18KYGケース(直径44mm、厚さ17.7mm)。3900m防水。

オメガ「コンステレーション メテオライト」Ref.131.50.41.21.99.001
オメガの中でもドレッシーな「コンステレーション」コレクションに、2024年に加わったフルゴールドモデル。ケースには、2019年にオメガが発表した独自の18Kゴールド合金であるムーンシャイン™ ゴールドを採用。ムーンシャイン™ ゴールドは、ダークブルーの空に輝く月の光からインスピレーションを得た、淡い色合いが特徴だ。さらに、シルバーや銅、パラジウムを配合することにより、色や輝きの経年変化に強いという特徴を持ち合わせている。

ダイアルの素材は、モデル名が示す通りメテオライト製。インデックスや針、ブランドロゴ、カレンダーディスクに至るまでケースと同じ色味にそろえられ、一体感を高めている。メテオライトは天然素材のため、同じ模様がひとつとして存在しないということも魅力である。

搭載しているムーブメントは、Cal.8901。コーアクシャル脱進機やシリコン製ヒゲゼンマイを搭載し、優れたスペックを誇るだけではなく、ローターとテンプ受けの素材には18Kセドナ™ ゴールドが採用されている。

オメガ コンステレーション
オメガ「コンステレーション メテオライト」Ref.131.50.41.21.99.001
オメガ独自の合金であるムーンシャイン™ ゴールド製のケースとブレスレットを採用したラグジュアリーなモデル。ダイアルにはメテオライトを用いている。自動巻き(Cal.8901)。30石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約50時間。18Kムーンシャイン™ ゴールドケース(直径41mm、厚さ13.5mm)。5気圧防水。654万5000円(税込み)。(問)オメガ Tel.0570-000087

パテック フィリップ「ゴールデン・エリプス」Ref.5738/1
「ゴールデン・エリプス」の中でも大ぶりなRef.5738に金属製ブレスレットを組み合わせた初のモデル。特筆すべきはその18Kローズゴールド製ブレスレットの造形だ。細かなチェーン状のリンクで構成され、上品さとしなやかさをかなえてくれる。さらにクラスプには微調整機構も搭載され、使い勝手への配慮も忘れられていない。なお、このブレスレットの開発には約15年もの歳月が費やされ、組み立てにあたっては、300個の以上のリンクが職人の手作業によってひとつずつ組み上げられているという。

ダイアルは、ソレイユ仕上げを施したエボニーブラックカラー。バーインデックスとシュヴー型の時分針を組み合わせたシンプルなデザインながら、まさに黄金比というべき整然とした造形美が感じられる。18Kローズゴールド製のケースは3気圧防水を備え、オニキスをあしらったリュウズが取り付けられている。

ソリッドバック仕様のため、実際に目にすることは難しいが、本作には薄型自動巻きムーブメントであるCal.240が搭載されている。

パテック フィリップ 新作 ゴールデン・エリプス 5738/1
パテック フィリップ「ゴールデン・エリプス」Ref.5738/1
装着感と上品さを両立させる新開発のブレスレットを採用したモデル。ブレスレットを構成するパーツのうち、300個以上を職人の手作業によって組み上げている。自動巻き(Cal.240)。27石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KRGケース(縦39.5×横34.5mm、厚さ5.9mm)。3気圧防水。951万円(税込み)。(問)パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター Tel.03-3255-8109

ブルガリの2025年新作時計 発表!

ブルガリ2025年新作時計①「セルペンティ セドゥットーリ」
新型ムーブメントを搭載した「セルペンティ セドゥットーリ」1型7種が発表された。蛇の頭をかたどった変型ケースに、ブルガリ スーパーコピー代引きうろこ状のコマで構成されたブレスレットを組み合わせた本コレクション。日常使いしやすいステンレススティールモデルだけではなく、貴金属モデルやダイヤモンドをセットしたモデルもラインナップされる。

ブルガリ セルペンティ セドゥットーリ
ブルガリ「セルペンティ セドゥットーリ」Ref.103898
自動巻き(Cal.BVS100レディ ソロテンポ)。28石。パワーリザーブ約50時間。18KYGケース(直径34mm)。30m防水。要価格問い合わせ。
ブルガリ セルペンティ セドゥットーリ
ブルガリ「セルペンティ セドゥットーリ」Ref.103899
自動巻き(Cal.BVS100レディ ソロテンポ)。28石。パワーリザーブ約50時間。18KYGケース(直径34mm)。30m防水。要価格問い合わせ。
ブルガリ セルペンティ セドゥットーリ
ブルガリ「セルペンティ セドゥットーリ」Ref.104058
自動巻き(Cal.BVS100レディ ソロテンポ)。28石。パワーリザーブ約50時間。18KPG×SSケース(直径34mm)。30m防水。要価格問い合わせ。
ブルガリ セルペンティ セドゥットーリ
ブルガリ「セルペンティ セドゥットーリ」Ref.104060
自動巻き(Cal.BVS100レディ ソロテンポ)。28石。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径34mm)。30m防水。要価格問い合わせ。
ブルガリ セルペンティ セドゥットーリ
ブルガリ「セルペンティ セドゥットーリ」Ref.104062
自動巻き(Cal.BVS100レディ ソロテンポ)。28石。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径34mm)。30m防水。要価格問い合わせ。
ブルガリ セルペンティ セドゥットーリ
ブルガリ「セルペンティ セドゥットーリ」Ref.103992
自動巻き(Cal.BVS100レディ ソロテンポ)。28石。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径34mm)。30m防水。要価格問い合わせ。
ブルガリ セルペンティ セドゥットーリ
ブルガリ「セルペンティ セドゥットーリ」Ref.103990
自動巻き(Cal.BVS100レディ ソロテンポ)。28石。パワーリザーブ約50時間。18KWGケース(直径34mm)。30m防水。要価格問い合わせ。
注目すべきは、3年間という期間を経て新規に開発されたムーブメント、Cal.BVS100レディ ソロテンポ。直径は19mm、厚さは3.9mmと、非常にコンパクトなサイズを持つレディース用ムーブメントだ。機能についても申し分なく、時分秒のセンターセコンドを備えた自動巻きムーブメントであり、この小さいサイズながらパワーリザーブは約50時間を達成している。

BVS100レディ ソロテンポ
新開発の小径ムーブメントCal.BVS100レディ ソロテンポ。ローターには7枚の蛇のうろこモチーフがあしらわれている。このムーブメントは、すべてのモデルで採用されているトランスパレントバックから観賞することができる。
このムーブメントは現在、ブルガリのル・サンティエ工房で製造されているが、将来的にはゼニスのムーブメントマニュファクチュールで製造されることとなる予定だ。これにより、Cal.BVS100レディ ソロテンポがLVMHグループ各社へ供給されることも計画されており、レディースウォッチのジャンルが一層盛り上がることが想定される。

ブルガリ2025年新作時計②「セルペンティ トゥボガス」
「セルペンティ セドゥットーリ」と同様、新開発ムーブメントのCal.BVS100レディ ソロテンポを搭載した新型の「セルペンティ トゥボガス」。大いなる宇宙の周期的リズムと永遠の再生を象徴する蛇をモチーフとしたセルペンティは、古代ギリシャ・ローマ芸術と文化に起源を持つブルガリにとって、重要なコレクションだ。

ブルガリ セルペンティ トゥボガス
ブルガリ「セルペンティ トゥボガス」Ref.103903
自動巻き(Cal.BVS100レディ ソロテンポ)。28石。パワーリザーブ約50時間。18KPGケース(直径35mm)。30m防水。要価格問い合わせ。2025年4月発売予定。
ブルガリ セルペンティ トゥボガス
ブルガリ「セルペンティ トゥボガス」Ref.103905
自動巻き(Cal.BVS100レディ ソロテンポ)。28石。パワーリザーブ約50時間。18KPGケース(直径35mm)。30m防水。要価格問い合わせ。2025年4月発売予定。
ケース形状は、蛇の頭を想起させる緩やかなラインを描く三角形。サンレイ加工のホワイトオパーリンダイアルには、放射状に広がるギヨシェを施し、ピンクゴールドコーティングのインデックスと針が組み合わされている。

ケースから直接繋がるブレスレットは螺旋状にうねり、まるで蛇の胴体のように、しっとりと腕に巻き付く。シースルーバックを採用しており、Cal.BVS100レディ ソロテンポの精密な仕上げと、蛇の鱗模様をあしらったローターを鑑賞することが可能だ。

バリエーションは2種類用意され、いずれも外装の素材は18Kピンクゴールド。ブレスレットの長さが異なっている。

機能とデザインで人気のクロノグラフ。

時計に込められた哲学「クロノグラフ」
クロノグラフとは、通常の時刻表示機能に加え、ストップウォッチ機能も搭載した時計である。まずは、クロノグラフの歴史や魅力、代表的なメーターの種類を見ていこう。

時計史におけるクロノグラフの歩み
ナビタイマー クロノマチック
ブライトリングは、1969年に自動巻きクロノグラフムーブメントのCal.11を搭載した「クロノマチック」を発表。その後、1970年代初頭にはクロノマチック・ムーブメントCal.12を搭載した「ナビタイマー クロノマチック」(写真)をリリース。このモデルは50mの防水性能を確保するため、直径48mmのケースサイズだった。
最初の商用クロノグラフは、時計師ニコラ・リューセックが1821年に作ったものだとされている。しかし、それより5年も前の1816年にルイ・モネが天文観測用のクロノグラフを作っていたともいわれており、始まりには諸説ある。

近代クロノグラフの祖と呼ばれるアドルフ・ニコルは、1844年にクロノグラフの原型を作り、1862年にはクロノグラフ付き懐中時計を製作している。

1915年に最初の腕時計専用クロノグラフを作ったとされるのは、ブライトリングだ。その後、1969年にはブライトリングとホイヤー(現タグ・ホイヤー)、ハミルトン、デュボア・デプラが共同で、クロノマチックと呼ばれる「Cal.11」を開発し、現代的な形へとつながっていった。

クロノグラフが放つ魅力
クロノグラフの大きな魅力が計測機能。過去には、自動車レースや世界大戦でもクロノグラフが活用されていた。

今でこそ電子機器のストップウォッチが普及しているが、クロノグラフは計測時に時計の一部を切り離して使い、終われば戻すという仕組みの機構だ。パーツの組み立てだけでストップウォッチ機能を時計の内部に仕込んでいるのである。

メカニカルなデザインもクロノグラフの魅力だ。パネライ スーパーコピー代引きインダイアル、クロノグラフ秒針、メーターの表記などが複雑に絡み合い、男心をくすぐる表情となっている。

代表的なメーターの種類
スピードマスター
オメガの「スピードマスター」は、1957年に登場した初代モデルより、タキメータースケールをベゼルに刻印。このデザインは、その後のクロノグラフモデルにも影響を与えた。
ベゼルやダイアルに記されたメーター、積算機能の組み合わせにより、クロノグラフではさまざまな計測が可能となっている。

代表的なメーターが「タキメーター」と「テレメーター」である。タキメーターは時速の計測、テレメーターは距離の計測が可能だ。計時を60進法から10進法に置き換えられる「デシマルメーター」もある。

クロノグラフによっては、1分間の脈拍数や呼吸数を計測できるメーターを備えたものもある。脈拍数を計るのが「パルスメーター」、呼吸数を計るのが「アズモメーター」だ。

クロノメーターとの違い
クロノグラフと意味を混同しやすい言葉に「クロノメーター」がある。しかし、クロノメーターは高精度の認証を受けた時計のことを意味し、クロノグラフとは全くの別物だ。

そのため、クロノグラフでありクロノメーターでもある時計が存在するのである。

クロノメーターという場合、現在は一般的に「C.O.S.Cクロノメーター」を指す。C.O.S.C.クロノメーターは機械式時計の精度基準であり、ISO3159の基準に従った規格となっている。

垂直や水平といった5つの姿勢差や3つの温度下に置くなど、多角的な条件で15昼夜にわたって検査を実施し、日差-4秒~+6秒以内に収まるのが条件だ。

クロノグラフの上位機構
クロノグラフはそれ自体が高い技術を要する機構なのだが、さらに発展させた上位機構も存在する。代表的な3つの発展型クロノグラフを紹介しよう。

フライバック
タグ・ホイヤー モンツァ キャリバー ホイヤー02 フライバック クロノメーター
タグ・ホイヤー「タグ・ホイヤー モンツァ キャリバー ホイヤー02 フライバック クロノメーター」Ref.CR5090.FN6001
2023年にタグ・ホイヤーから発表された、フライバック機構搭載のスペシャルモデル。ケースには軽量で耐久性に優れたカーボン素材を採用する。自動巻き(Cal.ホイヤー02 COSC フライバック)。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。カーボンケース(直径42mm)。100m防水。200万2000円(税込み)。(問)LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー Tel.03-5635-7054
「フライバック」は、ゼロリセットとリスタートを同時に行える機構のことである。通常のクロノグラフでは、停止・リセット・再スタートを分けて操作するが、フライバッククロノグラフでは3アクションが1プッシュで完結する。

量産型フライバック機構が採用された最初のムーブメントは、1939年に発表されたドイツのUROFA製Cal.59とされている。

計測時の中間タイムを読み取りやすくなるため、本来は航空シーンで役立つ機能なのだが、一般ユーザーの場合はスポーツやアウトドアなどのアクティブなシーンで重宝するだろう。

スプリットセコンド
トリプルスプリット
A.ランゲ&ゾーネ「トリプルスプリット」Ref.424.037F
2018年の発表以来、計測時間を最長12時間まで積算して比較できるスプリットセコンド・クロノグラフとして好評を得たA.ランゲ&ゾーネの「トリプルスプリット」。写真は2021年に追加された、ピンクゴールドケースのモデルだ。手巻き(Cal.L132.1)。46石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約55時間。18KPGケース(直径43.2mm、厚さ15.6mm)。3気圧防水。世界限定100本。要価格問い合わせ。(問)A.ランゲ&ゾーネ Tel.0120-23-1845
7大複雑機構のひとつにも数えられる「スプリットセコンド」は、2本の針で異なるふたつのタイムを計れるクロノグラフだ。不具合が起こりやすいため、作るのが非常に難しい機構として知られている。

スプリットセコンドで有名なブランドが、A.ランゲ&ゾーネとブライトリングだ。A.ランゲ&ゾーネの「トリプルスプリット」は、3つの積算時間を時間単位で表示できる。

また、自動巻き機構を持つムーブメントの場合、クロノグラフ機構は裏蓋側に収まっているため、ここにスプリットセコンド機構を追加するのは困難なのだが、ブライトリングはこれを文字盤側に設置したことで、製作が難しいスプリットセコンド化を無理なく実現させた。

スプリットセコンドを搭載したクロノグラフは、レースや競技の計測など、正確なタイム計測を必要とするシーンに向くだろう。

エル・プリメロ
クロノマスター スポーツ
ゼニス「クロノマスター スポーツ」Ref.03.3100.3600/69.M3100
2021年に発表され、世界的に話題となったゼニスの「クロノマスター スポーツ」。搭載するムーブメントは、2019年の「クロノマスター2」で初採用されたCal.エル・プリメロ 3600。3万6000振動/時のハイビートはもちろんのこと、1/10秒単位の計測が行えるクロノグラフ機能を加え、より詳細な計測を可能にした。自動巻き(Cal.エル・プリメロ 3600)。35石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約60時間。SSケース(直径41mm)。10気圧防水。156万2000円(税込み)。(問)ゼニス ブティック銀座 Tel.03-3575-5861
「エル・プリメロ」はゼニスが1969年に発表した、一体型自動巻きクロノグラフムーブメントで、この機構を搭載したゼニスのモデルにも、エル・プリメロの名が冠されている。

3万6000振動/時の高速振動による高い精度が、エル・プリメロの大きな特徴だ。発表当時は約50時間のパワーリザーブを備えていたことでも注目を集めた。

エル・プリメロはロレックスのデイトナに搭載されていた時期もある。ロレックス時計の中で唯一の社外製ムーブメントであったことから、エル・プリメロの高い信頼性がうかがえるだろう。

高い精度と信頼性から、計時機能を必要とする航空から自動車競技、宇宙開発まで、さまざまな分野で使用されている。

クロノグラフの人気コレクション
クロノグラフは高級時計の中でも人気のジャンルであり、各ブランドが力を入れてコレクションを展開している。主要ブランドのおすすめコレクションを押さえておこう。

ロレックス「コスモグラフ デイトナ」
オイスター パーペチュアル コスモグラフ デイトナ
ロレックス「オイスター パーペチュアル コスモグラフ デイトナ」Ref.126500LN
自動巻き(Cal.4131)。44石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径40mm)。100m防水。
「オイスター パーペチュアル コスモグラフ デイトナ」は、カーレースの現場から求められて1963年に誕生したロレックスのクロノグラフモデルである。約72時間ものパワーリザーブを誇るCal.4131が搭載されている。

見た目はスポーティーでダイナミックだ。シンプルで読みやすいインデックスを備えている。ベゼルにはタキメータースケールが刻まれており、レーシングウォッチのような印象だ。

特定モデルに使われているハイテク セラミック製のモノブロック セラクロムベゼルは、耐蝕性、耐傷性、耐久性に優れており、紫外線による影響も受けにくい。

ブライトリング「ナビタイマー」
ナビタイマー B01 クロノグラフ
ブライトリング「ナビタイマー B01 クロノグラフ 43」Ref.AB0138211B1P1
自動巻き(Cal.01)。47石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径43mm、厚さ13.6mm)。3気圧防水。128万1500円(税込み)。(問)ブライトリング・ジャパン Tel.0120-105-707
ブライトリングの時計は、実用性の高さと計器らしい精悍な佇まいを特徴に持つ。クロノグラフモデルは全てC.O.S.C.の認定クロノメーターである。

ブランドを代表する「ナビタイマー」は、1952年に航空用の回転計算尺を備えたクロノグラフとして誕生したモデル。

ナビタイマーには、特徴的なスライドルールが文字盤の周りに配置されており、速度や降下率、上昇率などが計算できるようになっている。ステンレススティールのケースに、レザーまたはステンレススティールのブレスレットが組み合わせられている。

オメガ「スピードマスター」
スピードマスター ムーンウォッチ
オメガ「スピードマスター ムーンウォッチ」Ref.310.30.42.50.01.002
手巻き(Cal.3861)。26石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。SSケース(直径42mm、厚さ13.2mm)。5気圧防水。123万2000円(税込み)。(問)オメガお客様センター Tel.03-5952-4400
オメガの「スピードマスター」は、当初はモータースポーツのプロ仕様モデルとして開発されたクロノグラフウォッチである。その後は優れた性能がNASAに評価され、有人宇宙飛行にも携行された経歴を持つ。

スピードマスター以前のクロノグラフでは、タキメーターをダイアル外周に配していた。スピードマスターはタキメーターをベゼル上に配し、その後のクロノグラフのデザインにも大きな影響を与えている。

クラシックな時計のデザインと、現代的なテクノロジーを融合させているのが、スピードマスターの特徴だ。ケースバックには「シーマスター」と同様、海の守護神であるシーホースの姿が刻印されてきたが、2021年にはシースルーバックを備えた写真のモデルもラインナップに追加された。

チューダー「ブラックベイ クロノ」
ブラックベイ クロノ
チューダー「ブラックベイ クロノ」Ref.M79360N-0001
自動巻き(Cal.MT5813)。41石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。SSケース(直径41mm、厚さ14.4mm)。200m防水。81万6200円(税込み)。(問)日本ロレックス/チューダー Tel.0120-929-570
チューダーはロレックスの兄弟ブランドとして誕生した時計メーカーだ。創業当初はロレックスの販促ブランドとしての側面が強かったが、独自路線に舵を切ってからはチューダーらしさをモデルに反映させている。

「ブラックベイ クロノ」は、全モデルにブランド初の自社製ムーブメントCal.MT5813を搭載したコレクションである。約70時間のパワーリザーブを備え、C.O.S.C.認定も取得している実用性の高さが魅力だ。

チューダーの象徴でもあるスノーフレーク針が、レトロな雰囲気を醸し出している。ステンレススティール製ブレスレットをはじめ、レザーやファブリックなど、ストラップは3種類が用意されており、好みの1本を見つけやすいだろう。

クロノグラフで大人の男を演出
優れた実用性とメカニカルなデザインが、クロノグラフの大きな魅力である。時間を切り取るという複雑な仕組みに、ブランドの魂と哲学が詰め込まれている。

スポーツやアウトドアなどのシーンなら、ストップウォッチ機能が役立つ機会もあるはずだ。お気に入りの1本を探し、クロノグラフで大人の男を演出しよう。

世界に通用する時計修理技能士を育てる。

2025年4月21日、LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン株式会社が開校した「LVMH Watches & Jewelry ウォッチメイキング アカデミー」の開校式が行われた。「世界に通用する時計修理技能士の育成」をミッションに掲げるこのアカデミーは、第1期生として2名の若者を迎える。なお、この両名は学生ではなく「正社員」として雇用される。LVMHグループの戦略的イニシアチブの下に誕生した、このアカデミーの魅力と今後の展望とは? 開校の立役者である3名のキーパーソン、ノルベール・ルレ氏とジュリー・ブルジョワ氏、そして林繁氏の言葉を通じてひもとく。

2025年4月「LVMH Watches & Jewelry ウォッチメイキング アカデミー」開校
スーパーコピー代金引換を激安LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン株式会社が展開する時計修理技能士養成プログラム「LVMH Watches & Jewelry ウォッチメイキング アカデミー」(以下、アカデミー)が、2025年4月に開校した。

 このアカデミーのコンセプトは「学ぶことが、最大の仕事となる2年間」。技術学校としての機能を持ちながら、学生ではなく正社員として入社する点が特徴だ。採用者は2年間のトレーニングを通じて、時計修理技能士として活躍できるスキルを習得する。

 LVMHグループ傘下のブランドには、ブルガリ、ウブロ、タグ・ホイヤー、ゼニスといった、革新的な時計を発表し続ける名門が名を連ねる。アカデミーは、これらのブランドのカスタマーサービス部門と同じ施設に設置されており、現役技術者の働きを間近で見ながら、ビジネス感覚も養われる環境が整っている。

開校式で行われたテープカット。(左から)ゼニス ディヴィジョン取締役ジェネラルマネージャー、鈴木真澄氏。ウブロ ディヴィジョンマーケティング ディレクター、栗田彩子氏。LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン株式会社取締役COO、ジュリー・ブルジョワ氏。LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン合同会社 職務執行者社長、ノルベール・ルレ氏。ブルガリ・ジャパン合同会社社長、デニス・コアン氏。タグ・ホイヤー ディヴィジョン取締役ジェネラルマネージャー、ニコラ・セナー氏。
 アカデミーの第1期生として、初年度には18歳と19歳の2名の若者が採用された。4月21日の開校式は、新たな門出にふさわしい晴天のもと執り行われ、アカデミー関係者のみならず各ブランドのジェネラルマネージャーやディレクターが一堂に会す華やかな空間での幕開けとなった。

 ここからは、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン合同会社 職務執行者社長ノルベール・ルレ氏と、LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン株式会社 取締役COOジュリー・ブルジョワ氏の開校式での言葉を、要約を交えて紹介する。

ノルベール・ルレ氏とジュリー・ブルジョワ氏によるスピーチ
 開校式では、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン合同会社 職務執行者社長、ノルベール・ルレ氏がスピーチした。

LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン合同会社 職務執行者社長のノルベール・ルレ氏。
「『LVMH Watches & Jewelry ウォッチメイキング アカデミー』が始まる本日は私たちにとって大切な日になりました。このアカデミーの構想は何年も前から練られており、時計技術のノウハウを次世代にバトンタッチできる究極の場所として完成しました。私たちはお客様から信用を得るために修理やカスタマーサービスに力を入れており、若手技術者の育成を課題としています。若者にチャンスを与えることは、ウォッチ&ジュエリー業界の将来を考えることにもつながります」

 続けてルレ氏は、アカデミー立ち上げの背景について語った。

「私たちは“絶対に残したい仕事”──つまり、職人やアーティストたちによるものづくりを守ることを重視しています。時には、続けるのが難しい仕事もありますが、指10本、腕2本で生み出すものづくりの文化は非常に大切だと考えています。レザーグッズや洋服、化粧品ももちろん重要ですが、とりわけウォッチは特別な存在です。手作業でのプロセスも多く、精密な機械にはテクノロジーとデザインが融合しています。また、日本のお客様は時計を購入する前にしっかりと勉強される方が多く、そうした文化を支えるためにも、時計製造の伝統とステータスを守りたいという思いから、このアカデミーは何年も前から構想されてきました」

 ただの学生ではなく、LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン株式会社の正社員としての雇用となるため、カリキュラムの終了後にはLVMHグループの各ブランドの時計のメンテナンスを担うこととなる。

「実はアメリカやスイスにも同様の育成拠点があり、それぞれのマーケットに即して展開させています。日本は特にメカニカルウォッチにフォーカスし、細部に至るまで学べる場所を作りました。本日より、18歳と19歳の2名の若者が2年間、熟練の時計技術者たちとともに学び始めます。彼らには、将来的にタグ・ホイヤーをはじめとするLVMHグループ各ブランドでの活躍を期待しています。さらに希望があれば、ルイ・ヴィトンやティファニー、ショーメといったグループ内の他ブランドでの道も開かれています。このアカデミーは、単なる教育機関ではありません。技術を学ぶ場であると同時に、イノベーションを生み出す場所でもあります。2年間の学びを通じて、若者たちから新たなアイデアが生まれることを楽しみにしています」

 次に、LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン株式会社取締役COOであり、今回のアカデミー開校の立ち上げ人であるジュリー・ブルジョワ氏が、アカデミーの目的とともに思いを語った。

LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン株式会社 取締役COOのジュリー・ブルジョワ氏。
「私たちは、次世代の若きリーダーを育成することにコミットしています。このアカデミーは、それを体現する取り組みです。優れたポテンシャルを持つ若者たちに、2年間のプログラムを通じて技術を磨き、時計技術者として一人前に成長してもらうための投資を行っています。LVMHグループは、教育とイノベーションを通じて産業を育成・促進する責任があると考えています。このアカデミーでも、若者たちに専門性を身に付けてもらい、ステップを積み重ねながら、時計産業を担う存在へと成長していくことを願っています。皆さんの貢献、知識、そしてフレッシュな視点が、ウォッチメイキングの未来を豊かにしていくと疑うことなく信じています」

独自インタビュー
 開校式後、個別インタビューを行った。アカデミー設立の実務を牽引したLVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン株式会社 取締役COO ジュリー・ブルジョワ氏、ならびに同社カスタマーサービス ディレクター 林繁氏に話を聞くことができた。

個別インタビューに応じてくれたLVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン株式会社 取締役COOのジュリー・ブルジョワ氏(左)と、同社カスタマーサービス ディレクターの林繁氏(右)。
 時計技術者の指導者・技術トレーナーとして長年活躍してきた林氏の名を知る方も多いだろう。2023年7月からLVMHウォッチ・ジュエリー ジャパンに加わった林氏は、カスタマーサービス部門を率いると同時に、アカデミーのプログラム設計や開校準備においても中心的な役割を果たした。

 インタビューはLVMHウォッチ・ジュエリー ジャパンのカスタマーサービス部門に隣接するアカデミーで行われた。高層ビルの大きな窓からは、東京の町が一望できる。アカデミーが開校したこの拠点は、9年前の2016年に設立されたという。ルレ氏いわく「細かな作業に適した、自然光の入る設計が施され、100人以上のスタッフが良好な環境のもとで働いています。テレワークができない職種だからこそ、明るく、快適な空間で学び、働くことが重要です」。

日本で開校されたアカデミーの独自性
 まずジュリー・ブルジョワ氏に、他国でも類似するような教育期間があるのかを聞いた。

「LVMH Watches & Jewelry ウォッチメイキング アカデミーはスイスとアメリカでも展開しています。スイスでは『エコール・ド・オルロジュリー(Ecole d’Horlogerie)』という名称で、2016年から約40人を対象としたプログラムが始まりました。このアカデミーは4年制で、修了後にはディプロマが発行されますが、修了したからといってそのまま仕事を継続できる保証はありません。日本の学校とは違い、企業に属さない中立的な立場で運営されているのが特徴です。研修の拠点となるのはラ・ショー・ド・フォンという都市で、ここにはタグ・ホイヤーの本社もあります。一方、日本のこのアカデミーは非常にユニークな存在です。日本市場をしっかりと研究し、「メカニカルウォッチのアフターサービス」に特化したカリキュラムを組んでいます。日本のアカデミーでは時計製造そのものは行わず、アフターサービスに100%フォーカスしているのが大きな特徴です。また、受け入れにあたっては必ずしも高校卒業資格を求めず、『若いマインドセット』を持っていることが重視されます」

アカデミーに備わっていた、ふたり用の顕微鏡。
 このマインドセットについて、ブルジョワ氏は「情熱を持った人に来てもらいたい」と補足した。「この業界で頑張りたい、未経験でも挑戦したいという意欲のある人材を探していたのです。次世代のリーダーとなるポテンシャルを重視しました。ただし、ウォッチメイキングは情熱だけでは務まりません。手先の器用さも必要不可欠なため、適性テストも実施しました」。

 ちなみにルレ氏は「若者は大切ですが、マインドは年齢に関係ありません。若々しい90歳もいるのです。もちろん現時点では18歳、19歳の若者に来てもらっていますが、将来このプログラムが発展すれば、60歳の方が参加するかもしれません」と、開校式のスピーチで語っていたことを付け加えておく。

プログラムの設計で特に注力した点は「現場で求められるノウハウ」と「仲間として働くこと」
 今回のユニークなアカデミーの立ち上げに尽力したのは、ブルジョワ氏のほか、前述した林繁氏だ。

「2023年7月に入社してすぐ、ジュリーから業務内容を聞かされる中でアカデミーの構想を聞き、驚くと同時にとてもうれしく感じました。思わず『私も関わることができるんですか?』と尋ねたのですが、返ってきたのは『関わるんじゃない、あなたがやるのよ。あなたが担当だから』という言葉でした」

 アカデミーのプログラムを設計するにあたり、林氏が特に力を注いだポイントはふたつだ。

「ひとつ目は、自分自身の修理技術者としての経験を踏まえ、アフターサービスに特化した内容に調整したことです。理論と実技を連動させた授業設計にしました。一般的な時計学校では、理論と実技の授業が別々に進むことが多く、どうしても内容がつながりません。そこを改善し、学んだ理論が実技と直結するようなカリキュラムを意識しました。例えば旋盤の学習では、『こんなこともできる』『あんなこともできる』とたくさん教えられますが、アフターサービスの現場で実際に使う技術はその中のほんの一部にすぎません。2年間という限られた期間の中で、ウォッチメイキングに必要な本当に重要な知識と、アフターサービスで即戦力となる技術やノウハウを厳選して教えたいと考えました」

ブルガリ オクト フィニッシモ

学生が希望し、かつ入手ができれば、グループ内で製造しているさまざまなムーブメントを教材にできるのだという。写真はブルガリ「オクト フィニッシモ クロノグラフ GMT オートマティック」に搭載されている、自動巻きムーブメントCal.BVL318。
 林氏は、実際の修理現場で求められるノウハウを重視しているのだ。

「時計学校を卒業して『分解・組み立てができる』というだけでは足りないと考えています。ただ組み立てるだけでは、コンプリートサービスやリペアとは違うからです。分解・組み立てを通して、『このモデルならこのポイントをチェックすべき』『ここが止まっていたらこの部分を調整する』といった、実際の修理現場で求められる視点と対応力を身に付けてもらいたいと思っています。もちろん、授業を受ける中で興味を持ってさらに学びを広げていくことも歓迎しています。ただ、限られた時間の中では、アフターサービスの技術者として必要なスキルを確実に習得することを最優先に考えました」

LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパンのカスタマーサービス部門と同じく、東京都江東区にある高層ビルにアカデミーは設置された。周囲に眺望を遮る建物がないため見晴らしは非常に良く、遠くには東京ゲートブリッジなども一望できる。
 ふたつ目のポイントは、林氏の「彼らを仲間にしたい」という思いだ。

「この施設は教育機関であると同時に、会社の一部であるという意識を大切にしています。私たち社員にとってもそれは非常に重要なことです。例えば、もし私が学生の立場で、ワークショップと完全に壁で区切られた空間にいたら、『自分は何もできないのに給料をもらっている学生なんだ』という気持ちになってしまうかもしれません。しかし、会社の一員だという意識を持てれば、仲間意識が生まれ、居心地もよくなると思います」

 この思いは、林氏の若い頃の体験から来ている。

「若い頃の自分を思い出すと、私は先輩に質問することがとても苦手でした。当時、先輩たちはちょっと怖い存在だったからです。だからこそ、今の環境では、トレーナー(鈴木)だけでなく、誰にでも気軽に質問できる雰囲気を作りたいと考えています。技術者たちにも『(アカデミーに)いつでも来ていいよ』と伝えていて、先週も学生たちが一生懸命ドライバーを研いでいるところに、先輩たちがふらっと見に来て、『これ難しいでしょ』なんて声を掛けていました。そうした自然なコミュニケーションを通じて、『自分たちは仲間なんだ』という感覚を育み、快適に働ける環境を作りたいと思っています。そして、学生と社員という線引きではなく、社員全員で取り組むプロジェクトだと感じられるようにしたいのです。物理的な環境も工夫しました。この部屋はもともと壁で区切られた会議室だったのですが、ジュリーが尽力して、壁を移動させてレイアウトを変更し、窓のある空間としました。さらに、普通のドアだったものも(内外を見通せる)ガラスとするなど、開かれた空間を作るためにみんなでアイデアを出し合いながら仕上げました」

ワークショップ内から見たアカデミー。
 ブルジョワ氏も、プログラム、そして教育カリキュラムについては特に力を注いでいることが分かった。

「2年間はあっという間に過ぎてしまいます。まず最初の6カ月間は、理論の習得に集中し、数多くのパーツについて学びながら、機械がどのように機能するのかに加えて、内装・外装についてもしっかりと理解していただきます。その後クォーツや自動巻きを、最終的にはクロノグラフのコンプリートサービスまでを習得することを目指してもらいます。また、次世代のリーダー育成という観点から、英語学習のカリキュラムも用意しました」

「(LVMHウォッチ・ジュエリーの)本国はプログラム内容にかなり関心を持っており、細かい調整や議論を重ねる必要がありました。それでも、最終的には『一般的な学校とは違い、ここで学び、卒業後はそのままこの会社で技術者としてチームの一員になる』という流れを確立することができました」(林氏)

修了生のキャリアパスのイメージは?
 気になるのが、2年間のカリキュラムを習得した後のキャリアパスだ。林氏は、自身の経験則もあり、率直な「今後」を語ってくれた。

「私は学生たちに、『最低でも5年間はここにいたほうがいい』と伝えています。プログラム自体は2年間ですが、やはり実務経験なしではプロにはなれません。繰り返しの実践が必要です。最低でも2~3年の実務経験を積み、4~5年経ってようやく本当のスタートラインに立てると考えています。もちろん、2年で海外に行きたい、別の会社で活躍したいという希望があれば応援しますが、現実的には厳しいと率直に話しています。実務経験を積んでこそ、本当のプロになれるということを伝えたいのです」

トレーニングプログラムは、まず一般理論や基礎知識に関する座学からスタートし、その後、外装作業やクォーツ時計に関する実技へと進む。2年目からは機械式時計の実技に集中し、最終的にはクロノグラフのオーバーホールができるレベルを目指す。
 また、英語力を身に付けることで、修了生のキャリアプランの選択肢をより豊かにすることも目指している。

「英語教育は早い段階から取り入れています。日本の技術者の評価は世界的に高く、修理に特化した高いスキルを持っていますが、そこに英語力が加われば、スイスでの勤務やグループ内異動の可能性など、さらに海外でのチャンスが広がるからです。

 グループ企業ならではのノウハウが学べるのも、パテックフィリップ スーパーコピー代金引換を激安同社でキャリアを積んでいくことの強みだ。

「ワークショップでは、主にブルガリ、ウブロ、タグ・ホイヤー、ゼニスの4つのブランドを担当し、加えてショーメ、ディオール、フレッドの時計も扱います。ブランドごとに特色が異なるため、幅広い経験を積ませることを重視しています。特定のブランドに偏らないよう、例えばブルガリを数年担当したら次はタグ・ホイヤーへ、さらにウブロやゼニスへと、さまざまな時計に触れていく計画です」

 もちろんアカデミーを卒業すれば、その後のキャリアは順風満帆というわけではないと、林氏は続ける。

「ただし、私は決して『アカデミーを卒業すればすぐに優位に立てる』など、甘いことは言いません。この仕事はスポーツ選手のようなもので、いかに速く、正確に修理できるかが問われます。実力の世界です。また、技術力だけでなく、対応力も非常に重要です。例えば納期短縮の依頼が来たとき、ただ『無理です』と突っぱねるのではなく、『できるか確認して返答します』と柔軟に対応できるかが、信頼される社員になれるかどうかを左右します。マネジメントや店舗、マーケティングなど、将来的に別の道を希望することもあるかもしれません。それも含めて、ここで学ぶ人たちは“社員”として育成していきたいと思っています」

パテックのデザインにおいて象徴的なブレスレットのエリプスは、

エリプスは60年代の終わりに誕生したにもかかわらず、1970年代にはパテックのシンボルとして確固たる地位を築き上げたモデルだ。今日、パテックはブレスレット仕様のエリプスでレトロなデザインへと回帰した。1980年代初頭まで、エリプスはレザーストラップ、チェーンブレスレット、または貴金属製のリンクブレスレットの選択肢を用意していた。エングレービングが施された新しいチェーンスタイルのブレスレットは、ミッドセンチュリーのデザインを取り入れたものとしてはここ数年で最も素晴らしく、コレクターたちのデザイン志向の時計に対する意欲をさらに掻き立てるものだ。

Patek Ellipse
新しいローズゴールドのゴールデンエリプスRef.5738/1R-001は、横34.5×縦39.5mmのサイズを維持している。口コミ第1位のパテックフィリップスーパーコピー 代引き専門店超薄型自動巻きムーブメント、Cal.240を搭載し、薄さは5.9mmと極めてスリムだ。黄金比に基づいてデザインされた均整のとれたケースが、ローズゴールドのインデックスと針を備えたエボニーブラックのサンバースト文字盤を縁取っている。

Patek Ellipse
パテックは1960年代後半から70年代にかけて、メタルブレスレット製造の分野において主導的な役割を果たしていた。この新しいチェーンスタイルのブレスレットは、最新世代のCNCマシンを使った製造工程で作られたパーツを、職人であるチェーンスミスたちの伝統的なノウハウを最大限に駆使しながら、手作業で組み立て、仕上げられている。

Patek Ellipse clasp
我々の考え
1970年代ほどデザインがビジュアルに左右された時代はない。実験的なものから個性的なもの、技巧的なものまで、あらゆるものが生み出された10年だった。エリプスは、時計が奇抜なデザインを追い求める一時代を築くきっかけとなったモデルだ。しかし1968年にイエローゴールドのケースとブルーゴールドの文字盤で発表されたエリプスの当初のサイズは横27×縦32mmであった。ブレスレットはヴィンテージを彷彿とさせるクールなデザインだが、真のエリプスファンはよりオリジナルに近いケースサイズを好むに違いない。

Patek Ellipse bracelet making
基本情報
ブランド: パテック フィリップ(Patek Philippe)
モデル名: ゴールデン・エリプス(Golden Ellipse)
型番: 5738/1R-001

直径: 34.5mm
厚さ: 5.9mm
ケース素材: ローズゴールド
文字盤色: ブラック
インデックス: アプライド
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: チェーンリンクブレスレット

ムーブメント情報
キャリバー: 240
機能: 時・分表示
直径: 27.5mm
厚さ: 2.53mm
パワーリザーブ: 48時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万1600振動/時(3Hz)
石数: 27

価格 & 発売時期
価格: 951万円(税込)

カルティエがスイスに時計製造拠点を移した1970年代を振り返る。

1972年は、カルティエの歴史において重要な年であった。まず初めに投資家グループがカルティエ・パリを買収し、続いてニューヨークとロンドンのカルティエ支店を買収した。これによりピエール・カルティエ(Pierre Cartier)の死後に分裂していた3つのメゾンが統合され、カルティエの成長の礎が築かれた。

ふたつ目の重要な進展は、カルティエ スーパーコピー 代金引換を激安がエベルと提携し、時計の生産拠点をスイスのラ・ショー・ド・フォンに移したことである。それまでのカルティエの時計は、スイス製ムーブメントを使用してパリ(またはロンドン)で生産されていた。パリでは70年代まで、限られた数の時計を生産し続けていたが、エベルとともにスイスに拠点を構えたことで、これまで以上に多くの時計の生産を始めたのである。

cartier santos dumont 1970s
1970年代のカルティエのシェイプを一部紹介。サントス デュモン(上)、タンク ノルマル、タンク ルイ(下)だ。タンク ルイについては同記事後半で詳しく取り上げる。

1970s cartier tank normale
1970s cartier tank louis
 これは1973年、カルティエ初となる真の歴史的コレクション、ルイ カルティエ コレクションを発表したことに端を発する。タンクやサントス デュモンなど、カルティエ黄金期のデザインを連続生産に持ち込むとともに、クリスタロー、エリプス、クッサンなど、新しいデザインを取り入れた12本のコレクションとしてスタートした。

vintage cartier watch advertisement
ルイ カルティエ コレクションウォッチを紹介した、1980年代の広告(サントスは後に発表)。Image: Courtesy of eBay

 カルティエは世界で最も人気のある時計メゾンのひとつである。スイス時計産業に関するモルガン・スタンレーの2023年の年次報告書によれば、その年の時計ブランドとしては世界で2番目に大きいブランドであった。それにもかかわらず、ロレックスやパテック フィリップのようなブランドと比較すると、簡単に入手できる文献や情報は依然として少ない。1970年代以前のカルティエの時計は極めて希少なままだが、ただ1970年代に生産量が増加したことで、リファレンスナンバーやシリアルナンバーを理解し、記録し、収集することが容易になった。

 このコレクターズガイドは、1970年代のモデルやダイヤル、さらには生産数についてより理解を深めるために、これらの情報の一部をまとめたものだ。将来的には、より人気のあるモデルについての追加情報を掲載したいとも思っている。

 本記事では、1970年代のカルティエに関する一般的な情報から始め、そして最も人気のあるモデル、タンク ルイ Ref.78086について具体的に深く掘り下げていく。

1970年代のカルティエラインナップと生産数
louis cartier collection watches 1970s
1973年に発表されたルイ カルティエ コレクションのオリジナル12モデル。カルティエは70年代を通じて、ほかにもいくつかのモデルを追加していた。お好きなモデルを選んで。

エベルとの新たなパートナーシップを追い風に、カルティエは1973年に野心的な行動に出た。“ルイ カルティエ コレクション”の一環として、12本の新作ウォッチを発表したのだ。すべてゴールドケース、シンプルなホワイトエナメル文字盤にローマ数字、バトン針、そしてカルティエのサインが入ったETAキャリバー(手巻き)を備えていた。カルティエはその後10年間をとおして、コレクションに新たなモデルを追加し続けたが、これらの核となる特徴はほとんど変えなかった。

 その代わりに、カルティエはシェイプを変えて実験をした。これらは1973年のL.C.(ルイ カルティエ)コレクションの12モデルであり、それぞれが独自のシェイプによって定義されている。

ベニュワール(Rref.78094)
サンチュール(Ref.78099)
クッサン(Ref.78102)
クリスタロー(Ref.78096)
エリプス(Ref.78091)
ファバージ(Ref.78101)
ゴンドーロ(Ref.97050)
サントス デュモン(Ref.78097)
スクエア(Ref.97051)
タンク ルイ(Ref.78086)
タンク ノルマル(Ref.78092)
ヴァンドーム(Ref.78090)
 これらのモデルのなかには、ラージモデル(“LM”)とスモールモデル(“SM”)を持つものもあれば、ベニュワールのように区別がないものもある。両方あるものについては、上にLMのリファレンスのみを掲載した。この情報を提供してくれた@cartier_chroniclesことマット・タカタ(Matt Takata)氏に感謝する。これはヨーロッパスター(私は彼らのアーカイブが大好きだ)の当時の広告にも裏付けられている。

 各モデルのケース裏下部には5桁のリファレンスナンバーが、そのすぐうしろにはシリアルナンバーが刻印されている。またリファレンスとシリアルのさらに下には、手彫りのストックナンバー(その時計が販売されたカルティエ支店固有のもの)が記されていることもある。各リファレンスのシリアルナンバーは連続しているため(例えば0001~10000)、あるリファレンスの十分な例を記録すれば、生産数を推定することができるのだ。

cartier 1970s serial numbers
1970年代のカルティエウォッチの裏側にある数字は、最初の5桁がリファレンスナンバーで、それ以降の数字がシリアルナンバーとなり、モデルごとに連番になっている。

 たとえば、私はタンク ルイ(Ref.78086)の生産量を1万5000と見積もっている(つまり、14xxxまでのシリアルナンバーを記録しているということ)。タンク ルイが最も一般的なモデルであると考えられるのは、それが“タンク”に属しているからである。一方でクッサン “バンブー”の生産数はわずか250本と見積もっており、これが最も希少(または最も無名)であると推測される。

 さらに裏にはゴールドのホールマークが刻印されているが、これは長い年月が経つにつれて磨り減っていることがある。

 1973年以降もカルティエは実験を重ね、トーチュやタンクのバリエーションなど、さまざまなモデルやシェイプをコレクションに追加していった。1973年に確立された方式を維持したままで。

 カルティエはこれらの時計の大部分をイエローゴールドで製造したが、ホワイトゴールドで作られたものもいくつかある。例えば、私が記録したタンク ルイのうち10%未満はWGだ。興味深いことに、すべてがいくつかの限られたシリアル範囲に集中している。

1970年代のカルティエの文字盤
cartier 1970s dials
 一般的に、70年代のカルティエには3世代の文字盤が存在する。ほかのブランドでは“マーク”と呼ばれることが多いので、カルティエについても同様の呼称を使用しよう。年代順に、以下のとおりだ。

マーク1: カルティエサインの“A”のトップがワイドでフラット。数字にシークレットシグネチャーはない
マーク2: カルティエサインの“A”のトップが尖っている。数字にシークレットシグネチャーはない
マーク3: カルティエサインの“A”のトップがやや平たい。通常7時位置にシークレットシグネチャーがある
cartier watches vintage 1970s dials
1970年代のカルティエにおける3つの一般的なダイヤルサインを詳しく見ると、カルティエの“A”で最も簡単に区別できる。

 すべてのリファレンスがこれらのダイヤルタイプにすべて沿っているわけではなく、これらのマークのなかには追加のバリエーションを持つものもある。例えばトーチュに関して私が見たことあるものは、後期のマーク3ダイヤルだけなので、このモデルが70年代後半まで導入されなかったことを示唆している。改めて、マット・タカタ(@cartier_chronicles)氏は、このような文字盤の種類を公に記録し始めた最初の人物であり、ここでの彼の協力に感謝する。

 すべての文字盤の6時位置には“Swiss”または“Paris”というサインがある。“Swiss”とサインされた文字盤は、カルティエ・ニューヨーク店を通じて販売されたもので、“Paris”とサインされたものはロンドンおよびパリ店を通じて販売されたものだ。なおサービス用ダイヤルには“Swiss Made”とサインされている。よく見られる誤解として、パリの文字盤が希少であるまたは高い価値があるとされるのだが、これは単にカルティエをパリの高級品店としてロマンチックに捉えているからかもしれない。実際には文字盤に差はない。事実、私がある程度詳しく調査した2モデル(タンク ルイとトーチュ)では、パリ文字盤のほうがスイス文字盤よりもわずかに多いようだ。

vintage cartier service dial
6時位置のサインは、この時計がカルティエのどの店で販売されたかを示し、サービスダイヤルのサインは“Swiss Made”となっている。

 私にとっては、このマーク1、2、3の文字盤の区別のほうがはるかに興味深い。マーク1の文字盤はマーク2やマーク3の文字盤よりもかなり希少である。カルティエのサインとスタイルは、以前のパリ製カルティエウォッチのいくつかの特徴を維持しており、文字盤に独自の魅力を与えている。その希少性について少しだけ触れると、私は数百例のタンク ルイを記録してきたが、マーク1の文字盤はほんの数例しか見たことがない。一方、マーク2の文字盤はマーク3の文字盤よりも多く、おおよそ2対1の割合で出回っている。エナメルはひび割れしやすいため、このような初期の文字盤の多くは、長い年月のあいだにサービスダイヤルに交換されたと推測される。

vintage cartier paris tank 1960s
1965年頃にパリで製造されたカルティエ タンクは、実際に手に取ると、70年代以前のカルティエウォッチの優れた職人技がすぐに感じられる。しかし、1970年代初頭のカルティエの文字盤は、長い年月を経て進化する以前から、同様の“カルティエ“”のスタイルを保っていた。

搭載されるキャリバー
 1970年代のカルティエウォッチにおいて、ムーブメントはセールスポイントではない。ほとんどのムーブメントには、カルティエのサインが入ったシンプルな手巻きのETAムーブメントが搭載されている。カルティエのCal78-1は、ETA2512のカルティエバージョンに過ぎないのだ。特別興味を引くムーブメントではないが、信頼性は高い。一部のモデル、例えばカルティエのRef.17002 タンク “ジャンボ”では、自動巻きムーブメントが採用されている。

フルセット
vintage cartier watch tank box and papers
 1970年代製のカルティエウォッチで、ボックス、ペーパー、オリジナルの保証書が揃ったフルセットが残っているものはあまり見かけない。例えば、これまで見かけたタンク ルイのうち、箱と保証書が残っていたのは10%にも満たなかった。赤いカルティエのボックスは、おそらくiPhoneのパッケージをふたつ重ねたくらいの大きさで、そこにゴールドの縁取りが施されているなど、古きよき時代を象徴した贅沢なセットである。また書類、証明書、保証書はすべて赤で統一されている。

通常カルティエウォッチはレザーストラップに装着されていることが多いが、カルティエのサイン入りビーズオブライスブレスレットに装着されている1970年代のものは存在感が際立つ。Image: courtesy of The Hairspring

 もともとこれらの時計は、内側に“Cartier Paris”と刻印された数種類あるレザーストラップに、ゴールド製デプロワイアントクラスプを合わせたものが一般的だった。カルティエのビーズオブライスブレスレットが付いたものを見つけるのは簡単なことではない。

その後
cartier tank 96065
次世代モデルのタンク ルイ Ref.96065は、超薄型のFP(フレデリック・ピゲ)社製Cal.21、ギヨシェ文字盤、さらに薄いケースを備えたモデルとしてアップデートされた。Image: courtesy of Amsterdam Vintage Watches

 こうしたオリジナルの1970年代モデルの多くは、1980年代半ばまで生産され続けた。その後、カルティエは次世代の時計製造へ移行を始めた。カルティエはETAキャリバーを廃止し、フレデリック・ピゲ社のムーブメントを使用するようになっていくのだ。ほとんどの場合、手巻きの超薄型FP社製Cal.21を使用している。1970年代のフォルムを踏襲しながらも、新しいリファレンスナンバーとムーブメントを採用し、さらにスリムになったモデルも多い。たとえばタンク ルイ Ref.96065は78086に置き代わり、最終的にエナメルダイヤルをギヨシェ装飾へと変更した。エクストラプラット(エクストラフラット)とも呼ばれるが、これは薄型のFP社製キャリバーを採用することで、ケースをさらにスリムにすることができたからである。これらのモデルのいくつかは、カルティエが1998年から2008年にかけて製造したCPCPの基礎を築いた。

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タンク ルイ(Ref.78086)で実践する
1970年代のカルティエウォッチの基本を説明したところで、次は具体的なリファレンス、タンク ルイ カルティエ Ref.78086を見てみる。前述したように、私はオークション、ディーラー、Chrono24のようなマーケットプレイスで販売された数百の例を記録してきた。新しい時計は常に発見されるので、これらの情報が最終的なものであるとは主張しない。

 タンク ルイ Ref.78086は、おそらくよく知られている典型的なカルティエ タンクである。23mm×30mmの薄型レクタンギュラーゴールドケースにレザーストラップがついていて、ブルーカボションがセットされたリューズで巻き上げる、手巻きムーブメントを搭載している。

タンク ルイの文字盤
cartier 1970s dials
タンク ルイ Ref.78086のダイヤルタイプ。

 カルティエがタンク ルイを発表したのは1973年のこと。新しいリファレンスに取って代わられる80年代まで製造されたため、上記の3つの文字盤タイプが存在する。

マーク1: “A”がワイド。数字にシークレットシグネチャーはない
マーク2: “A”が尖っている。数字にシークレットシグネチャーはない
マーク3: “A”がやや平たい。通常7時位置にシークレットシグネチャーがある
 一般的に、これらは古いものから順にリストアップされていると考えることができる。

 ただし今のところ、各ダイヤルタイプに対して広範なシリアルナンバー範囲を定義することさえ困難である。特にマーク2と3はシリアルナンバーが重複しているので、しばらくはふたつとも並行して生産されていたのではないかと思われる。

 初期のマーク1の文字盤は圧倒的に希少だ。私はほんの一握りしか見たことないが、すべて3桁のシリアルナンバーが付いていた。これらの文字盤は、60年代のタンクに見られるプリントに似ているので、私はとても気に入っている。

 マーク2ダイヤルは、シリアルナンバーが数百番台から現れ始める。私はマーク1ダイヤルよりも前のシリアルでマーク2ダイヤルを記録しているが、そのシリアルナンバーは6xxx番台までに及ぶことがある。

 マーク3ダイヤルは、1xxxまでのシリアルナンバーで見られるが、6xxx~7xxxの範囲ではより一般的になる。マーク3ダイヤルを使った初期の例はオリジナルである可能性もあるが、どこかの時点で交換または修理されたのではないかとも思う。

リューズの種類
vintage cartier tank louis crowns
 文字盤と同様、タンク ルイにも3種類のカボションリューズがある。

タイプ1: リューズが高く、先端がとがっている
タイプ2: リューズが短く、先端がとがっている
タイプ3: 先端が丸みを帯びたスタビークラウン
 いずれのタイプも、より簡単に巻き上げることができるように、ローレット(凹凸のある)ベースを介してケースに接続されている。繰り返しになるが、一般的に、これらのタイプは早期から後期にかけて列挙されていると考えることができる。

 タイプ1のカボションリューズが最も高く、先端が長く尖っている。これらは製造開始時から確認でき、6xxx~7xxxのシリアルレンジではある程度一般的だ。

 タイプ2のリューズはタイプ1のものよりも明らかに短いが、それでも先端は尖っている。これらは若いシリアルナンバーでも観察されるが、7xxx~8xxxシリアル範囲ではより一般的なリューズタイプとなる。

 最後に、タイプ3のリューズは最初のふたつのタイプよりも短く、先端が丸く尖っていない。これらは主に、10xxx~14xxxのシリアルナンバーで見られる。

 3タイプはおおよそ同じくらいの頻度で見られるが、私は高いリューズタイプが最も望ましいと考えている。これが最初期のリューズタイプだと推測しているが、オリジナルの高いリューズの多くは、あまりにも突き出ているためにカボションが非常に簡単に欠けてしまうため、長い年月のあいだに失われ、交換されてきたのだと思っている。

ケースとホールマーク
vintage cartier tank white gold
初期の“マーク2”ダイヤルと長い“タイプ1”リューズに注目。Image: courtesy of Wind Vintage

 すべての1970年代製カルティエウォッチがそうであったように、タンク LCのほとんどはYGでつくられていたが、カルティエはWG素材の例もいくつか製造していた。私が記録した例の10%未満がWGで、そのすべてに生産前期でつくられたシリアルナンバーを持っていた。興味深いことに、私が見た完全な連続データが揃っていいたもののうち、すべてがいくつかの狭い範囲に集中していたようだ。これはヴィンテージウォッチによく見られる現象で、ケースが数回に分けて製造された可能性を示唆している。

 WGのほうが希少性が高く、また繊細で身につけやすいというイメージがあるため、WG製タンクはYGよりも約2倍の価格となっている。まあ、もしそれが見つかればの話だが。YGのタンクLCは週に何度でも見つけることができ、日曜日には2回見つかるかもしれないが、WGの例は1年のうちに数本しかお目にかかれないかもしれない。

cartier tank case hallmarks
裏側とミドルケースにはタンク ルイの特徴的なホールマークがある。ケースサイドのリューズの下にホールマークがあるが、しばしば磨耗して消えてしまうことがある。下にある1枚目の写真では、ホールマークが消えかかっているもののまだ確認できる。2枚目の写真のほうが、ホールマークがはっきりと表れている。

大人気のカルティエ時計コピーNランク 代金引換年月を経るうちに、多くのヴィンテージタンク ルイのケースは磨かれてしまうことが多い。正直なところ、LCはもともと丸みを帯びた、洗練されたプロファイルを持っているので、ケースプロファイルのラインを見ただけで判断するのは難しい。しかし、ケースに存在するホールマークはコンディションを評価するのに役立つ。

まず、ケース裏側にいくつかのホールマークが刻印されているか
次にリューズすぐ下のミドルケースにホールマークがあるか。このふたつ目のホールマークは、ケースが研磨されているために消えているか、ほとんど見えないことが多い
 ホールマークが残っていたり、手付かずのシャープなケースを見つけるのはいいことだが、ヴィンテージロレックスのスポーツウォッチに比べれば、それほど大きな問題ではないと思う。ケースは数回研磨するだけで、シャープなエッジや面取りの多くを失うことがあるからだ。

オメガ ムーンシャイン™ゴールドとセドナ™ゴールドを使用したバイカラーモデル

オメガは、ブランド独自の18Kムーンシャイン™ゴールドまたはセドナ™ゴールドを使用した、新しいバイカラーのオメガ スピードマスター ムーンウォッチモデルを発表した。バイカラーのニューケースとブレスレットを除けば、基本的には私たちがよく知るムーンウォッチである。つまりゴールドのセンターリンクを持つブレスレットに42mmのケース、サファイア風防&シースルーバック、そしてオメガの手巻きマスター クロノメーターCal.3861を使用しているということだ。これらの新しいムーンウォッチは、どちらもセラミックのセラゴールド™製ベゼルを備えている。針と同様、ムーンシャイン™ゴールドバージョンはシルバーのサンレイダイヤルとムーンシャイン™ゴールドのインダイヤルを持ち、セドナバージョンにはセドナ™ゴールドのPVDコーティングが施されている。

新しいバイカラースピードマスターはともに279万4000円(税込)であり、オメガ時計コピー 代引きによれば、現在一部のオメガブティックで購入可能だという。

omega speedmaster moonwatch bi-color sedna gold
我々の考え
振り返ってみれば、オメガがまだツートンのムーンウォッチを出していなかったのは意外だった。オメガは2019年に、アポロ11号50周年記念モデルで豪華なフルムーンシャイン™ゴールドモデルを発表。そのあとツートンオプションを提供するのは自然な流れである。その記念限定モデルのあと、オメガは独自のゴールド合金を一般生産へと展開した。2022年には、既存のカノープス™ゴールド(独自のホワイトゴールド合金)とセドナ™ゴールド(ローズゴールド)のラインナップに、ムーンシャイン™ゴールド(イエローゴールド合金)のムーンウォッチを追加した。ツートンは、オメガが1983年に最初のツートンスピードマスターを発表して以来、バックカタログに掲載されてきたものでもある。

omega speedmaster moonwatch bi-color moonshine gold
オメガがフルゴールドのムーンウォッチに継続的に取り組んでいることを考えると、標準のステンレススティール製ムーンウォッチと、それらのより豪華な金無垢製スピーディのあいだにツートンモデルを挟むのは自然な流れのように思う。フルゴールドのムーンウォッチはすべて650万円以上であるのに対し、標準的なソリッドバックのスピードマスター プロフェッショナルは107万8000円(税込)で手に入る。

新しいバイカラーのスピードマスターは、ツートンデイトナ(税込で293万3700円)よりも14万円ほど安く設定されている。スピードマスターとデイトナは直接比較できるものではないが(理由はいろいろあるが、ここでは省略する)、少なくとも言及する価値はあると感じた。

omega bi-color speedmaster
また既存のムーンウォッチとは異なり、これらはセラミックのセラゴールド™ベゼルが採用されていることも興味深い。セラミック製のリングを持ち、ブラックのタキメータースケールにはセラゴールド™が使用されている。これはセラミックとゴールドの混合物であり、アルミニウムインサートを使用していた従来のムーンウォッチモデルとは異なる。今後、この技術がより広く展開される可能性もあるだろう。

omega speedmaster bi-color caliber 3861
ともあれ、これらが新しいムーンウォッチのバイカラーモデルである。最初に画像を見た限り、私の目にはムーンシャイン™ゴールドのほうがより優れて見えた。シルバーダイヤルは主にSSを主体としたパッケージとマッチしており、ブラックベゼルとのコントラストも美しい。ただいくつかのプレス用画像だけで判断するのは、初デート前に行うオンラインデートのようなものだ。まずは実物を見てから判断しようではないか。

オメガ スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル。Ref.310.20.42.50.02.001(18Kムーンシャイン™ゴールド)、Ref.310.20.42.50.99.001(セドナ™ゴールド)。42mm径、13.2mm厚、ラグからラグまで47.5mm。サンブラッシュ仕上げの文字盤とセラミック製セラゴールド製ベゼル。METAS認定のマスター クロノメーターCal.3861を搭載。約50時間パワーリザーブ。50m防水。サファイア風防とサファイア製シースルーバック。望小売価格はともに279万4000円(税込)。

ハミルトン 33mmと38mmのユニセックスサイズで登場した。

ハミルトンはフィールドウォッチの王者である。エディター同士の会話でエントリーレベルのスイス製時計が話題に上がる際、カーキフィールドはほぼ必ず名前が挙がる。ハミルトンはクォーツムーブメントを搭載したカーキ フィールドの新しいコレクションを発表した。同コレクションはどこへでも持ち運べ、何にでも対応できるスイス製ツールウォッチを、より手ごろな価格で提供している。今回は38mmと33mmの両サイズでコレクションが展開された。これはより広い層のユーザーに向けた、ユニセックスのオプションを提供するためであることは間違いない。

Black Khaki Quartz, Old Radium Lume
約1カ月前、同僚のマーク・カウズラリッチがハミルトンのカーキ フィールド メカニカル 38mmに投入された3つの新ダイヤルについて記事を書いた。そのなかで特に私の目を引いたのはホワイトダイヤルだったが、今回のリリースを通じてカーキ フィールドの多くのバリエーションにおいてホワイトダイヤルが定着しつつあるようだ。この新しいカーキ フィールド クォーツラインにはホワイト、ブルー、ブラックの3色があり、ダイヤルと針にはそれぞれ異なる色調のスーパールミノバが使われている。具体的に、ホワイトダイヤルには“オールドラジウム”色のスーパールミノバを、ブルーダイヤルには白色のスーパールミノバを、そして2種類あるブラックダイヤルにはそれぞれグリーンもしくは“オールドラジウム”色のスーパールミノバが組み合わされている。なおホワイトダイヤルの針とインデックスは黒で縁取られており、コントラストをより高めている。

Old Radium 34ths shot
“オールドラジウム”色の夜光。

ホワイトダイヤルとオールドラジウム夜光を備えたブラックダイヤルには、ロレックス スーパーコピーグリーンのテキスタイルストラップが組み合わされている。一方、ブルーダイヤルと非オールドラジウムの夜光を備えたブラックダイヤルには、ダイヤルに合わせた色のテキスタイルストラップをセット。これらのストラップはカーキ フィールド ラインの特徴であり、レザーのキーパーがついていることで少し高級感を感じさせる仕上がりになっている。

original GS watch
1960年代後半に製造された、オリジナルのハミルトン G.S. ウォッチ。

Khaki field watch sold on AS
アナログシフト(AnalogShift)で販売された、1980年代製造のカーキウォッチ。

Khaki Field Quartz up close
新作は“カーキ”ロゴが追加されているが、ダイヤル全体で見るときわめて小さく配置されている。

ハミルトンはこの新しいカーキ フィールド クォーツのデザインを、1960年代のハミルトン G.S.(ジェネラルサービスの略)モデルに由来すると話す。このモデルは英国政府の非軍事関係者向けに製造された時計であり、ヴィンテージのミリタリー美学を強く反映している。たしかに各要素は現代的にアレンジされており、コントラストが向上したダイヤルや、視認性を高めるためのレイルウェイミニッツトラックなどもある。アラビア数字は大きくて太く、オリジナルよりも比例して大きくなっているようだ。新作は、ダイヤル中央下にあった“G.S.”の代わりにスタイリッシュなカーキロゴを配置。これは1980年代に市販されたカーキ フィールドを参考にしたデザインであるようだ。

すべてのバリエーションはサイズに関わらず、6万4900円(税込み)で購入可能である。

我々の考え
このリリースはハミルトンにとって特に革新的なものではないが、製品ラインナップにうまく収まっている。カーキ フィールドラインにおいて、ハミルトンは過去数年間で700~1200ドル(日本円で約10万~17万円)の価格帯で製品群を強化してきており、ときにはチタン製バージョンでその価格帯の最上位に位置することもある。

Khaki Quartz in blue
この新しいコレクションにより、クォーツはもはや妥協や“安価な選択肢”という印象を与えない。デザインは十分に独自性を持っており、ラインナップのなかでも際立っていると思う。6万4900円(税込)という価格は提供される製品に対して妥当だと感じる。ハミルトンのウェブサイトに掲載されているすべてのカーキ フィールド クォーツウォッチを見ていると、この新しいクォーツモデルでついに、カーキ フィールド メカニカルの最新デザインに統一されたのだろう。

Khaki 33mm Old
1990年代製のカーキ フィールド 33mm。ワナ・バイ・ア・ウォッチ(WannaBuyAWatch)で販売されたもの。

デザインの観点から言うと、私はこれらの時計をとても気に入っている。まず歴史的な背景を考えると、特別にデザインされたカーキロゴが非常にいいアクセントになっていると思う。また小さいサイズが35mmや36mmではなく、33mmで登場したのもとても素晴らしいアイデアだ。これはかつてそのサイズで製造されていたヴィンテージのカーキ フィールドをすぐに思い起こさせる。以前、友人が見つけたヴィンテージカーキ フィールドを見て、その小ささに驚いたのを覚えている。ただしひとつだけ気になるのは、視認性を最適化するために、ダイヤルにあるカーキロゴや数字のバランスが、オリジナルの時計にあったヴィンテージの魅力を少し失っているように感じたことだ。

全体的にこれらのデザインはとても好感が持てるものであり、幅広い層に受け入れられるだろう。スイス製ツールウォッチの世界に初めて足を踏み入れる人にとって、これは完璧なエントリーモデルとなる。しかしここで疑問が生じる。メカニカルモデルに2万900円のアップグレードをする価値があるだろうか。

基本情報
ブランド: ハミルトン(Hamilton)
モデル名: カーキ フィールド クォーツ(Khaki Field Quartz)
型番: 33mm/H69301910(ホワイト)、H69301940(ブルー)、H69301430(ブラック)、H69301930(ブラック、オールドラジウム)。38mm/H69401910(ホワイト)、H69401940(ブルー)、H69401430(ブラック)、H69401930(ブラック、オールドラジウム)
ムーブメント:クォーツ

直径: 33mm、38mm
厚さ: 7.5mm(33mm)、8.3mm(38mm)
ケース素材: ステンレススティール
文字盤: ホワイト、ブルー、ブラック
インデックス: プリント
夜光: あり、スーパールミノバ
防水性能: 5気圧防水
ストラップ/ブレスレット: テキスタイル製NATOストラップ、各色に合わせたレザー

khaki quartz white
価格 & 発売時期
価格: 各6万4900円(税込)
発売時期: 発売中
限定: なし

モンブランをより魅力的なものにしてい

モンブランが創業したのは1906年だが、時計製造に乗り出したのは1997年のこと。100年以上の歴史を誇る老舗がひしめく時計業界においてはまだまだ若いブランドだ。当初はモンブランを象徴する万年筆の名品“マイスターシュテュック”にインスピレーションを得たデザインを特徴とする、ありふれたエタブリサージュスタイルの時計メーカーであったが、2006年以降モンブランの時計づくりは加速度的に進化を遂げた。

 2006年に、160年以上の歴史を持ち、特にクロノグラフの製作において高い技術力と名声を得たスイス・ヴィルレの老舗メーカーであるミネルバ(1858年創業)を傘下に収めたモンブランは、翌年共同でミネルバ高級時計研究所(Institut Minerva de Recherche en Haute Horlogerie)を立ち上げ、2008年には初の完全自社製ムーブメントとなるMB R100(モノプッシャー クロノグラフ)を発表。以来、このミネルバの工房で製造されたムーブメントがモンブランの腕時計に採用されるようになる。

モンクレール スーパーコピー 代引きのもとにミネルバが加わって以降、世界的なクロノグラフメーカーとしてのミネルバの輝かしい歴史はモンブランのそれと同義に語られるようになった。もともとル・ロックルにあったモンブラン マニュファクチュールとは別に、ヴィルレにあるミネルバの拠点はそのまま引き継がれてモンブラン マニュファクチュール ヴィルレとなり、そこではブランドの一部のハイエンドピースがムーブメントから一貫して自社製造されている。また併設されたモンブランのムーブメント&イノベーション エクセレンスセンターは、モンブラン時計部門におけるR&Dセクションとしての役割も持つに至った。

アイスシー ゼロ オキシジェン ディープ 4810。時計の詳細はこちらの記事へ。

ウィリアム・トゥルブリッジ(William Trubridge)

フリーダイバー。手足にフィンなどを装備せず、泳力のみで潜るコンスタントウェイト ノーフィン(CNF)部門で初めて100m(102mの世界記録を樹立)の境界を破り、垂直に設置されたガイドロープを使って潜るフリーイマージョン(FIM)部門では121mの世界記録を持つ。ほか18ものフリーダイビング記録を保持しており、世界チャンピオンのタイトルを6度も獲得するフリーダイビングの第一人者。

 モンブランは彼をアンバサダー(マークメーカー)に迎え、モンブラン アイスシー ゼロ オキシジェン ディープ 4810を提供。フランスのティーニュで行われたテストにおいて実際にこの時計を身につけて氷河の水中に潜り、過酷な環境下におけるゼロ オキシジェン技術の有用性を実証した。

2024年に発表されたモンブランの新作における目玉のひとつに、アイスシー ゼロ オキシジェン ディープ 4810がある。先立って公開された記事を読んでもらえると理解が早いが、本作の見どころはゼロ オキシジェン技術である。これはケース内部から酸素を排除、窒素を充填して密封することで完全無酸素状態を実現する技術だ。パーツの劣化を引き起こす酸化からムーブメントを守ることに加えて、急激な気温変化で生じるケース内部の結露を防ぐことで、時計の内部を長期間にわたって良好な状態を保ち、時計の精度と耐久性の向上を狙っている。

 ケース内部に生じる酸化や湿気の影響を防ぐことを目的とした似た発想の技術にバキュームウォッチがある。これはかつてセンチュリーやウォルサムで製造されていた時計だ。こちらも時計の精度と耐久性が向上させることが目的だが、モンブランのゼロ オキシジェンとはアプローチが異なり、時計内部を真空状態にすることで外部からの影響を排除し、耐水性や防塵性、耐腐食性の向上を狙ったものである。

 バキュームウォッチの場合、長期間にわたって真空状態を維持することは技術的に難しく、また真空状態により時計内部の圧力が均等化されているため、大きな衝撃が加わるとガラスやケースが破損するリスクが高かったといわれる。加えて時計の修理やメンテナンスには特殊な装置が必要であり、一般的な時計よりもコストが高くなるなど、多くの点で気軽につけられるものとは言い難かった。もちろんモンブランのゼロ オキシジェン技術においてもケース内部の窒素充填に特殊な技術を要するが、こちらは極限環境(高所や寒冷地)での性能向上を想定した技術。日常使用にはオーバースペックだが、それゆえの安心感はユーザーにとって大きなメリットと言えよう。

 Watches & Wondersの会場では、モンブラン ウォッチ部門のディレクターであるローラン・レカン氏自らこの新作のプレゼンテーションをしてくれた。彼の言葉を借りながら、スペックや技術的な側面だけではない、アイスシー ゼロ オキシジェン ディープ 4810が持つ本当の魅力についても紹介したい。

ツールウォッチに見える“日常使用”への配慮

ローラン・レカン(Laurent Lecamp)

モンブランウォッチ部門ディレクター。2001年にLVMHでワイン&スピリッツのブランドマネージャーとしてキャリアをスタート。2008年には共同設立者として時計ブランド、サイラス(Cyrus Watches)を立ち上げたほか、2014年からはカール F.ブヘラでセールス部門のエグゼクティブバイスプレジデントとして、2016年からは日本法人CEOとして辣腕をふるう。2021年にモンブランのスイス本社ウォッチ部門のディレクターに就任。

佐藤杏輔(以下、佐藤)
2021年にモンブランウォッチ部門のディレクターに就任されましたが、これまでにどんなことをされてきたかを教えてください。

ローラン・レカン氏(以下、レカン氏)
 まずはモンブランというブランドのルーツに注目しました。私はブランドが成功するためには3つの要素が必要だと考えています。ひとつはイノベーション、それから強いストーリーテリング、そして評価価値、つまりお客様が評価する顧客価値の3つです。

 私はモンブランに入社直後、モンブランの氷河を見に行きました。そこで時間をかけて、なぜこのロゴ(モンブランのロゴ)ができたのかを理解しようとしたのです。モンブランのロゴは六角形の白い星のような形ですが、これはモンブランにある6つの氷河を上から見た様子を表現したものです。そのなかで1番大きい氷河がメール・ド・グラース、英語で言うとアイスシーになります。このとき訪れた氷河の写真を撮影したのですが、これをダイヤルサプライヤーへ持ち込み作り上げたのがアイスシーコレクションのグレイシャー(パターンの)ダイヤルでした。

 モンブランのもうひとつのテーマに登山があります。例えばラインホルト・メスナーは酸素補給なしに8000m級の山々、14の最高峰すべてを世界で初めて制覇しましたが、そこから発想を得たのがゼロ オキシジェン技術、つまり酸素を排除した時計のコンセプトが生まれたのです。これらふたつのコンセプトはブランドの今を支え、ベストセラーとなりました。

 アイスシー ゼロ オキシジェン ディープ 4810の“4810”という数字は防水性を意味するが、これはモンブランの標高が4810mであることにちなんだものだ。そのような深さまで潜ることができるダイバーズウォッチで結露が発生しない(技術的に)初の時計となるのが本作だが、アイスシー ゼロ オキシジェン ディープ 4810は、ISO 6425に準拠している。これは4810mという防水性能が担保されているのはもちろん、規格によりさらに+25%の数字が保証されているため、理論的には6000mの深さまで耐えられることを意味する。

ツールウォッチに込められた“日常使用”へのこだわり
 技術的な側面については先立って公開された記事のなかで解説されているため割愛するが、グレイシャーダイヤルは非常にユニークなものだ。彼はこのダイヤルについてこんなことを言っていた。

「実際に近くで見てもらえると分かりますが、本当に氷河の模様が見事に表現されているのです。そして模様だけでなく、その立体的な構造も再現されています。独特の溝など立体的な造形は実際の氷河の模様なのです。そして文字盤の色も実際の氷河を見事に表現したものとなっています」

 さらに特徴的な裏蓋のモチーフについても尋ねると、彼は次のように続けた。

佐藤
裏蓋にも模様があしらわれていますね。これはどのようなものなのですか?

レカン氏
 ケースバックの模様は氷河を潜ったときに見られる景色を表現したものですが、これはグレード5のチタン製です。ケースバックだけではなくケース自体もチタンですが、この模様を得るために酸化処理を行っているんですね。実は我々はこれだけの広い面積にこういった酸化処理を行っている唯一の時計ブランドです。

 酸化処理は社内で行っていますが、外部パートナーと一緒に開発したプロセスを利用しています。これを実現するためにはやはり経験を積まなければいけないため、そうした外部のパートナーと一緒に行う必要があるのです。(模様は)7つのレーザーを使って処理をしています。ひとつのケースバックの模様を作り上げるのには100時間かかりますが、1度描けるようになるとひとつのケースバックあたり4時間ほど作れるようになります。

厚さこそ19.4mmとかなりの数字だが、ケース径は43mmとその高い防水性能の割には大きさが抑えられている。日常的にも十分につけられるサイズ感といえよう。

ケースと裏蓋はチタン製、そしてベゼルはブラックの陽極酸化加工を施したアルミニウム製のため、見た目のボリューム感とは裏腹に軽量だ。さらにフィット感に優れた滑らかなラバーストラップでつけ心地も軽快。

 アイスシー ゼロ オキシジェン ディープ 4810は、スペックや技術的な側面を見る限り過酷な環境での使用を想定したツールウォッチであることは間違いない。だが、グレイシャーダイヤルや氷河に潜ったときに見られる景色を表現したというケースバックのレリーフなど、ツールウォッチには本来不要ともいえる装飾的なこだわりが本作から見て取れる。

 それだけではない。裏蓋のアイコニックな装飾に目を奪われがちだが、簡単に取り外しが可能なレバー付きのブラックラバーテーパードストラップが採用されており、これは容易なストラップ交換や日々のメンテナンスなど、どちらかといえば日常使用のなかでこそ魅力に感じられる仕様といえる。また微調整可能なステンレススティール製のダブルフォールディングクラスプを採用しているが、これはウェットスーツを着ていても手首につけたまま簡単に調整をすることを意図したものだが、日々最適なフィット感でつけるためにも便利な実用的な機能だ。そして約120時間パワーリザーブを備えたムーブメントの採用も同様。ロングパワーリザーブは精度の安定性というだけでなく、巻き上げ不足によりつけたいときに時計が止まってしまっているという事態を回避しやすいという実用的なメリットが大きい。

 アイスシー ゼロ オキシジェン ディープ 4810には、日常使用も見据えたがゆえと思われるようなこだわりやディテールがいくつも見られる。こうした遊び心のあるディテールが単なるツールウォッチとしてだけではなく、目を引きつけるポイントとなっているのではないだろうか?

斬新なスタイルに息づく質実剛健なものづくり

モンブランは今年、アイスシー ゼロ オキシジェン ディープ 4810を筆頭に、さまざまな興味深い新作を発表した。スペックや技術的な側面が時計の大きな魅力であることに異論はないが、モンブラン、そしてミネルバにも共通して見られる確固たる哲学が表れたものづくりやディテールへのこだわりこそ、筆者は新作の見どころではないかと思うのだ。

 筆者が思う双方に共通するポイントは、日常的に使う・つけることに配慮したスタイル、ウォッチメイキングが貫かれているということ。アイスシー ゼロ オキシジェン ディープ 4810は前述のとおり。1858 アンヴェールド ミネルバ モノプッシャー クロノグラフ、さらには1858 アンヴェールド タイムキーパー ミネルバ リミテッドエディションなどでも、そうしたこだわりが目につく。

1858 アンヴェールド ミネルバ モノプッシャー クロノグラフ リミテッドエディション

Ref.133296 742万5000円(税込) 世界限定100本

ケース側面にムーブメントを見るためのサファイアウィンドウを備え、ケースバックにはミネルバ マニュファクチュールの特別なエッヂングが施されている。手巻き(Cal.MB M17.26)。SSケース、アリゲータープリントのスフマートカーフレザーストラップとSS製トリプルフォールディングクラスプ。43mm径。厚さ14.78mm。3 気圧防水。時計の詳細はこちら。

 1858 アンヴェールド ミネルバ モノプッシャー クロノグラフ リミテッド エディションは、一見するとムーブメントを透かし彫りしたスケルトンウォッチに見えるかもしれないが、厳密に言うとそうではない。本作は機械的な動きを見せるために、ムーブメントの輪列やクロノグラフ機構を時計のダイヤル側に反転。既存のモノプッシャークロノグラフCal.MB M16.26をベースに開発されたCal.MB M17.26 を搭載しているが、特徴的な部品を強調し、光が差し込むようにクロノグラフ機構を柱の上に構築し配置している(きわめてモダンな印象だが、この独創的なデザインはミネルバが1912年に特許を取得しているという)。

 そして本作が見事なのは、時計として、クロノグラフとしての実用性が損なわれていないということだ。もちろんその独創的なスタイルゆえに視認性はやや犠牲になっているものの、時刻用のアワー&ミニッツインデックスやスモールセコンド(9時位置)、そしてクロノグラフの30分積算計目盛り以外を肉抜きしたサファイヤクリスタル製のパーツをムーブメント上面に設けることで、しっかり各表示を判読できるようになっている。

1858 アンヴェールド タイムキーパー ミネルバ リミテッドエディション

Ref.133246 757万6800円(税込) 世界限定100本

フルーテッドベゼルによって操作を行う斬新なクロノグラフ。機構としては既存のモノプッシャークロノグラフをベースとしている。手巻き(Cal.MB M13.21)。ダメージ加工SSケース(18金WG製ベゼル)、アリゲータープリントのグレーカーフレザーストラップとSS製トリプルフォールディングクラスプ。42.5mm径。厚さ13.85mm。3 気圧防水。時計の詳細はこちら。

 1858 アンヴェールド タイムキーパー ミネルバ リミテッドエディションも、なかなか興味深い。これは2023年に発表された1858 アンヴェールド タイムキーパーのバリエーションモデルだ。昨年のモデルはSSとライムゴールド(75%のゴールドにシルバー20%、コッパー5%を合わせた金合金)ケースの2種類が登場したが、本作ではダメージ加工を施したSS製ケースを採用した。このケースはブラックコーティングを施したSSを手作業で洗浄し、モンブラン山の珪岩とヴィルレの工房の向かいにあるラ・コンブ・グレードと呼ばれるV型の山の石灰岩を用いてブラシ加工することで独特のダメージ処理を加えている。

 独特の外装も見どころだが、やはり本作最大の特徴はベゼルで操作するクロノグラフだろう。一般的なクロノグラフに見られる2・4時位置プッシュボタンは持たず、その代わりに溝を施した回転ベゼルを回すことでスタート・ストップ・リセット操作を行うという画期的機能を備える。このベゼルは誤操作を防止する一方向回転式でベゼルを掴んで時計回りに回すことでクロノグラフがスタート。2回目のスライドでストップ、3回目のスライドでリセットとなる。

 これはもともと1939年にミネルバが発表した、アウター回転ベゼルとリセット機能を備えたクロノグラフにデザイン的なインスピレーションを得ているが、ベゼル操作機構はまったくの新しいものだ。その独創性に目を奪われるが、ボタンがないためにクロノグラフでは起こりがちなボタン周りの不具合が起きることはなく、操作はベゼルを回すだけなのできわめて扱いやすい。

 上記のような革新的な製品が発表されていることもあり、モンブランにおけるミネルバの名を冠したモデルにはハイエンドでアバンギャルドなイメージがあるが、そのディテールをじっくり掘り下げてみると、現在もミネルバの質実剛健なものづくりは変わらないことがよく分かる。

 確かに思わず目を奪われるようなインパクトのあるデザインやスタイルは大きな魅力である。しかしモンブランの時計をさらに魅力的なものとしているのは、日常的につけることまで想定したユーザーフレンドリーなものづくりにあるからこそだと思うのだ。